風吹くままに

マリの日常

新宿のありふれた夜

2024-03-25 16:33:00 | 
雇われマスターの郷田が酒場を畳む夜。

新宿のありふれた一夜のはずだった。
いや、朝になれば人の目にはありふれた夜が明けただけなのだが。
ハードボイルドな男にのしかかる疲労感。
読者には◯◯◯(ネタバレなので書かない)

人は他人(ひと)を救うのか、救われるのか?
救っているようで救われて、
救われているようで救うのか?












コメント (7)
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時代物2冊

2024-02-25 09:53:00 | 

 

ストーリー
(Amazonより)

桑名藩から飛び地・越後柏崎へ赴任してきた若い夫婦。二人を待っていたのは、厳しい陣屋の暮らし、海鳴り止まぬ過酷な環境だった。勘定や検見の仕事に忙殺される夫、渡部鉄之助。そして古着の着物さえ買う余裕のない妻、紀久。桑名に長男を残してきた夫婦は、故郷から持ち込んで番神堂に植えた梅の苗木に望郷の念を募らせていく。子を想いながら、日々を懸命に生きた女の一生が胸を衝く!

時代小説を読むと過酷な農民の生活、一揆などが描かれている事が多いが、下級武士もあまりに貧しくて言葉がでない。
それでも、ほろりとさせられる人情ものかと思いきや、淡々と話は進む。
読み進むうちにもしかして? 
辛いラストが見えてくる。
梅がやっと花を付けたのに。
でもこれがあの時代の現実。
心に残る一冊となりました。


もう一冊は藤沢周平。
こちらは、ほんわか時代物。
「初つばめ」上手いなぁ。









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苺飴には毒がある  砂村かいり

2024-02-04 21:07:00 | 








本の概要 

高校二年生の寿美子には、れいちゃんという幼なじみの友人がいる。
同じ高校に進学し通学を共にしているふたりだが、
過去に複雑な事情を持つれいちゃんは、可憐な容姿とは裏腹に、他人の容姿を貶めたり、陰口を撒き散らすことでコミュニケーションをとる少女だった。
そんな態度に違和感を覚え始める寿美子だが、やがて彼女の吐く毒は自分自身にも及んでいるのではないかと思い至り――。


前に読んだ「うるさいこの音の全部」もそうだったけれど、これも心の内を特に他人に対しての繊細な思いをウダウダ、あーでもない、こうでも無い、こう返したら、こう来るだろうな、、、だらだらと言葉多めに書いてあった。
「はないちもんめ」で、いつも最後まで選ばれない疎外感。
作者上手い。
主人公であるのに共感を得ない部分もある。
ある時姉からは「そんなだと人に嫌われるよ」友人の怜ちゃんからは「みんな寿美子さんの事嫌いだって」と言われる。
共感できない部分もあると言いながら、なんかね、私自身も寿美子みたいなとこあったなぁ、、、と、若い頃を思い出した。
寿美子は、だんだん自然体でいられるようになるのだが、それはネタバレになるので書かない。

ラストに「賞味期限切れの友情」と言う言葉が出てくる。
これ分かる!
思い当たる理由ないままゆうじんに距離を置かれたことがあった。何年か後に年賀状が届いたけれど、返信しなかった。
怒りとは、違うのよね。
そう賞味期限切れしたの。
思い切ってそう割り切ればスッキリする。
熱愛でも冷めるように冷める友情もある。






コメント (6)
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雫の街 乃南アサ

2024-01-27 16:32:00 | 



家庭調査官、庵原かのんの勤務地は北九州から川崎になり、移動と共に長い付き合いの彼と結婚をした。
前任地は少年相手だったが、今回は家事事件の担当。
離婚、相続など問題は多種多様。
マスクで表情を窺うことがままならないなど、コロナ禍の現実を盛り込んでの7話。
(ソーシャルディスタンスや濃厚接触者という言葉が私の中で既に懐かしい)
そんな中、庵原かのんは、どうやって相手の心を読み掴み調停へとつなげるのか?

「幽霊」記憶喪失
「待ちわびて」失踪?
「スケッチブック」絵が語る真実
「引き金」長年の孤独
「再会」親は金を出しても口を出すべからず
「キツネ」一番大切なもの
「はなむけ」今の自分にできる事

簡単にまとめてみました。
どれも面白く読みました。


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家裁調査官 庵原かのん  乃南アサ

2024-01-19 16:31:25 | 




若き、家庭裁判所調査官、庵原かのんの奮闘(熱血ものではありません)

家裁が扱う「少年」の処罰は、成人に対するのとは違っている。
「将来ある彼らの可能性を信じて、問題の原因を探り、立ち直りの道筋をつける」ことが目的だ。
少年が事件を起こした場合の扱いは
簡単に言うと事件が軽く、逃亡などの恐れがない場合「在宅事件」、事件の度合いが高いと「身柄事件」。
庵原かのんは、その在宅事件を担当している。
赴任地は北九州市。
そこで担当した少年たちの話で、
7編からなる短編集。
調査面接をしても、なかなか心を開いてくれない子。
知的能力の劣る子。
特性のある子。
親に問題も多い。
母親が愛人で、男にだらしなかったり、、、
親が、少年を捨てて出て行ったケースの「野良犬」は切なかった。
一期一会の繰り返しという言葉がでてくるように、かのんら調査官がかかわれる時間は少なく又支える家族にその力がなかったりする。
7編の少年達は誰も悪くない。
良いと思ってやっている事が他人には迷惑行為。それを理解させるのは難易度が高く、少年の生まれ持った能力の低さが可哀想だ。
それと反対に、ちゃんと支えれば「この子はぐんと伸びる」って子もいた。
どれも面白かった。

やはり外れなかった。乃南さんの本は本当に好きだ。
(いやミスも含め)








コメント (5)
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まるまるの毬 西条奈加

2024-01-10 14:46:00 | 



読み終えたのは、西条奈加さんの「まるまるの毬」。
重苦しい気持ちを時代物の人情物語が癒してくれます。
ある秘密を抱えて菓子職人となった南星屋の主、治兵衛。
共に切り盛りする娘と孫の恋物語などと絡ませて面白うございました。

表紙みていたら、筆を持ちたくなり、そこいらにあった紙に書いてみました。
お粗末😓





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この世の春

2024-01-06 16:38:07 | 




ストーリー
北見藩の主君、北見重興は、
時に、誰かが乗り移ったように人が変わり、父である大殿まで殺めてしまった。等の本人は、一時が過ぎてみれば穏やかな重興となり、そしてその記憶がない。大殿は、重鎮らによって卒中でなくなったと隠蔽され、お家は安泰。
後、それら重鎮によって五香苑へ押込となる(幽閉)。
そこへ遣わされた多紀(元家臣の娘、離縁となり父と暮らしていた)。
初見時に、現れたのは重興ではあるが、その言葉遣い、身のこなしは幼子であった。
何故?誰なのか?
狂った振りをしているのか?

長かったわ。
出だしは、面白かった。
もののけ?
違うか、、、

読み終えてみると、回収されてない話があるのと、そっち?のような、肩透かし感が残る。
もうちょっと煮詰め端折るとよかったかな。



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ザリガニの鳴くところ

2024-01-03 20:38:00 | 





2024年最初の読了一冊目は、
全米5,000,000突破の「ザリガニの鳴くところ」です。

📓ストーリー

ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。


好きだった。面白かった。
ラブストーリーで、ミステリーで、
生物学。
自然を描いて、、、

ラストも納得行くもので、でも何度も反芻するような、
余韻と言うか、考えてしまう。
ちょっと茫然。
うー書けない。
何か感想を書くとネタバレになってしまう。

地球上に生まれた生き物が持つ遥かなる遺伝子、、、
と、でも書いておこう。

映画も観たい。
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可燃物 米澤穂信

2023-12-17 21:23:00 | 



今日2度目の投稿です。
土日、本を読み、温泉に行き、パンを焼いて、予定通りのんびりしました。

3つのミステリ・ランキングで1位となり、史上初の2年連続3冠を達成の米澤穂信、初の警察ミステリー。

5つの短編、人間模様が収められています。
事件が起こり、そこに歴然たる証拠がでても、整合性の取れた目撃証言が出ても、腑に落ちなさがある。
その小さな引っ掛かりに、事件を解く鍵が。
どんでん返しではないけれど、どんでん返しをくらった気持ちになる。
「それはないよー」ではなく「そっかそっか」となる。

一冊で5回面白い!と、思いました。

コメント (2)
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うるさいこの音の全部 高瀬隼子

2023-12-03 20:11:00 | 
図書館に表紙が見えるように置かれていて、視線と言うか自己主張が強くて借りました。
芥川賞受賞しているんですね、彼女。
(最近はチェックもしておりません。)
その受賞、後先を、素材にしたのがこれ(事実、フィクションよりとにかく思考)
劇中劇みたいに2つの話が進んでいく。
すぐ「そう言うことか」と、分かるのもよかったし、どちらも思考回路が面白く一気に読んでしまった。
一言で言うと、私の思考系統に似ている。

内容が気になる人はAmazonででも調べてね(手抜きゴメン)







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