令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(一)(21)かくぞ黄変(もみ)てる

2010年06月22日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年8月10日】

わが屋前やどの 萩の下葉したばは 秋風も
             いまだ吹かねば かくぞ黄変もみてる



何につけても 思われるのは大嬢おおいらつめがこと
天候不順がもたらす  花時期のずれ
これすら  こころ通わせの手立てとなる

わが屋前やどの 時じき藤の めづらしく 今も見てしか 妹が咲容ゑまひ
あいらしい 時節じせつ外れの 藤咲いた お前の笑顔 見となったがな》
                         ―大伴家持―〈巻八・一六二七〉 
わが屋前やどの 萩の下葉したばは 秋風も いまだ吹かねば かくぞ黄変もみてる
《庭の萩 まだ秋風も 吹かんのに 下の葉ほれ見 黄葉こうようしてる》
                         ―大伴家持―〈巻八・一六二八〉 

こころ落ち着いた  妻問い
歌のり取り
じょうが 濃くなるにつれ
新たな 憂悶ゆうもんが 頭をもたげる
〈世の習いとはいえ  いつまでの妻問い 
 ともまいの おとずれが待ち遠しい〉

ねもころに 物を思へば 言はむすべ すべも無し 
《しみじみと 恋しさおもたら 言いない 晴らす方法ほうほも 見当たらん》
妹とわれと 手たづさはりて あしたには 庭にで立ち ゆふべには  床とこうち払ひ 
白栲しろたへの 袖さしへて さし夜や 常にありける
 
《お前とわしと 手ぇつなぎ 朝に庭出て 夕べには とこ延べ清め 袖まじ
 一緒寝たよる ちょっとだけ》
あしひきの 山鳥こそは むかひに 妻問つまどひすといへ 現世うつせみの 人にあるわれや 何すとか 
一日ひとひ一夜ひとよも さかり居て 嘆き恋ふらむ ここへば 胸こそ痛き
 
《山にむ鳥 峰越えて 連れと一緒に る言うに この世生まれた このわしは
 なんで毎日 毎晩も 離れ暮らして 嘆くんか それを思たら 胸痛い》  
そこゆゑに こころぐやと 高円たかまとの 山にも野にも うち行きて 遊びあるけど  
花のみし にほひてあれば 見るごとに ましてしのはゆ 
いかにして  忘れむものそ 恋といふものを

仕様しょう無いよって なぐさみに 高円山の 山や野に 出かけて行って 遊んだら
 花が綺麗きれえに 咲いてたが それ見るたんびに 益々ますますに お前のことが 偲ばれる
 どしたらんや 忘れんの 思うならん 恋うもんは》
                         ―大伴家持―〈巻八・一六二九〉 
高円たかまとの 野辺のへ容花かほばな 面影に 見えつつ妹は 忘れかねつも
《高円の  野辺の昼顔 面影に 見えてお前を 忘られんのや》
                         ―大伴家持―〈巻八・一六三〇〉 

家持の憂悶ゆうもん
やがてに かれる日が 近づいていた


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