井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

祭りと伊藤若冲

2017-05-14 | 日本語

ピアニストも、寿司職人も、バレリーナも1日練習を怠れば

その分、技術が退化するといいます。物書きだけが例外ではないと

思われるので、数行でも言葉を綴ることをしようと思っているのですが、

ちょっと気を緩めると、ブログも空白になってしまいます。

ここは私の思い発信の場でもありますが、言葉の鍛錬の場でもあります。

カンを失わないための軽いエチュードの場合もあるし、本腰入れて

論理と感性とのバランス取りを試みてみることもあります。

今日、神田明神下のメンズ和服の店に、仕立て上がった

着物を受け取りに行ったら、界隈は祭りの神輿と笛太鼓で

湧き立ち、店にたどり着くのも難渋するほどの人出でした。

夜来の雨も上がり、曇天ではありましたが祭りの活気は「陽」で

明るく華やいでいます。

神輿を担ぐ若者たちを見ていると、これある限り日本はまだ

大丈夫だと、それは理屈にもならないのですが日本人の血に

脈打ち流れ続けているDNAを信じたくなるのが、祭りの場なのでした。

近くまで来ると、神田明神さんにお参りすることもあったのですが、

最近余り足を向けなくなりました。神官さんのお一人が韓国風挨拶

コンスの形をなさっているのを画像で見かけて以来、何となく・・・・

全員がなさっているわけでもないだろうし、もとより明神さんの

責任でもないので・・・・・気持ちが落ち着いたら、またご挨拶に上がるかも

しれません。

仕立て上がった着物は、江戸時代の絵師伊藤若冲(じゃくちゅう)の

絵柄をそのまま反物にしたものです。

蜘蛛の巣と蜘蛛、蝶など、いきとし生けるものたち全てに

まなざしを注いだ絵師の思いが伝わるようで、しかしそれだけに

個性が強すぎて、そう何度も着られるものではないなぁと

昨年から二の足を踏んでいたのですが、やはり気になってここまで

「好き」が持続するなら、持っておこうと思いきったのでした。

 

念願の「雪之丞変化」を観てきました。

名品です。市川昆美学の極み。

長谷川一夫、山本富士子、若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎、中村雁治郎、市川中車、毛利菊枝と今にしてみれば、奇跡の配役陣です。

山本富士子さんと、若尾文子さんの美しさは目をはじくようでした。
この頃の銀幕女優さんの、美のスケールは桁違いです。

時代物の所作も勉強になるし、着物の着付け、所作にも目を凝らして
いました。

富士子さんには、思いがけず数年前お会いしました。私のことを、テレビで
見知っていてくださったことに、たいそう驚きまた嬉しくもあった・・・・というのは
当時の映画スターというのは雲の上の人だったからです。

市川崑さんの「細雪」への出演オファーを富士子さんはお断りになった、と
近くにいる人に聞き、ひとかたならず残念でした。

結局、長女役は岸恵子、次女が佐久間良子、そして、吉永小百合、古手川祐子と続きます。

皆さん、関西ではない中、富士子さんだけが大阪生まれ、京都でも過ごされて正確な大阪弁、それも上流の言葉を音声化できたのに。それに着物にも幼少期より馴染んでいらっしゃり、これほどうってつけの女優さんが、なぜ出演をお断りになったのか・・・・・・。

あるいは、スクリーンでのアップを厭われたかとも思えるのです。私がお会いした数年前ですら美女でいらしたので細雪撮影当時の富士子さんならなおのこと、とこちらは思うのですが、雪之丞変化でこの世のものならぬ完璧な美貌を拝見すると、ご本人の美意識はそれを許さなかったかとも思われるのです。

ご本人も細雪をご覧になって、出演を辞退されたことを悔やまれたということですが、私も無念です。お出になられていれば、その後の映画出演にも連なっただろうし、テレビでも大河などうってつけでしょう。

しかし、もしご自身の美意識から出たことならはたで、とやかく言うことでもないでしょう。

岸恵子さんは、素晴らしい女優さんで仕事をご一緒させて頂きその2作品とも賞を得て相性のいい方です。ご本人の電話番号を知っているほどには、個人的に親しくもあり・・・・
細雪の長女役も好評で、もし一方に山本富士子さんがいらっしゃらなければ、私も納得したのですが・・・
やはりパリの雰囲気がただよい、着物のまとい方も普段なら素敵な感性だと賛嘆するところ、谷崎ワールドの住人ではいらっしゃらない・・・・・というのがごく率直な感想です。

岸さんのお若い頃の写真を拝見しましたが、息を呑む美しさです。
それに当時の女優さんには珍しく、足がすっきりと美しい方です。
私が最後にお会いした時、七十の半ばに達していらしたと思うのですが
その若さは端的に言えば、まだ恋愛オンタイム。
恋をしている、ともし告げられてもすんなり納得できる、そんな若さ
なんでした。
帽子をかぶっていらっしゃり、脱いだ時の髪を気にされて「ずっと、かぶってたから、ぺったんこ」と、気にされていてそういう意味でも若くある方でした。
現在84歳。電話すれば、あの独特の声を拝聴出来るのですが、恐れ多くて遠慮しています。

富士子さん85歳。

男優で最後まで若く美貌を保っていらしたのは、池部良さんでしたか。
今の男優も女優も、80歳が想像できません。
奇跡的な美や若さの保ちかたが、価値観である時代でもないのかもしれません。

美輪明宏さんが今年82歳になられるはずです。
秋にまたコンサートの楽屋でお目にかかりますが、90歳までは、
願わくば、ステージに立っていて頂きたいと思います。
美輪さんも自身に厳しくある方なので、声に陰りが出たり、
動きが鈍くなったら、さっと退かれるだろうと思われ、毎年
緞帳が上がった瞬間、衰えを見ることになるのではないかと、
一瞬脳裏をよぎります。
毎度、衰えるどころかパワーアップさえなさっていることに
驚嘆する、というその繰り返しなのですが。

・・・・・・・伊藤若冲といえば、さっき何気なくテレビを付けたら、見たような絵画が映っていて、よもやと思ったのですが、まさしく伊藤若冲の絵。このてのシンクロは私には多いのですが。

90歳の寿司職人とその後を追う、老天ぷら職人とのドキュメンタリーでしたが、
これもまた老いて極める花、というごとき内容で途中からでしたが、深々とした思いで最後まで見たのでした。

そのドキュメントの中で紹介された伊藤若冲の絵は、羽の一枚をかまきりにもがれた蝶が、それでも必死に飛んでいる姿を描いていて、老天ぷら職人は、老いて手が自在に動けなくなりくじけそうになっている寿司職人を励ますために若冲のその絵を見せたのかもしれません。
結局、老寿司職人は老いたら老いたなりの握り方がある、というところに悟達して番組は終わりました。

 

 

伊藤若冲の絵を、ドビー織りに染め抜いたものです。

江戸の絵師なのに、感性が現代(今)です。

*ドビー織=織り糸で柄を出した織物。
平織に別の糸で織り込み柄や縞を出したものが多く、
光沢を帯びている。

土曜日に、「わが家」の竹園監督と、制作会社MMJの布施さんと会食で、
その時、珍しく黒い着物に黒い羽織、白い帯にグレーの羽織紐、白い襟巻、と
モノトーンを、新鮮に感じました。

 


 

 

 

*誤変換、他は後ほど推敲致します。

 

*コメントの公開非公開はブログ主の任意です。

 

*非公開指定をなさっても、悪質なのは公開します。

 

*システムの不具合でコメントがこちらに、届かないケースもあります。

  

ジャンル:
ウェブログ
コメント (10)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ぬかった、しくじった | トップ | 緑の中へ »
最近の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
配役 (チッチョ)
2017-05-15 02:02:40
市川崑さんの「細雪」この映画の岸恵子さんは、ひとり浮いてるような(ギスギスした?)感じがしました。
山本富士子さんなら、いかにも「ごりょんさん」ですね。
池部良さんは、叔母が「万年青年」と呼んでいたことを思い出します。

若冲のお着物
>個性が強すぎて、そう何度も着られるものではないなぁと
抑えた色合いなので、強すぎるようには見えません。何度でもお召しになって楽しませてください。
雪之丞変化 (総太郎)
2017-05-15 02:24:06
先生、お疲れ様です。

もう、神田周辺ではお祭り・御輿の時期なんですね(^_^)

三島由紀夫先生が祭りの御輿担ぎに、拘りがあり、体験記を記されていましたね。

大映「雪之丞変化」
長谷川一夫先生の映画引退表明作品だっただけに豪華でしたね!

市川中車さんは、昭和46年、三船敏郎さん主演の「大忠臣蔵」
(NET・現テレビ朝日&三船プロ製作)
に吉良上野介役でレギュラー出演中、舞台の掛け持ち等、ご高齢を相当無理なさっておられたようで、急逝され、後半、実弟の市川小太夫さんに交代されたのが、テレビドラマ史上に残るアクシデント。
とても悲しく残念で、御本人もさぞかし無念だったと思います・・。

本当に素晴らしい名演で、放送8割方、収録済みだった為、後半突如、弟・小太夫さん扮する吉良の影武者が登場したような違和感でしたね・・。
そんな市川小太夫さんも僅か五年後、昭和51年に若くして他界されたようで・・。


以前も、投稿した事がございましたが、昭和45年・丸山明宏さん主演のフジテレビ&松竹製作の
「雪之丞変化」も素晴らしい作品でした。
こちらも市川小太夫さんが御出演。
五社英雄監督のトータルプロデュースで、
深作欣二監督、森川時久監督らの豪華な布陣。
フジテレビの能村庸一・名プロデューサーの担当。

山本富士子さん「細雪」御出演辞退に関する小生の考察は、前回も投稿させて頂きましたので慎みますが、井沢先生と同じ気持ちです・・。

これも以前、お知らせ致しましたが、昭和48年、NET(現テレビ朝日)&東映製作「長谷川伸シリーズ」(暗闇の丑松)前編・後編の二週に渡って、長谷川一夫先生と山本富士子さんが久々の嬉しいご共演!
衣笠貞之助先生の脚本にマキノ雅弘監督の強力コンビでした!
(こちらは東映さんからDVDボックスが販売)

美輪さん・フジテレビ版「雪之丞変化」「長谷川伸シリーズ」、両作共にCS等でも放送の機会が稀にございますので、皆様方も機会があれば是非ともm(__)m

先日toko様も仰っておられましたが、ジェームス・スチュワートさんから井沢先生に届いたお手紙は素晴らしいですね(^_^)

先生は拙い英文と御謙遜されておられますが、海外のスターに一生懸命、英文でお手紙を綴られた少年時代の先生も、これまた素晴らしく!(^_^)

小生も井沢先生始め、御尊敬する方々に拙いお手紙をしたためた事はございますが、流石に海外のスターの方々に外国語の手紙を書く勇気はとてもなく・・(^_^;)

当時の日本少年・井沢先生の純粋なお気持ちがジェームスさんに通じたんですね(^_^)

調べますと、ジェームスさんの御逝去は1997年の7月頃・・。
丁度、日本では勝新太郎さんが6月に旅立たれ、萬屋錦之介さん、三船敏郎さん、伊丹十三さんの御逝去もこの年でした・・。

早いもので、もう二十年の時が流れたのですね・・。
皆様方の御冥福をお祈り致します。

美輪さんには、いちまでもお元気で素晴らしいステージを願うばかりです(^_^)

余談ですが、これも名作で、只今、BSフジで
毎朝、藤田まことさん・中村玉緒さん主演の
「夫婦旅日記・さらば浪人」を再放送中!

山本周五郎さん原作、フジテレビ&勝プロ製作
昭和51年の月曜夜9時枠!
もちろん、勝新太郎さんプロデュースで御自身も監督、大映スタッフも参加。
以前も申し上げた事がございましたが、井沢先生の執筆・参加が実現すれば、素晴らしかったに違いない!と思える、心暖まるヒューマンな時代劇なんですよね(^_^)

松田優作さん、原田芳雄さんらゲストも豪華で!
この時代のフジテレビさん、月9枠は本当に素晴らしかった!
勝プロ時代劇や鶴田浩二御大の「大空港」等でしたから・・。

つい熱くなり失礼致しましたm(__)m
井沢ドラマ、待ってま~す! (水色の風)
2017-05-15 07:24:40
井沢先生、おはようございます。

相変わらず素敵なお召し物ですね。
和服を楽しんでいらっしゃる様子が、とても楽しく、まるで自分もその場に居るような気がいたします。

さて…、

>、「わが家」の竹園監督と、制作会社MMJの布施さんと会食

ドラマのご相談ですか?

井沢ドラマを、首を長~~くして待っています。
こんばんは (琥珀色の雨にぬれて)
2017-05-15 22:11:53
先生、こんばんは。

毎日、拝読しておりますが、コメントは久しぶりです。

昔の俳優さんたちは、本当に美しかったですね。
私は母の影響で、時代劇全盛期の俳優さんたちが大好きで、子供の頃から、東映時代劇のビデオを観ていました。
男優なら、東千代之介、中村錦之助、大川橋蔵、大友柳太朗、女優なら大川恵子、桜町弘子、丘さとみ・・・

姿かたちの美しさに加えて、その所作、立ち居振る舞い、言葉遣い等、今の日本人からは、ほぼ消滅してしまった美しさにうっとりし、おこがましくもお手本にしたいと思っていました。(常に反省ばかりですが・・・・)
特に当時の女優さんたちが話す日本語の美しさは、今は絶滅していますね。取り戻すこと叶わず・・・

私は40代ですが、このまま枯れずに恋の一つでもして
みたいです。(私事ですが、恋するとダイエットもはかどるんですよね~)

若冲のお着物、素敵です、精密な生が描かれていて、
引き込まれそうです。
先生がおっしゃるほど、個性が強すぎるようにには思えませんが・・・
たくさんお召しになって、また写真をアップして下さいませ!
(「好き」が持続するって素敵です。)
映画の思い出 (HIRO)
2017-05-16 00:48:28
市川崑監督の雪之丞変化、日本橋の色彩には圧倒されました。
同じ長谷川一夫主演でも衣笠貞之助監督の雪之丞変化とは別ものでした。

山本富士子さんの細雪を見たような気がしましたが、島耕二監督でした。
細雪は阿部豊監督の方を覚えています。

池部良さんの市川監督主演作品では恋人を思い出します。
池部良さん、大河内伝次郎さんは脚本家志望でした。
あの頃のスタア (春一番)
2017-05-16 02:30:36
山本富士子さん本当に美しかったですね。
市川雷蔵さんと共演された映画「歌行燈」の
ラスト近く、、
茶屋で能楽師の席に着いた山本富士子さんは、雷蔵さんと落ち合う事が出来ず失意の中でのお席でしたが、その憂いを含んだ顔がとても美しく‥‥見とれてました。

美しかった銀幕のスタア、、
「スター」でなく、「スタア」がやはり雰囲気が出ますね。

池部良さんは、お声が大好きでした。
文章も洒脱で、お亡くなりになる直前には、
戦中・戦後の体験を書かれていらっしゃいましたね。 

市川崑監督の「ぼんち」。
若尾文子さんが芸者役で、“船場のぼんち”の市川雷蔵さんに囲われる事を、船場の店にご挨拶に来るシーン、、痺れる演技と美しさでした。

良い映画を観たくても、少なくなりました。
昨今の時代劇は、ハリウッド逆輸入風、又はゲーム映像風のものが増えて、
言葉、所作、部屋のしつらい、人物も、、
日本の美しさが損なわれていて残念です。
日本人としての血 (にょり)
2017-05-16 12:59:51
>神輿を担ぐ若者たちを見ていると、これある限り日本はまだ

大丈夫だと、それは理屈にもならないのですが日本人の血に

脈打ち流れ続けているDNAを信じたくなるのが、祭りの場なのでした。


某皇室を語る掲示板にて、紀子様の履いてらっしゃる草履にいちゃもんをつけてた人がいたんです
「足が大きいからはみでてる」的なニュアンスのサゲコメントです。

コメントの人、異民族なのがバレちゃいました。
日本人の血には草履や下駄をきっちりサイズで、しかもきっちりしっかり指をギュッと入れて履くという考えがそもそもなく(私自身特に教えてもらった記憶はなくても浴衣の草履はかかとが少し出る位で履きます。なんならサンダルも少しかかとが出る位を好みます)
なので改めてその点に触れられると寧ろ異民族の人の目線が解って面白いです。

祭りのおはやしや和太鼓の音を耳にすると血が騒ぎます。
これはもう理屈抜きで感じる日本人ならではのものなんですね。

日頃特に意識する程ではない事を異民族の人の視点(もっとも掲示板のコメ主は日本人として(なりきって)書き込んでいます)で再確認できました。

確か、昨年のニュース(かな?)政府が着物の日を作るとありました。
それから進展がないのか一切聞きませんが、大切な文化ですから、身近に感じられる日があると着やすくなって良いです。

若冲さんのお着物素敵ですね
言葉が軽くなってしまいますが、かっこいいです。
グレーの羽織紐 (かよ)
2017-05-18 17:20:56
参考まで伺いたく。
グレーの羽織紐の羽織への取り付け方ですが、
カン(金具)の類をお使いでしょうか、
あるいは直接羽織の「乳」に通す形でしょうか。

この羽織紐の結び方は特殊で、
紐を羽織の乳に直接付けた形では
結ぶのが難しいかと。
今後、こうした点も紹介、解説いただきたく。
かよさん (井沢満)
2017-05-18 19:38:44
カンです。

ぶきっちょで、私は結べません。
房のあるのもすぐ型くずれさせて苦手なので、これは例外です。
撚り房 (かよ)
2017-05-19 15:04:14
井沢さん、ありがとうございます。
やはり、カンでしたか。

そして、この羽織紐の房は、「撚り房」(よりぶさ)の様子で。
同じ房付きでも、「切り房」と違って崩れにくいタイプ。

オフ会での装いも楽しみです。
写真多めでご紹介いただきたく。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む