まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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フランス王ルイ13世妃 アンヌ

2009-03-26 00:26:27 | フランス王妃・王女
名宰相に睨まれた王妃
ルイ13世妃 アンヌ・ドートリシュ


1601~1666/在位 1615~1643

当時ヨーロッパはカトリック国と新教の国が入り乱れ争いが頻発していましたが
そんな中でカトリック国同士のフランスとスペインの同盟を強化するため
ルイ13世とスペイン王フェリペ3世王女アンヌの縁談がまとまったのは
アンヌが10歳の時でした。

アンヌが14歳になった時に結婚、
同時にアンヌの弟フェリペ(後の4世)とルイ13世の妹エリザベートも結婚しました。
しかしフランスには反ハプスブルク家派が多く
摂政マリー・ド・メディシスが押し切る形で無理やりまとめた結婚は
アンヌに寂しい結婚生活をもたらすことになります。

        

夫であるルイ13世はアンヌと同じ年でしたが、ちょっと奥手だったのか
式が終わると自分の部屋に閉じこもってしまって
その後もアンヌの寝室を訪れませんでした。
14歳だからねぇ、無理にそんなことさせたって…と思うんですけど。

宮廷では義母のマリー・ド・メディシスがファーストレディのアンヌを差し置いて
女王然と君臨していました。
ルイ13世にもマリーにもないがしろにされているような状態の中
アンヌ自身もフランス式を拒み(流行についていけなかったという説もあります)
ドレスもマナーも万事スペイン流で通します。溝は深まる一方です。

それでもアンヌの美しさは皆から賞賛されていましたし
4年もするとフランス流の洗練されたドレスやマナーを取り入れて
美しさに磨きがかかりました。

そんなわけで結婚から4年後、ルイ13世は家臣に強く言われてアンヌの寝室に向かいます。
彼は泣きながら引きずられていったそうですよ。
なんとか義務をはたしたものの、その後もなかなか足を向けなかったということです。
美しい王妃だったというのに、何が気に入らなかったんでしょうね?
でも女好き揃いのフランス王の中にあって、ルイ13世のような王がいるというのも
面白いですね…子供のルイ14世は誰の血をひいたのかな?

アンヌが相次いで流産し、ふたりの間のすきま風がさらに強まった頃
ルイ13世がリシュリューを重用し始め、夫婦仲は悪化の一途をたどっていきます。

ハプスブルク家に対して憎しみに近い反感を抱いていたリシュリューとアンヌの間には
もちろん緊張が高まりますが、万事リシュリュー頼みのルイ13世も
一緒になって妻を毛嫌いしはじめ、もはやアンヌに近づこうとしません。

その上アンヌは手痛いミスを犯します。
1635年、フランスはスペインに宣戦布告をしましたが
アンヌは弟であるスペイン王フェリペ4世と秘密裏に文通を続けました。
姉弟の文通なんですけどね、書いちゃいけないことを書いちゃったんじゃないの?
2年後にリシュリューに見つかり、以後アンヌの手紙は検閲を受けることになりました。

こんな四面楚歌状態の中、なんとっ アンヌが身ごもります。
結婚から23年です。
でも王は王妃に近寄らなかったんじゃ…? 人々は色めきたちます。

実はある夜、旅の途中でルイ13世がアンヌがいるサン・モーの城に立ち寄った時
嵐がやってきて旅を続けられなくなったんですって!
そこには王妃の部屋にしか良いベッドがなくて
王はしぶしぶ王妃と一夜をすごしたということなんですが…
そんなバカなねぇ  お城にいいベッドがひとつしかないなんてさ。
当時の人たちもたぶん同じように思ったはずなんですけど、さらに2年後に王子が生まれます。

その後アンヌは王子たちを連れてルーヴルに引き蘢っていましたが
1643年にルイ13世が亡くなると、幼いルイ14世の摂政になりました。
ルイ13世は生前、なんとかアンヌが摂政に就かないように試みたそうですが失敗しました。
しかも前年にリシュリューも亡くなっていて、もう怖いものなしです。

アンヌが賢明だったのは、愛人といわれる枢機卿マザランに政治を任せたことですかね?
同じような境遇だった義母マリー・ド・メディシスが表舞台にしゃしゃり出て
無茶苦茶な余生を送ったことが教訓になっていたのかもしれません。

アンヌは1656年に摂政の座を退きますが、実際はマザランが亡くなる1661年まで
ルイ14世に影響力を持っていました。
1666年に亡くなりましたが、乳癌でかなり壮絶な最期だったようです。

(参考文献 エレノア・ハーマン『女王たちのセックス』 Wikipedia英語版)

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コメント (1)
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