令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

赤人編(7)敏馬の浦の

2010年02月19日 | 赤人編
【掲載日:平成22年2月9日】

御食みけむかふ 淡路あはぢの島に ただ向ふ 敏馬みぬめの浦の
 沖辺おきへには 深海松ふかみるり 浦廻うらみには 名告藻なのりそ刈る・・・

赤人は  旅の空にいた
〔重しが取れた今 
 もう一度  人麻呂殿の歌 深く味わい
 研鑽けんさんを積むことが 肝要じゃ
 そのため あの方が 辿たどった道筋
 そこでのまれた歌
 実感するに くはない〕

たま刈る 敏馬みぬめを過ぎて 夏草の 野島のしまの崎に 舟近づきぬ
《にぎやかな 藻を刈る敏馬みぬめ 後にして 草ぼうぼうや 野島の岬》
                         ―柿本人麻呂―〔巻三・二五〇〕 
〔これは 確か 人麻呂殿が 石見いわみの国に下られた時の歌 宮廷歌人としての 人麻呂様では 無かった時かも知れぬ〕 

御食みけむかふ 淡路あはぢの島に ただ向ふ 敏馬みぬめの浦の 
沖辺おきへには 深海松ふかみるり 浦廻うらみには 名告藻なのりそ刈る
 
供御くごを生み出す 淡路の島の 真向いにある 敏馬みぬめの浦の
 沖の海底うみでは 海松みる採っとおる 浦の浅瀬で 名告藻なのりそ刈るよ》
深海松の 見まくしけど 名告藻なのりその おのが名惜しみ 
間使まつかひも らずてわれは けりともなし

海松みると聞いたら お前が見たい 名告藻なのりそ〔なりそ=名を言うな〕言うに 名前は言えん
 言うたら他人ひとに 知られるよって 使い出せんで わし気ィえる》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四六〕 
須磨の海人あまの 塩焼衣しほやきぎぬの れなばか 一日ひとひも君を 忘れておもはむ
《身に馴染なじむ 塩焼き海人あまの 服みたい 心馴染なじんだ あんた忘れん》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四七〕 

〔なんと気持の良いことか 
 これほど 屈託くったくなく 女房殿のことが うたえるとは わしも 変わったものだ〕
赤人は  改めての思いに 感を深くしていた



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