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ペイン様の悩み多き日々 第37話

2016-10-16 15:20:43 | 日記



さんざん盛り上がって着いた場所は、キャバクラというよりスナック。
酒やけ声に、クルクルパーマのおばちゃんママが
「い゙ら゙っしゃーい゙」
と出迎えた。和服の似合う、清楚な美人ママを勝手に想像していた四人は、ガックリと肩を落とした。
「俺…、なんか違うもの想像してたわ…」
「渡辺淳一の小説に出てくるようなママを想像してた」
「うん…俺も」

「あらぁ、社長さんお久しぶりぃ。寂しかったわぁ~。今日は?
あらまぁ!ステキなゲストがたくさん!楽しんでいってね!」
ママがいちいちお尻を突き出して喋るのが、超気になる四人。おそらく全盛期は、これでたくさんの猛者たちを悩殺してきたのだろう。

カラオケで、石原裕次郎を歌う中年男性。間奏に入ると、店中の全員で一斉に拍手する。若者のカラオケではあまり見られない光景なので、遊が
「社長、これが歌声喫茶というやつですか?」
ときいた。
「何いってんだよ!これがキャバクラでしょ、キャバクラ!」
社長は、ガハハと笑いながら、ママに連れて行かれた。
四人それぞれに、女の子がついた。明と遊には、ママより少し若いくらいの“昔美女”が。
コウには、行く先々でヘマをやらかしている、そそっかしい新人さん。
久納にはフィリピーナが。
「ナニ飲ムカ?」
「え!ああ、ドリンク?
えーっと、烏龍茶でいいよ。ははっ」
「ソレナゼカ?酒飲メ」
「ええ?酒?なんか…あんまりそんな気分じゃ…」

なぜか、一番若くて綺麗なホステスが、カメラマン三上の横についていた。おかしな事態だ。四人へのご褒美のはずなのに。

フィリピーナは、飲もうとしない久納に、無理矢理ウィスキーのボトルごと口に突っ込んで飲ませた。悪ふざけを誰か止めてくれるかとおもいきや、ママも寄ってきて、久納の手を押さえ付けているから、たまったものではない。頭がフラフラして、しばらく久納はダウンした。

意識が朦朧とする中、タナダと社長が何やら隣のテーブルでもめている声がきこえた。
「じゃあ、社長が直接お呼びになったわけじゃないんですか?」
「知らないよ。そっちに任せてあるんだから」
「私、てっきりそうだと…。どうしますか?追い出しますか?」
「こんな楽しい雰囲気こわしたくないだろう。今日はもう参加させといていいから。明日からは、なしだよって話だけつけといて」
「わかりました。三上のカメラもチェックしてきます」
「うん、さりげなくね。収録された内容によっては、とりあげちゃって」
え、三上? 三上がなんだというのか?


やっと意識が戻ってきたとき
「大丈夫ですか?お水、ありますよ」
と優しい声がした。目を開けると、三上のテーブルについていた、ホステスさんだった。
「あ…ありがとう」
グラスを受けとって、飲んだ。近くで見ると、目鼻立ちがくっきりして、美しい人だと改めて思った。
「ごめんなさいね、慣れてないでしょ?こういうの」
「いいんです、いいんです。こちらこそ、恥ずかしいところ見られちゃったな…」
「フフフ。テレビで見るのと全然違うから、親しみが湧いちゃいました」
「またまたぁ」
楽しい雰囲気になってきたところへ、三上がやってきた。
「久納さん、どう?
すごい洗礼受けちゃったね。」
「参りましたよぉ、ホント。ハハハ」
「ちょっとさ、一回トイレ行った方がいいよ」
「ああ、大丈夫、大丈夫。もうそこまでひどくないから。お水、もらったしね」
と、美人に目線を送った。
「いやいや、ムリにでも行っといた方がいいって」
と、強引に久納を立たせて連れていった。久納は美女に
「またあとでねー」
と手を振った。


洗面台まで来たが、やはり吐くほどの気分の悪さはない。フロアの方では、ホステス達によるカラオケタイムが始まったようだ。楽しげな様子に
「あー、三上さん、オレ大丈夫っすわ。戻るね」
といってドアに手をかけると
「これ、久納さんなら安くしとくけど」
という三上。
「え、何?」
振り向くと三上は小さな袋を持っていた。中には錠剤。
「……なにそれ?」


チェリーキスの『ゼリーババロアプリン』を歌うホステスの声が聞こえてきた。


「何って。わかってんでしょ?メンバーの人もやってたんだから。
ああ、でもあの子は葉っぱの方だったか。久納さんだって、どれかはやってるでしょ?久納さんは何派?」
「…何を言って…」
「静君だっけ?あの子は、すすめたら簡単に受け取ったよ。楽になれるかなって。もう、こっちが驚いたよ」
「………」
ダン!!と大きな音をたてて、久納は壁を叩いた。ジリジリと三上に詰め寄った。
「てめー、冗談で言ってるならそのへんにしとけよ」
久納が怒るとは思っていなかったのか、三上は居直ったように
「な、なんだよ暴力か!?こんなところで。ヘッ、やってみろよ」
と、小さなナイフを取り出した。一瞬それに怯むと、今度は
「ハッ!ビビッてんのか!?そうだよなぁ。もしほんのちょっとでも、そのカワイイお顔に傷でも付いたらどうなる?
100万枚なんて売れるのかなぁ?失うものがたくさんあるって大変ですねぇ!」
と脅してきた。


チェリーの歌は、そうしている間にものんきに流れ続けている。

♪キミが食べたがってるそれは
 やわらかくてプルプル
 甘い香りのドリーミースイーツ
私の知らないところでこっそり食べてるんでしょ♪


久納は、ナイフを持っている三上の手を掴んだ。


♪ゼリーだけでは物足りない
プリンだけでも物足りない
ってことは
 ってことは
つまりきっと
ゼリーババロアプリン
全部ほしいってことなのね
ゼリーババロアプリン 嘘よそんなの欲張りすぎよ ♪


ナイフを持った三上の手ごと、自分の頬へと持っていき、ピッタリとつけ、ひいた。
血を見た三上の方が驚いて、ナイフから手を離そうとしたが、久納がその手を離そうとしなかった。


♪ホントはホントは何が欲しいの?ちゃんと答えて♪


「顔で音楽やってるわけじゃねぇ。オレ達は、お前のような人間の理解できないところで結ばれてる。」
ようやく手を離した。血のついたナイフが転がった。そして、左手で三上の顎を固定。
「今度オレの周りで騒ぎを起こして見ろ」
右の人差し指に、自分の血をとった。
「地の果てまで追っかけてって…」
三上の額に“バカ”と書いた。
「とっちめちん!」


三上は
「ひぃ-----!!」
と叫んで、久納の手を振り払い、トイレから飛び出していった。
すると、個室の扉が開いた。人がいるとは思っておらず、ドキッとすると、コウが出てきた。
「なんだ、お前か」
「ア、アニキ---!!」
といって久納に抱き着いてきた。
「手を洗えぇ!!」
「そんなカッコイイアニキ、見たことないっす!!オレ惚れ直したっす!!」
いつも生意気なコウが、手の平を返したように擦り寄ってきた。
「“アニキ”なんて今までいったことなかったくせに…」
「アニキィ…」

久納は、コウの目を見た。
「コウ、お前に頼みたいことがある」
「なんでしょう!?」
「ペドノンヌを頼む」
「は?」
「オレは脱退をしようと思う」
「そ、そんなぁ!?
俺のやり方がダメなんすか!?気に入らないんすか?改めますよ、そんなことくらい!」
「そうじゃない。そうじゃないよ」
「じゃあなんで!?」
コウはダダをこねる子供のようだった。
「お前がいてくれるから、安心して抜けられるんだよ。
コウ、お前は自分の思う通りにやれよ。筋の通らないこととか、変なヤツに邪魔されたら、オレが追っ払ってやるから」
「アニキ…

例えリクさんが相手でも、できますか?」
「リクさん!?え…まあ…うーん…頑張る!」

後日、三上が正式に事務所を通さずに潜り込んでいたことを聞かされた。謝罪ミーティングなるものが開かれた。タナダはみんなから総攻撃をくらった。
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