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ペイン様の悩み多き日々 第22話

2016-10-16 14:25:49 | 日記



ただ一人、サチだけが
「うわー、めっちゃすごい!めちゃくちゃ練習してきたでしょコレー!!?」
と、大感激して久納の腕を掴んできた。
久納が、この曲を聴くのは、確かにこの日が初めてだった。

久納は、ただ赤面するばかりだが、さっきまでと違い、いくらか話がしやすくなっていた。
「この曲………いいね」
と、目をそらしながらも伝える。
「うん、サチもめっちゃお気に入り!MJ先生も、作りながらワクワクしたって」
「え、MJ?」
ペドノンヌのメンバー全員が反応した。
「うん、うちらの曲って、MJ先生が全部作ってくれてるんですけど、なんか最近、特にカワイイ系が多くて、ノリノリってカンジなんですよぉ」
「…そうなんだ」
サチはジーッと人の目を見て話すので、つい恥ずかしくてそらしてしまう。そして常にボディタッチ。

今までチェリーのメンバーの中でも、正直サチは眼中になかったが、この子も案外かわいいなぁ、などと思い始めていた。

「なんかー、私たち気が合うなーって気がしません?」
突然のサチの発言にドキリとした久納。
いい雰囲気になりつつあることを察して、突然きこえてない振りをする他のメンバー。息の合ったチームワーク。一年の大半、音や顔を突き合わせている成果は、色んなところで発揮される。ドリフタ-ズがすぐにコントを始められたのもごく自然な流れ。


さっきからペタンとおばあちゃん座りをしているサチのミニスカートが気になって仕方ない。
「あの…サチちゃん」
「はい?」
「スカート短すぎませんか?お父さんが見たらきっと泣くよ」
「うっはー!マジメなんすね!サチ、パパがたくさんいるんで、どれが本当のパパかわかんないんすよぉ」
「え!」
コップを持った久納が固まった。
しまった、まずいことを言ってしまったか?
だが心配をよそに、サチは
「それに、どうせこれ見せパンだし」
といって自分でスカートをピラっとめくってみせた。

なぜか久納の方が
「うわー!!」
といって、スカートを上げているサチの手を下に押さえ付けた。
「ごめん!」

遊たちが
「なんで久納が泣きそうになってんだよ」
と笑った。

「ダメだよ!もっと自分を大切にして!」
と、久納が初めてサチと目を合わせた。
「ははっ」
と笑ったサチは次の瞬間、横を通りかかったディレクターに
「あー!坂巻さぁん」
と甘い声で擦り寄っていった。あまりの変わり身の早さに、またしても四人はズッコケた。



そして翌日、朝のワイドショーを見ていた久納と遊は、もう一度ズッコケた。
“アイドルユニットチェリーキスのサチさん(18)人気モデルとできちゃった婚”
「な…なんじゃそりゃー!!」
心を弄ばれた久納は怒りしんとう。遊は
「現代っ子だなぁ」
としみじみ。
定位置のクッションにバッタリと倒れ、昨日のドキドキを返してくれとつぶやく久納。

しかしふと、昨日の激しいダンスや短すぎるスカートのサチが浮かんだ。妊婦があれで大丈夫なのか?
思い立ったら止まらなくなり、街へ出た。気づいたら百貨店のベビー用品コーナーをウロウロしていた。

「あれって、ブラックホールに出てた人じゃない?」背後から声がきこえてきた。
「ベビー用品て、まさか隠し子?」
声のする方を振り向くと、噂をしていたおばさん二人組は、急に素知らぬ振りをした。
あれほど濃いメイクをしていたのに、わかる人にはわかってしまうらしい。それにしても、一夜にして有名人になってしまうとは、テレビってすごい。逃げるように別のフロアへ。

結局久納は、サチ用にブランケットを買い、下手くそな字で
「体に気をつけて元気な赤ちゃん生んで下さい」
とメモを添えて、サチの事務所に送った。


届いたその日に、サチからアカシックレコードに電話がきた。
打ち合わせ中の久納が呼び出され、電話に出た。
「あ、もしもし。サチです」
「あ、どうも…」
「一言お礼がいいたかったんで。ありがとうございました」
「いや、別に僕は。ずいぶん激しい踊りもしてたけど、サチちゃんの事務所は、妊娠を知ってたの?」
「ううん。私、ホントは生まないつもりだったし」
「えっ!!」
久納が突然大きな声を出すので事務所中の注目をあびた。

「正直、自分が母親なんてピンとこなかったし。
サチ、ママとも仲悪いし、パパいないし。親ってなんなのかよくわかんなくて。
でも、ペインさんがサチのこと心配してくれたとき、その…決心ついたっていうか。
女としてじゃなく、自分の子供みたいに心配してくれたでしょ。
ああ、こういう風になればいいのかなって」

「そんな…オレは別に…」
「自分を大切にしてって言われたとき、ホントはちょっと泣きそうだったの」
「え…」
あのときのサチといえば、笑ってディレクターの方へいってしまった姿しか浮かばない。
「…そう」
「裕也も…あ、サチの旦那になる人ね。裕也も、子供ができたとき、嬉しくなさそうだったの」
「なっ!!」

久納はテレビのワイドショーにちょうど映っているイケメンモデルの裕也は、優しそうに微笑んでいる。なんとも皮肉な画だった。

「でもね、裕也のことも、この子のことも、サチが絶対幸せにしてやっから、生ませてって言えたんだ」
力強い口調だった。
なぜか久納は涙がこみあげてきた。
「…うん」
「だからペインさん、本当にありがとっ」
「とんでもない!…サチちゃんおめでとう。頑張ってね」


後日サチから意外なお礼の品が届いた。それはMJのソロライブチケットだった。
「MJ先生のソロは、チェリーキスの楽曲とはまた全然違った雰囲気で、いい感じだよ☆先生の曲が好きなら、ぜひ行ってみて!
P.S.先生には内緒でとったチケットだから、いきなり行ったら先生ビックリするかも(^O^)」
というメモつき。

この日、久納の元には別の女性からも連絡があった。妹の杏雅からだった。
「にーちゃん…」
「杏ちゃん、元気だったかぁ?」
「テレビ…」
「テレビな!来月、給料入ったら買ってやるから、もう少し待ってな、ごめんな」
「ちがう。テレビ出たんだってね」
「あ…」

そうだ、公共の電波を通してブラコンぶりをアピールしてしまった。あれが元で、さらにイジメられたりしていないだろうか。
「…余計なこと言ってしまったね、ごめんな」

「たまきちゃんのサインは?」
「え?」
「たまきちゃんのサインだよ!」
「ごめん、もらってない…」
「っバカ!この役立たず!!」
杏雅にブチッと電話を切られた。
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