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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

世界遺産は観光振興の道具?

2016-10-11 22:00:19 | 大学公開講座
 講師の岡本北大准教授は指摘する。観光振興を目的とする世界遺産登録運動が、その歴史やイメージを改変してはいないか?また、こうして作られたものが地域のアイデンティティとなって良いのだろうか?と…。 

 久しぶりの北大公開講座である。北大のメディア・コミュニケーション研究院が主催する公開講座「旅は東アジアを変えるのか?――日中韓から見る現代の観光文化」(全4回)が10月6日(木)から始まった。
 第1回目は、同研究院の岡本亮輔准教授が「観光の中の宗教文化と伝統」と題して、講座全体のガイダンス的内容も含めた講義をされた。

                    
                  ※ 岡本亮輔北大メディア・コミュニケーション研究院准教授(ウェブ上から拝借)

 岡本氏の講座自体は、とても分かりやすいように聞こえてきた。しかし、私の聞き方に問題があったのかもしれないが、講座を終えて、岡本氏は「一体何を言いたかったのだろうか?」と疑問をもってしまった。
 どうも講座のテーマと、話された内容が私の中ではリンクしなかったところにその原因が潜んでいたように思われる。そこで、私は私の中で、岡本氏はおそらくリード文で綴ったようなことを趣旨としたのだろう、と勝手に解釈し、レポを書き進めることにする。

 まず、世界遺産には《自然遺産》と《文化遺産》があり、《自然遺産》の場合は動植物の固有種の数など、客観的な基準で設定できるのに対して、《文化遺産》は物件の歴史的意義など、解釈に任される部分が多いとした。
 つまり、《自然遺産》の場合は、その価値を客観的な基準に照らして登録の是非が判断されるのに対して、《文化遺産》の場合は、その文化財の価値について申請する側が、その文化財についての物語(ストーリー)を作り上げる必要がある、というのだ。
 ちなみに日本の世界遺産として登録された中で、自然遺産は4ヵ所、文化遺産は16ヵ所である。この問題に関して、典型的なのが「富士山」である。富士山は《自然遺産》としての登録を目ざしたが、叶わなかった。そこで、再度《文化遺産》として「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として申請して、2013年に登録されたという経過がある。

 そこから岡本氏は日本の世界遺産の中で《文化遺産》として登録されているものに対しての疑問が呈せられた。
 例として挙げられたのが「紀伊山地の霊場と参詣道」である。
 この参詣道(熊野古道)の最大目的地である熊野本宮大社の旧社地に立つ「大斎原(おおゆのはら)」は、理想的な風水地だそうだ。
 かつて参詣者は長い旅路の末にようやくこの地に足を踏み入れ、「これまでの自分を変えよう」、「新しい自分に生まれ変わろう」、「未来の自分を取り戻そう」とこの場所を訪れたという。大斎原には精霊が宿り、その精霊と向き合うことで、自分を変えたいと願う人が《祈り》を捧げたそうだ。

               
               ※ 熊野本宮大社の近くに立つ「大斎原(おおゆのはら)」です。(ウェブ上から拝借)

 そこに登録を申請する側としては、《癒し》を加えたという。つまり《祈り》と《癒し》を融合することによって、参詣客を癒し型の長期滞在型の観光客へと誘因するような物語にしたということのようだ。
 そのことに対して岡本氏は「熊野の文化遺産や伝統が、観光化のために、あまりに現代社会に都合の良いもの読み替えられているのではないか?」と疑問を呈するのだ。

 そして岡本氏は世界遺産登録へ向けて現在関係者の間で熱を帯び始めている「北海道・北東北の縄文遺跡群」の登録申請活動についても疑問を呈した。縄文遺跡群として登録を目ざしているのは4道県の17遺跡だという。
 岡本氏は指摘する。なぜ4道県、17遺跡なのかと…。縄文遺跡群は、北海道・北東北に限らず日本列島全体に存在していて、日本全体の先史文化として特徴のあるものではないかと指摘した。
 登録活動を進める関係者には、この疑問に対する整理が求められるとともに、誰もが納得できる物語(ストーリー)の提示が求められるのではないか、と指摘した。

               
               ※ 北海道・北東北縄文遺跡群の一つ青森県の「丸山三内遺跡」です。(ウェブ上から拝借)

 岡本氏の指摘は確かに頷ける点は多い。しかし、一方で専門的立場からはそう言い得ても、現実的には《世界遺産》というブランドを頼りとして地域振興の起爆剤としたい思いを分からないわけではないなぁ、との思いが私の中では渦巻く。
 例えば、私が今春「熊野古道を歩こう!」と思い、実行したのも、「世界遺産の地を歩く!」ということが大きなモチベーションになっていたことは確かである。その私が、精霊に向き合い祈りを真剣に捧げたか、というといささか疑問が残るが、例え些少ではっても熊野地方に寄与したことにはなったはずである。

 ただ、言えることは観光振興だけに偏るのではなく、観光として訪れた人たちに対して《世界遺産》の真の価値を伝えていく努力も併せて行っていくことが、その地域の人たちには求められるということではないだろうか?


《う~ん、惜しい! 残念! ハリルジャパン》
 今夜のモスクワWCアジア最終予選、対オーストラリア戦は惜しかったですねぇ~。残念だったですねぇ~。
 原口の鮮やかな先制が決まった時には、「やれるかな!」と思ったのですが…。その原口がやらかちゃいました!
 どうも今予選は、ペナルティに泣かされていますねぇ…。UAE戦といい、今夜のオーストラリア戦といい…。
 まあ、試合内容では若干オーストラリアに押され気味でしたから、勝ち点1でしたがポジティブに考えましょう!これがもし負けだったら、早くも予選敗退の暗雲が漂うところでしたから…。
 次戦ホームのサウジアラビア戦はきっちりと勝ち点3を挙げることを期待しましょう!ペナルティだけは気を付けて!


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