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忘れ物がありました(笑)ペイン様第41話です

2017-05-19 22:21:45 | グルメ
ペイン様 本編とおまけの間に第41話というのがあったようですが忘れてました。遅ればせながら載せておきます。





41


1994年5月25日

学生服のノッポとチビは、花婿大学の屋外ステージに引き寄せられていた。周りは、若い女の子ばかり。ペドノンヌという激しいスリーピースロックバンドの演奏を楽しんでいる。

チビの久納は、生のバンドサウンドというものを初めて耳にした。曲に合わせてジャンプしたり、手を翳したりするオーディエンスに紛れて、戸惑った。

「じゃあ、ここからはオレたちのルーツである、フィナンシェの曲で盛り上がっていきましょう」
と、ベースボーカルが言うと、静をはじめ、周りもさらにはしゃぎ始めた。

フィナンシェの『リーズン』という曲は、前向きな歌詞と重たいサウンドのマッチングが絶妙で、ファンから最も愛されている曲であると、静は言う。
途中でテンポが変わる斬新な感覚が、当時の業界には新しすぎて、賛否が分かれた作品だった。が、若者には大変うけた。

ファン考案の振り付けも、大人達のノイズを吹き飛ばすかのように、わざと複雑に作られた。
左の客の肩に手をのせて四歩、振り返って右の客の肩に手をのせて四歩。元の位置に戻って一回転。
あまりにも慌ただしい動きに、久納はひたすら困惑した。だが、ペースを掴んでからは、どんどんハイになっていった。

Bメロで振り付けが、また変わる。全員が頭を前後に振りはじめた。ポイントは、体ごと激しく前後させることのようだ。専門の言葉を知らない久納は
“ハイパーししおどし”と、ひそかに名前をつけた。

またしても、テンポを掴むまで困ったが、すぐに慣れた。そのときだった。久納の左隣の女性の髪が、久納の手に当たった。それは、なんとも言えない感覚だった。



久納が七歳になる年、親子三人で、珍しく街に出掛けたことがあった。
街頭のスピーカーから流れる曲に足を止めた久納。

♪ あなただけの秘密の場所に
そっと天使がおりてくる
あなただけの秘密の印 つけて天使は去っていく
生まれてきたのはこのためね
それを教えてくれるのよ
みんないつか出会うのよ
神様のキスマーク♪


「神様の印…?僕はいつ、どこで出会えるの?」
こんなに小さなうちから、なぜ生まれてきたかということに興味を示す息子に、両親は驚いた。が、ニッコリとほほえんで
「さくちゃん。それは、パパやママにもわからないみたいだわ。さくちゃんだけにわかる秘密のマークなのよ。
いつ、どこで、やってくるのか、神様にしか、わからないの。でも、パパやママが、さくちゃんに出会えたように、必ずおとずれる。それだけは約束するわ」
そうして両親は、幼い久納の手をとって、歩き始めた。


“神様のキスマーク”今この不思議な感覚がそれなのだと、久納はハッキリ感じることができた。

僕は…音とともに生きる。音のために生きる…。そこにいるみんなと一つになる。そのために生まれた…


曲が終わると、左隣の女性は
「ごめんなさい、ぶつかったりしてなかった?」
と、乱れた髪を手で直しながら言った。
「いえ、大丈夫です」
と、ぎこちなく答える。
「そう、よかった」
笑顔で言うと、女性は真っ白なワンピースと長い髪をなびかせて歩いて行った。その背中を見ていた。

「久納、メンバーの人、追いかけるよ!」
静が勢いよく腕を引っ張った。
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