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ペイン様の悩み多き日々 第5話

2016-10-16 12:44:47 | 日記
1999年2月24日

「モヒカンのくせにこんないい店建てたのかよ!」
明は今日も大爆笑。
「くせにってなんだよ、ほめろよもっと」

和み系のカラーで統一されたセンス溢れるカフェレストラン。メニューも豊富で、寛げる雰囲気。

「なんだよお前、花とか飾っちゃてさぁ」
明はまだ涙を出して笑っている。
「おぉい、店の空気こわすなら帰れよ」
とモヒカンにエプロン姿で皿を拭く店主。ペドノンヌの元ギター、タケである。その髪型が一番店から浮いてますけど…と、久納はひそかに思ったが口には出さず、黙ってシュガースティック二本入りのカフェ ラテをすすった。

「確かにまあ、俺達はちょっと場違いかもねぇ」
と遊はブラックのコーヒーをすすった。

「そうだ。俺達今度、ラジオに出ることになったんだよね~。惜しいよなぁ、タケもあと少しいればラジオに出れたかもしれないのにぃ」
と、明がちょっと意地悪そうにいった。しかしタケは
「そうか、すげーじゃん!」
と、喜んでいた。
「お前らのサインとか、店に飾らないとな」

こだわりの家具や食器を見ても、タケが本当に熱望してこの店を開いたことがよくわかる。バンドに未練はないらしい。だから抜ける日もあんなに爽やかな笑顔だったのかと、久納は合点がいった。

「あれ?あのサイン…」
遊が店を見渡してつぶやいた。
「ああ、あれね、こないだうちの店に来てくれたんだ。」
「えー、チェリーキスが?あれがのんちゃんで…あっちがれおなちゃんか。こんな所に来るんだ?」
無意識なのか明はタケに対して、ちょっとトゲがある。

「こんなところとは失礼な!なんか事務所がここから近いらしいぜ」
「うおーすげー!ここに通ったら会えるかもしれないっすね!」
久納は結構ミーハー。
「何はしゃいでんだよお前は。その前に、実力で歌番組に出れば会えるの!」明がいつになくプロっぽい発言をした。



久納のバイト先は居酒屋“酔いどれエトワール”。有名人のサインはあるが、大昔の横綱や、きいたこともない落語の師匠のサイン。
「あーあ、オレもタケさんところで働こうかな…」
「え!久納君ここやめちゃうの?」
大きな瞳をさらに大きく見開いて舞が佇んでいた。 レジ下の棚に灰皿を補充に来た彼女は、偶然久納のボヤキを耳にしてしまった。
「あ、いや!別にそういうわけじゃないよ!」
女の子にあまり免疫のない久納は、話し掛けられただけで焦る。

「久納君、バンドやってるんだってね」
「あ、ああ、まあ」
「すごーい、見てみたいなぁ」
「いや、そんなたいしたもんじゃ…」

バイトのメンバーで全員合わせると10人ほどだが、舞はその中でもマドンナ的存在だった。

「見に行ってもいい?」
「え!それは嬉しいけど…なんていうかちょっと…」
「ダメなの?」
ファンはファンでかわいいのだが、舞がペドノンヌファンの中にいるのは、ちょっと想像ができない。

ペドノンヌファンには熱狂的な子達も増えてきており、久納を“様”づけで呼ぶ子もいる。いつもバイトモードで会っている人に、様で呼ばれている自分を見られるのは、正直恥ずかしかった。

「ま、舞ちゃんがバイト入る曜日とライブ、かぶる確率高いから、しばらくは難しそうだな~」
「え…そうなんだ」
自分のステージを見れないことで、マドンナががっかりしている。なんだかちょっと嬉しい。

「あ…、そうだ。久納君そういえば、今度バイトのみんなで遊びに行こうって話きいた?」
「え、はじめてきいたな」
「えー、そうだった?今度の火曜日のお昼に、こまっしゃくれタワーに行こうって、みんなで話してるんだ!久納君も行こうよ!」
「あ、そうなんだ」
「男の子たちいわく、アイドルのチェリーキスが来るらしいよ」
「え!チェリーキス!?」
「久納君も好きなの?やっぱり」
「い…いやぁ、人並みに知ってる程度だけど、見れたら得だよね」
ミーハーな自分を押し隠している。

そこへ客が入ってきた。
「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
舞は客を案内するために奥へ歩いていったが、一度振り返って口パクで
「ぜったい行こうね」
といった。
うーむ、何着て行こうか…


その晩、久納が歯を磨いていると、遊がゆるりと現れて一言
「チューぐらいしちゃいなさいよ」
と言った。ちょうど口に水をふくんだところだったので、ブッとふいてしまった。

「ゴホッゴホッ、なんなんすかいきなり!?」
「デートの約束をしたって顔に書いてあるよ」
「違いますよぉ!デートじゃなくて、その他も同行です」
「あー、でもやっぱり女の子と遊ぶ約束あるんだ」
「え!」
やられた。遊にはかなわない。
「キャッハー!クローゼットから服を引っ張り出しては あてて、引っ張り出しては あてて…」
「み!見てたんすか!?」
「あ、ホントにそうだったんだ?」 がくっ

「なんか隣からガサガサきこえると思ってた。ま、頑張ってね」
「だからみんなで遊ぶだけっすよ~」
とはいいつつも内心、何かの拍子に二人きりになったらちょっと楽しいことになりそうだと妄想していた。


「ワタシ、いつも久納君と働いてて、楽しいなって思ってたの。よかったら私と…」
「舞ちゃん、オレだって…」
などと妄想の中の舞ちゃんとデートをしていると、再び遊がニュッと現れて
「オレのアクセサリー、よかったら貸してやるよ」
「うおぉ!!ビックリした!!」
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