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ペイン様の悩み多き日々 第18話

2016-10-16 14:03:45 | 日記



仕事としてはじめて着信があったのは、二日後のことだった。

朝の六時に「港に来い」という電話がきた。
「港」というキーワードで久納は、昨日の社長室のことがバレたのかと、早朝にもかかわらず一気に目が覚め、かといって逃げることもできず、二度寝しようとする遊を叩き起こした。
とにかく急いで、昨日は何事もなかったのだと伝えなければ命がない。

事務所の前に四人が集合すると、髪の毛ボッサボサの化粧っ気のない女の子が立っていた。
「今日からマネージャーやります棚田です」
ザ・裏方といいたくなるその地味な風貌。愛想もない。このときはまだ、
「マネージャー?ああそうか、プロにはそういう人がつくのか」
という風にしか四人は思っていない。

棚田の運転する車に揺られて、みんなウトウトし始めたが、久納だけがハラハラして祈るように指を組んでいた。ふと、同じ道を二回通っていることに気づいた。
「あれ?棚田さん、この道さっきも通りませんでした?」
久納が尋ねる。
「あの…」
「はい?」
「…迷いました」
「はぁっ!!?」
久納の大きな声に驚いて、他のメンバーは目を覚ました。
「頼むよ、ちょっと!!なにやってるの!」
久納は必死だ。
棚田は
「す、すいません。すいません」
と謝る。
「すいませんじゃ済みませんよ!」
久納がやかましいので
「わかった、わかった。俺、道わかるかも。海は深夜デートに使ったことあるし」
と、遊が運転を代わった。

出会った初日のこの事件で、棚田とペドノンヌの関係は決定的になった。
この先、やんちゃぼうず達に言われ放題になるのは必至だった。

「もっとかわいいマネージャーでないと、やる気がわかない」
「休みがないのは棚田のせいだ。とりあえずアイス買って来い」
「たまには、ちょっと色っぽい格好でもして盛り上げてよ。いや、やっぱいい、棚田の肌とか見たくない」
人格を否定するような言葉や、セクハラまがいのことを言われても、棚田はヘラヘラ笑っているだけ。
どんなにひどい発言も、四人の甘えの形なのだと受け入れる母の様な存在・・・そういう感じでもない。何を考えているのかいまいちわからない。それが棚田だ。



港に到着したのが、30分遅れ。現場のスタッフ達の表情は冷たい。
社長も不二子もいないので、久納は拍子抜けした。
だが、消防車が4台も並んでいたので、不安は別のものになった。メイクさんや、カメラマンらしきスタッフが、すでに準備していた。

現場に着くなり四人は着替えさせられ、何も聞かされないままメイクもされ、消防車の前に立たされた。
できれば、プロのメイクさんにやってもらったのを鏡で見たかったが、そんな暇も与えられなかった。
ここで明が
「あの!何をするかきかせてください!」
といった。
そこではじめて監督らしき人が、「『バイオレットレイン』のプロモ撮ります。一日仕事になるからそのつもりで」
とだけ言った。

まさか一日中、水をかけられ続けるとか?いやそんなことは・・・

そのまさかだった。8月とはいえ、気温の低い日だったことも影響し、久納は肺炎で病院に担ぎ込まれた。
意識があるのかないのか、運ばれている間
「社長・・・僕は何もしてません。本当なんです・・・」
と、うわごとを言い続けていた。
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