暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

韓国を訪ねる旅ー4  陶芸家・閔泳麒(ミン・ヨンギ)と魚屋(ととや)

2016年10月29日 | 
                   
                       宿泊先の「山清韓方コンド」からの眺め
                   
                     閔泳麒(ミン・ヨンギ)先生の自宅(李朝の両班様式)   

韓国の旅の3日目に、山清窯の閔泳麒(ミン・ヨンギ)先生を訪ねました。
慶尚南道山清(サンチョン)は、古都・晋州(チンジュ)から北に20キロ余、智異山を仰ぎ、鏡古川の清流を望む佳境で、周辺には李朝朝鮮時代の古窯址が点在しています。

山清で生まれ育ったミン先生は、1973年に唐津の十三代中里太郎左衛門の陶房に入門し、5年間陶芸の基本を学んだ後、1978年、古窯址のある山清の土地を選んで窯を開きました。
今でこそ高速道路が近くに走っていますが、当時は橋もなく、大橋が出来るまでの8年間は舟が交通手段の辺鄙な場所だったそうです。

                   
                       放牧里窯址・・・山清窯ギャラリーの裏山
                   
                       栗拾いではありません、陶片を捜しています

山清窯を築いて以来、茶陶一筋にロクロを挽き、登り窯の火を焚いてきたそうですが、
林屋晴三先生の御縁で、日本に伝世する多くの高麗茶碗を手に取って高麗茶碗のなんたるかを会得する機会を得て以来、高麗茶碗(井戸、魚屋、粉引など)に挑戦しています。

         
           試作用の小型の窯       笑顔の閔泳麒(ミン・ヨンギ)先生

                   
                      家族総出のおもてなしに感激・・・高麗茶碗で一服
                   

高麗茶碗を生み出した先人の偉大さに驚嘆し、作っては壊す毎日の中で
「目を高く掲げて、高みを目指していかないと良いものは出来ない」
という先生の言葉が深く心に響きました。
「魚屋は6、7種類の土を混ぜて作りますが、全体的に魚屋のもっているものを表現できている・・・と思えるようにやっとなりました。
ギャラリーに展示されている作品は、焼成した膨大な数の作品からセレクトしたもので、自分の魂と心が入っています」

                    
                    
                    

山清窯のギャラりーでいくつかの素晴らしい魚屋(ととや)茶碗に目が留まりました。
素晴らしい・・・と魅入ったのは茶碗の内外に現れている様々な色合いの火色の景色でした。
火色の景色の出方は茶碗によって一つ一つ違い、実に個性豊かでいつまでも見飽きません。
中でも上品で柔らかな雰囲気を感じる魚屋に魅せられました。
椎茸高台と呼ばれる高台もびっくりするほど精巧で味わい深いものでした。

                    
                    

・・・そういえば、今まで魚屋の茶碗を間近に見る機会もなく、伝世の魚屋についての知識も全くありません。
でも、かえって予備知識がなかったのが良かったのかもしれません・・・。
自分の感性を大事にして、「茶事に使うならこの魚屋を・・・」と1つ選び、清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入を決めました。「ふぅ~!」 
それに・・・陶芸家・閔泳麒(ミン・ヨンギ)の魂と心が込められている魚屋だし、
先生の素朴で温かな人柄や作陶への熱い一途な思いに触れて、リスペクトの念を抱いたからでもあります。

帰ってから早速、韓国土産の魚屋で薄茶を点ててツレに喫んでもらいましたが・・・・値段は勿論ナイショです。  


魚屋(ととや)(茶道大辞典より)
斗々屋とも書く。御本手に属する高麗茶碗の一種で、その名からして堺の魚商の元締めであった納屋衆、利休や津田宗及などが所持したか、そのゆかりにつながる茶碗と考えられる。
普通、朝顔形に口の開いた平茶碗が多く、高台は小さく整っている。
ねっとりとした鼠色の土が細幅の轆轤目を幾筋も際立たせ、その肌に枇杷色、茶色の火色が現れて景色をつくるが、この現われ方が魚屋の最大の見所とされる。
ごく薄い水釉が総体にかかっている。



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