(262)『自然と人間の歴史・日本篇』戦後の日本経済の復興に向けて(ドッジライン)

2017-08-09 10:01:50 | Weblog
(262)『自然と人間の歴史・日本篇』戦後の日本経済の復興に向けて(ドッジライン)

 1948年(昭和23年)10月、アメリカの本国にある国家安全保障委員会(NSC)が、日本に対する統治についての当面の方針の決定を行った。日本の占領をいましばらく続けることになる。その他に、経済復興のための制約をできるだけ速やかに排除することを目指すことになった。その翌年の5月には、日本に戦時賠償を求めない方針も定められてる。これらは極秘でやられたので、日本側にはその経緯がよくわからない。1948年12月、同委員会は、ワシントンで日本の経済復興を即身するための、「経済安定9原則」が採択され、東京のGHQに指示があった。本国からその命令を受けたは「マッカーサー命令」を出して経済安定9原則を吉田内閣を行うように指示した。これで内容は更にラディカルなものになっている。ここに9原則とは、(1)歳出の引締め、(2)徴税の強化、(3)銀行の貸し出しの限定、(4)賃金の安定、(5)価格統制の強化、(6)為替管理の強化、(7)割り当て並びに配給制度の改善、(8)生産の増加、及び(9)食糧供給の能力向上となっている。
 そして1949年(昭和24年)2月、総司令部の財政金融顧問としてやってきたデトロイト銀行のドッジ頭取が経済安定のための一連の政策を勧告した。その中で、彼が主なものとしては、総予算の均衡をはかること、徴税の強化、信用の拡張の厳重な制限、その他の6項目の中では「賃金安定3原則」に基づいて、賃金の抑制を打ち出している。これらのうち①の歳出の引締めについては、日本政府に指示して編成させた1949年度予算は、一般会計・特別会計・政府関係の総額で1569億円の黒字=歳入超過という、破格のものとなっていく。吉田内閣によるドッジラインの受け入れによって、1ドル=360円の固定レートで全国単一為替相場(1949年4月25日)が実施された。また、「外国為替及び外国貿易管理法」(49年)、「外資に関する法律」(50年)などが制定される。
 ここで、なぜ1ドルが360円なのかと言えば、次の関係があることによる。すなわち、金1オンス(ounce:アウンス)=35ドルヤード・ポンド法による重量の単位で、1オンスは1ポンドの約16分の1に当たる。ところで、1ポンドは約453.6グラムなので、1オンスは約28.35グラムに相当する。なぜこうなるかというと、貨幣・薬価単位で1オンス=31.1035グラムであるから、金1オンス=金31.1035グラム=35ドル。1ドル=金31.1035グラム/35=0.888671グラム。したがって、1円=金0.00246853グラムであるから、円の対ドル為替平価は1ドル対1円=0.888671グラム対0.00246853グラムとなる。つまり、0.888671グラム・円=0.00246853グラム・ドルとなって、ここから1ドル=360.0044561円、端数を処理して1ドル=360円となったのだ。
 さて、ドッジが日本政府に指示して編成させた1949年度(昭和24年度)予算は、一般会計・特別会計・政府関係の総額で1569億円の黒字=歳入超過という、破格のものとなる。また、④の賃金の安定については、「賃金安定3原則」に基づいて、賃金の抑制を打ち出す。これらのねらいは、インフレ抑制と、アメリカを中心とする資本主義体制に我が国経済を組み込むことにあった。こうして1949年4月、1ドル=360円の固定相場になる。日本経済はアメリカ経済が主導する当時の自由主義経済の再生産軌道に連結されたのだ。
 国内では、物資の窮乏に加え、戦時中のインフレーションによって貨幣価値は劇落していた。その経験を踏まえて1947年(昭和22年)には財政法第5条が制定され、原則として長期国債の日銀引受や長期貸付を禁止した。ただし、特別の事由がある場合に国会の議決を経た金額の範囲内で国債の日銀引受が認められている。とはいえ、日本銀行が保有している満期到来国債の借換債引受に限られることになっている。この政府による国債の日銀引き受け発行では、日銀は発行した日銀券が政府に手渡される。それは国庫にある日銀政府当座預金という口座に入るが、政府により引き出されて投資とか消費とかに支出されていくであろうことが予定されるところだ。

(続く)

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