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ペイン様の悩み多き日々 第17話

2016-10-16 14:00:38 | 日記



家に戻って一息ついたところで、遊が、自身の携帯を見ながら
「いかなるときも電話に出るって、Hしてても出なきゃダメってこと?」
「そりゃそうでしょ!って、なんすかその例え!?」
「社長って、ああ見えて結構、いやらしい趣味を持ってるのね」
嫌がっている様子はなく、新しい発見をした科学者のように目を輝かせている遊。
「何を考えてるんすかっ!あんたは!?
ついていけない、もう」
そして久納も、自分が今日渡された電話をポケットから出そうと手をのばした。
しかし、手がポケットを泳ぐ。手ごたえがない。背筋にスーっと変な汗が流れた。
「・・・ない」
「え?」
「ケータイ!!ないっす!!」
「もう一度よく探してみなよ」
「うん」
久納は、鞄をひっくり返したり、ズボンまで脱いで必死で探すが、やはりなかった。

「もしかして!リクさんとメアド交換したとき落としたかも・・・」
「あちゃー」
「オレ!今から行ってきます!!」
そういって久納は、玄関へダッシュしかけたので、遊はタックルしてとめた。
「ズボンを!はきなさい!」
脱ぎ捨てられたジーンズを手渡した。

走り出した久納は、青い顔して
「なんとか、ここまでの間に、会社から着信が来てませんように」
と何度も祈った。
夜のアカシックレコード。扉を勢いよく開き、
「すいません!忘れ物しました!」
と叫んだ。
就業時間は終わっているので、不二子もいない。オフィスの方もガランとして、部屋の奥半分は電気も消えていた。
汗だくで息を切らせながら、オフィスの机の下などを探す。こんなところにあるはずないと、どこかでわかっているのだが、絶対にみつけなくてはいけないというプレッシャーでパニックになっている。
確立は低いが、社長室にも入ってみた。
すると、なんとそこには、暗がりの中、大きな社長椅子に腰掛けたあのセクシー秘書不二子が、ケータイ片手に座っているではないか。
人がいると思っていなかった久納は
「うわーーーーーー!!!!」
と驚いて腰を抜かした。
不二子が手に持っているのは、久納が落とした携帯。
「うふふ。待ってたわ」
「あ・・・あの・・・」
不二子は、足をしつこく何度も組みかえながら
「これでしょ?お探しのものは」
と、携帯を見せびらかす。
ついでに自慢のおみ足も見せびらかす。

不二子は立ち上がったかと思ったら、へたりこんだ久納の目線まで身をかがめ、四つんばいになった。
「あの、落としてすみません。・・・返していただけませんか?」
不二子はニヤリと笑って、何を思ったか携帯を胸の谷間に収納。
「のーーーうぇい!!!なにしてるんすか!!!?」
「さあ、とってごらんなさい」
「はあ!??」
戦闘力をすでに失っている久納に、無理な注文をする。


そのとき、なんと着信がきた。自分の胸で電話が鳴っても驚く様子のない不二子。
久納の方は、その音に驚き、また
「うわー!!」
と叫んだ。携帯は胸の中、でも電話をとらないと社長に殺されるかもしれない。
恐怖心が勝って、勢いのまま急いでとりあげた。当然胸を触ったはずだが感触を確かめる間もなかった。
すぐさま正座して
「はい!もしもし!」
すると電話の相手はリクだった。

「あ、久納ちゃんか?
今日オレ一人やねん。よかったら焼肉つきおうてんか?入社祝いにおごったるでぇ」
「リクさん!」
「いまどこにおんの?」
「社内~~」
そのとき、隣にいた不二子が、久納の耳に息をフッとかけたので、語尾が
「うひっ」
となってしまった。

「・・・そうかぁ。ちょうどオレも近くにおんねん。迎えに行こか?」
「はい!今すぐに!今すぐにーーー!!!」
わざと大きな声で言うと、不二子は諦めたのか、久納から離れた。
「ハハハ。よっぽど腹へってんねんな。よっしゃ、今からすぐ向かうさかい、まっとき」
「はいいぃ」
そうして電話を切ると、
「リクさんが迎えに来るんで!リクさんが来るんで!」
と、へっぴり腰でそそくさとその場から逃げた。


エイリアンから逃げ惑う人のごとく、追っ手がきていないことを確認しつつ、エレベーターのボタンを連打。
なかなか自分のいるフロアに到着しないエレベーターを待っていることができず、階段で駆け下りる。
ようやく一階まで来て、追っ手は来る様子がないと確認。落ち着くためにも自販機で、ミネラルウォーターを買った。
水を飲み、呼吸を整えていると、外から低いエンジン音。リクのフェ ラーリが到着した。
「おつかれ!」
と手を上げるリク。

助手席に乗り込む。
「ほな、しゅっぱーつ!」
優雅なハンドリング。男の久納から見ても、運転席のリクは、いっそう男前だった。
「フ ェラーリかぁ。いいなぁ。オレもいつかほしいっす!」
「ははっ。せやけど、オレもこれ買うたときは、まだまだ不安定な時期やったんやで」
「え?アカシックに入っても?」
「入ってすぐの頃やな。自分を追い詰めたくて、あえてその時期に買うたんや」
「すっげー」

ラジオからは、チェリーキスの『ゼリー ババロア プリン』が流れていた。
リクは何も聞いてこない。こんな時間に一人で何をしていたかと聞かれると思ったが、余計な心配だった。
久納の身に何がおきたかなど、しるよしもないだろう。
久納は、安定したリクの運転に揺られながら、ミネラルウォーターを口にふくんだ。
「全然かんけーないけど、この曲エロいな」
突然のリクの発言に、ふきそうになった。まずは、ごくりと飲み込む。
「そ・・・そうっすかね?」
その後、少し沈黙があった。

胸の動悸がまだおさまらず、気持ちを静めることに集中しようとした。
水を口に入れた瞬間、
「久納ちゃんさっき電話で あふん て言わんかった?」
またしても不意をついた質問に、今度は完全にふいた。
「ごっほごほっ!!す、すいません!大事な愛車に!」あわてて服の裾であたりをふいた。
「ああ、気にせんでええよ」
リクはいたって無表情。
何を話していいかわからなくなってしまい、気まずい車内。

今度こそ、気を取り直して、と水を飲む。そのとき
「あ、秘書さんは社長の愛人やから、手出したら海に沈められるで」
さらに豪快にふいた。
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