ヒトリシズカのつぶやき特論

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リサーチ・アドミニストレーターシンポジウムを拝聴し、日米の職務の違いを考えました

2012年03月21日 | イノベーション
 東京大学などの6大学が主催した「リサーチ・アドミニストレーターシンポジウム 日本版リサーチ・アドミニストレーターの導入に向けて」を拝聴しました。工事中のJR東京駅がよく見える東京都千代田区の高層ビルで開催されたシンポジウムです。

 このシンポジウムには、米国リサーチ・アドミニストレーター協議会(NCURA)事務局長のラーメット(Larmett)さんが基調講演を話されました。この基調講演に対する質疑を聞いて、日本と米国の職務、特に専門職の職務について考えさせられました。



 “リサーチ・アドミニストレーター”という言葉は、日本ではまだあまり知られていないものです。大学や公的研究機関(産業技術総合研究所や理化学研究所など)などで、大型の研究開発プロジェクトを始める準備や開始後のマネジメントなどを担当する、研究開発者への支援業務を担当する専門職です。



 文部科学省は平成23年度(2011年度)から日本の大学などにリサーチ・アドミニストレーションシステムの整備の補助事業を始めています。昨年度は、合計予算3億円で、東京大学、東京農工大学、金沢大学、名古屋大学、京都大学の5大学を支援対象に選んでいます。さらに、東大に“リサーチ・アドミニストレーターのスキール標準の策定”を、早稲田大学に“リサーチ・アドミニストレーターの研修・教育プログラムの整備”を委託されています。リサーチ・アドミニストレーターを他の大学などに普及させるためです。

 日本の大学などにリサーチ・アドミニストレーターという専門職を導入し始めた理由は、大型研究開発プロジェクトのリーダーなどを務める研究者(教員)が事務作業に忙殺され、肝心の研究開発に費やす時間が減ったことでした。最近の大学や公的研究機関は、文科省や経済産業省、厚生労働省などの研究資金(“競争的研究資金”と呼ばれます)の公募に受からないと、いい研究開発ができない時代になっています。1年間に数億~10数億円を獲得できないと、いい研究員を確保できず、優れた研究開発成果を得られない時代になっているからです。

 このためには、リサーチ・アドミニストレーターという専門職が“競争的研究資金”を獲得する研究開発プロジェクトの企画案を考えます。

 米国リサーチ・アドミニストレーター協議会(NCURA)事務局長のラーメットさんは、苦労して米国でリサーチ・アドミニストレーターという専門職を定着させましたという話を講演されました。話した内容は日本でも考えられていることを責任を持って実施しているという正統的なものでした。

 この講演終了後に、日本の大学関係者から「なぜ米国ではリサーチ・アドミニストレーターという専門職が信頼され、定着したか」を尋ねる質問が続きました。米国では、教員も研究員も専門職も原則、終身雇用ではありません。その職務に求められる成果を上げなければ、その職を追われ、他人がその職に就きます。この点が、終身雇用を前提とする日本の大学の教員・研究者、事務職員には理解できないようでした。米国の“契約”は決めたことを守らないと、厳しい結果になると思いました。

 米国の会社では、あるポストの前任者と後任者は引き継ぎ会議をしないことが普通だそうです。その職務ポストの“目標”が示されていれば、それを達成するやり方はその担当者が新たに考えるためだそうです。目標設定さえあれば、そのやり方は担当者の自由です。そのポスト(職務)の契約内容が決まっていれば、それを達成するだけです。日本では一般的には考えられないことです。
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