令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

赤人編(13)止む時もあらめ

2010年01月29日 | 赤人編
【掲載日:平成22年3月2日】

・・・この山の きばのみこそ この川の 絶えばのみこそ 
               ももしきの 大宮所おほみやどころ む時もあらめ

赤人は  願い出た
是非ともの 寿ことほぎ歌の朗詠ろうえい
歌姿うたすがたの なんたるかを 突き止め得た赤人
いま  一つの 境地にいる
心底しんそこ 歌に沈みきれば
 長歌と反歌の繋がりなどは  よいのだ
 時々の歌ごころに任せ 
 長歌に付くもよし 
 長歌をするもよし
 これぞ 我が歌道みち

天平八年〔736〕夏六月 
吉野離宮に  赤人の歌声が 流れる

やすみしし わご大君おほきみの し給ふ  吉野の宮は 山高み 雲そたな引く 
川速み 瀬のそ清き かむさびて 見れば貴く よろしなへ 見ればさやけし
 
天皇おおきみの お治めなさる 吉野宮 山が高こうて 雲なび
 流れ速うて 音清い 神々こうごうしいて とうとうて 清らかなんは 当然や》
この山の きばのみこそ この川の 絶えばのみこそ 
ももしきの 大宮所おほみやどころ む時もあらめ

《山の姿が  消えるなら 川の流れが 絶えるなら
 その時こそは 大宮の うなる時や それは無いけど》
                         ―山部赤人―〔巻六・一〇〇五〕 

神代より 吉野の宮に ありがよひ たからせるは 山川をよみ
《昔から 吉野の宮に かようんは 山と川とが 素晴らしからや》
                         ―山部赤人―〔巻六・一〇〇六〕 

居並ぶ 人々の胸に 聞きがれた 人麻呂吉野賛歌が よみがえ
そして  それは
赤人の 人となりを 思わせる 爽やかなかろみを覚える 歌でもあった


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