火と灯の歳時記

火の季語、灯の季語で詠まれた作品をおよせください。投稿場所は「ににん」ホームページに新設します。(2011年10月1日)

鬼灯

2012年10月03日 | 初秋
鬼灯の袋の中の幼き日       小塩正子
タクシーに捧げ持ちたる鬼灯の籠 山内かぐや
鬼灯の赤き実丸く透けてをり      新木孝介
鬼灯や主不在の庭灯す      及川希子

迎え火・送り火

2012年09月30日 | 初秋
迎へ火や捥ぎたて野菜籠いつぱい 石井圭子
盆提灯天袋へと仕舞はれる      石井圭子
送り火の燃え盛りたる鳥居形      伊丹竹野子
海士の家奥まで透けて門火焚く 宇陀草子 
浦奥に一戸ありけり門火焚く   宇陀草子 
送り火や浦の船笛尾のながし      宇陀草子 
たたまれて上がり框に盆提灯      佐々木靖子
子に伝ふ家紋の由来盆提灯      西方来人
寝静まり心の中の門火焚く      服部さやか
この闇のどこかに父母や苧殻焚く 武井伸子
苧殻焚く母の詩吟のこゑ大き      浜岡紀子

花火

2012年07月14日 | 初秋
手花火や闇を囲みし一家族     浜田はるみ
人多き橋の真ん中大花火   石井圭子
暫くは花火の音を聞きませう      石井圭子
お仕舞は線香花火と決めてをり 石井圭子
婚記念誕生祝と揚花火 河邉幸行子
丸きこと横や下から見る花火      木佐梨乃
さざ波の寄する渚の揚花火   小塩正子
手花火を振つて火の玉闇に撒く 服部さやか
庭花火バケツに水を怠らず      たか楊子
微酔に篝火花を買ひにけり      たか楊子
また今年蛍未だかと母の言い    平坂謙次
花火背に生活照らす信号機    ニーモニック
散る花火池の真ん中に灯と燃える   美竹 晶
すう息を合わせ見詰める花火かな   辛夷

初秋

2011年10月15日 | 初秋
ありし日の走馬灯なり盆提灯        ひろ子
送り火や孫は抱かれて眠りけり       かつ熊
吊灯篭風を鳴らして飛騨の寺        浜田はるみ
送り火や従姉は少し汗臭し         新木孝介
迎え火の向こうに吾子のすくと立つ     島崎正彦
かなしみを掌にあつめたる踊かな      川村研治
震災の松に罪なき大文字          伊丹竹野子