まりっぺのお気楽読書

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『サキ短編集』まだまだあります!

2010-04-12 00:44:51 | イギリス・アイルランドの作家
SAKI  
サキ(ヘクター・ヒュー・マンロー)

以前紹介した『ザ・ベスト・オブ・サキ』は、全部で90篇弱ある中から
6篇だけピックアップしたんですが、他にもまだまだ面白い話があるので
新潮社版短編集からもう少しご紹介します。

『話上手』
独身の男が、汽車の車室で一緒になった子供たちは少しも黙っていません。
子供たちの伯母はお話をしてあげますが、静かにさせることはできません。
そこで独身男が一肌脱いでお話をしてあげます。

大人には不愉快な話かもしれなくても、子供たちはとっても静かになるんです。
不道徳な方が面白いということがありますからね… 困ったもんだ。

『ビザンチン風オムレツ』
自らは裕福でありながら、労働者の立場を訴える社会主義者のソフィは
ある晩シリアの大公を招いて晩餐会を開くことになりました。
しかし、直前になって召使いたちがストライキをすると言いだしました。

自分は富を謳歌しているのに労働者の味方ぶる女性が主人公というのが
この物語をものすごく痛快にしているわけなんですけどね。
果たして上流階級から好評を得ることはできたんでしょうか?

『親米家』
ボヘミアンたちが集まるオウル街の店では、ゲプハルトの絵は不評でした。
金が底をついたらしいゲプハルトは顔を見せなくなりました。
しかししばらくすると、明らかに羽振りが好くなった彼が現れます。
常連たちは競って彼の絵を買い求めます…安いうちに。

実はゲプハルトの羽振りの好さにはわけがあります。
芸術家気取りでカフェや料理屋にたむろする人々への、皮肉たっぷりなお話。

やっぱりサキは意地悪ですよね。
笑い者になる対象がハッキリしている話や、正直者がバカを見る話も
躊躇無く書いていらっしゃったみたいです。

人をひっかけておいてオチがない話も多々あります。
自分だったらモヤモヤする…最後には「ドッキリ!」の看板を出してくれないと…

当然上手くいくだろうということが上手くいかず
上手くいかなそう、ということは、もちろん上手くいかず…
大人の自嘲とほろ苦さが堪能できる一冊になっております。

さらに岩波文庫の『サキ傑作集』につづく…

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