店主のたわごと

まれ助堂店主、八神まれ助の煩悩吐き出し処。
小次健、やおい、BLが含まれます。意味の分からない方嫌いな方はご遠慮下さい

この恋の行方は(4)

2016-12-28 16:04:12 | 若誕






一方日向は、自分の胸の内にある訳の分からない感情に、イライラとしていた。

若島津が自分に黙って東邦をサッカーを辞めようとしていた事。それに気が付かず、翼との勝負にこだわり、自分勝手に行動していた自分の事。
若島津が自分の側から居なくなるもしれなかったという恐怖と、自分以外の誰にも渡したくないという感情が湧き上がってきた事。

全てがごっちゃになり、自分の気持ちが分からない。
盛大に口をへの字に曲げ、ギリギリと眉根の寄った顔のまま、日向は視線を感じて若島津の方へと視線を向けた。
バツの悪そうな顔の若島津の視線とぶつかる。
ちょっと困ったように、眉尻を下げた若島津がいた。

「‥日向さん‥怒ってます?」
ドキリとした。
急に顔に血が上ってくるのが分かる。若島津の顔をまともに見られなくて、日向は視線を逸らした。
「怒ってねぇよ」
とは言うものの、声と顔は完全に怒っている日向に、若島津はショボンと肩を落として黙り込んだ。
そんな若島津を視界の隅に捉えながら、日向は先程までのイライラが消え、いつの間にかドキドキしている自分に戸惑っていた。


どうなってやがる!くそっ!

混乱する日向は、そのまま一言も話さず電車に乗り続けだのであった。





東邦学園の最寄駅に着いた時、既に日が傾きかけていた。
6時半までに帰らないと、夕飯を食べ逸れてしまう。若島津がバスの時間を調べようと歩き出すと、日向がその腕を掴んだ。
「歩いて行こうぜ」
「えっ‥でも‥」
「いいから」
強い口調で言われて、若島津は戸惑いながらもそれに従った。

「若島津」
日向が口を開いたのは、民家がまばらになり東邦学園に続く山道に入った時だった。
「お前、本当にサッカーを辞めるつもりだったのか?」
日向の静かな言葉に、若島津は言葉に詰まった。
あれは売り言葉に買い言葉ではあったが、本気の言葉でもあった。

万年2位と揶揄され、若林不在時だけの存在と言われて、この3年間を過ごしてきた。
本当に自分はこのままでいいのか?
そんな自分の中の迷いを父親に突かれたのもあった。
そして日向に恋愛感情を抱く自分を、諌めたい気持ちもあった。

「俺は‥お前がサッカーを辞めようとしてたって聞いて、初めはムカついた。いや、ムカついたってより、怒りが湧いたって方が正しいな。とにかく、辞めるなんて言ってやがったのか!って思った」
日向の言葉は静かだ。そこから怒りの感情は伝わってこない。
「でもよ。俺だってこの大会は好き勝手してたんだよな。勝手に沖縄行って、みんなに迷惑かけて。マジで出れなくて当然の事をした。そんな俺の為に、みんなが土下座までしてくれて決勝に出たのに、俺はそこでも翼との勝負に拘って、取れたはずのゴールを取らなかった。勝手すぎるよな」
若島津は立ち止まった。
大会後日向は優勝旗を手にして、みんなに頭を下げて礼を言った。その後はタブーのようにこの話は誰もしなかった。日向自身もだ。

「俺は今まで、結果を出したから自分のした事は正しかったって思ってた。沖縄に行ったことも翼との勝負に拘ったことも。でもよ、それって他の奴らの気持ちなんて全然考えてないってことだよな」
日向も立ち止まって、若島津へ振り向いた。
「‥お前がどんな気持ちで、あの試合をしていたのか考えたら、俺が怒る筋合いじゃない。ただお前がサッカーを辞めないで良かった、俺の側から離れないで良かった」
「日向さん‥」
若島津は胸を締め付ける日向の言葉に、ギュッと手を握りしめた。
「ありがとう‥あんたにそう言ってもらえて、すごく嬉しいです‥」
溢れそうになる涙を堪え、若島津は声を震わせた。日向に必要とされている喜びが、胸を熱くさせた。
「若島津‥」

若島津が好きだ。

唐突に、愛おしさが込み上げ、日向は自分の気持ちを理解した。
衝動的に若島津の腕を引き、そのまま抱きしめる。
「ひゅ、日向さん‥?」
戸惑った若島津の声が聞こえたが、日向は腕を緩めなかった。
温かい体温と甘いシャンプーの香りに、日向体温も上昇する。

「ずっと俺の側にいてくれ」
好きという言葉は言えなかった。
あまりにも衝動的に湧き上がった気持ちを、伝えるには日向にも戸惑いがあった。
「はい‥」
若島津の声に安堵を感じながら、日向は若島津を抱きしめ続けた。




暗い山道に抱き合った2人の姿が、白くボンヤリと浮かび上がっていたのだった。






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皆さまこんにちは〜!
毎度まれ助でございます!

前回から間が空いてしまって申し訳ありません(´・ω・`)
ちょっと25日朝までに片付けなければならない案件がありまして、それにずっとかかりきりでした(^◇^;)
もう徹夜なんてできない体なのに、ほぼ2日間徹夜で仕上げましたよ!
遅れていたら後悔しきりだったので、上げられて良かった〜(≧∇≦)

そして次は若誕話ですよ!
明日で終わる事はできるのか?はてさてふふ〜♪

スッキリ気分で年末を迎える為にも、明日で終わらせられる様に頑張りマッス!


更新しない間にも、覗きに来てくださった皆さま、本当にありがとうございます(*´ω`*)

明日もよろしくお願いします〜!






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