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ペイン様の悩み多き日々 第13話

2016-10-16 13:56:28 | 日記
13


「もともとスリーピースでやってまして、その頃はビジュアル系ではなかったんですよね。
遊がベースボーカルで、もう一人の奴がギターで、俺は今と同じくドラムで。
ギターの奴が抜けたところに静が入って、遊がベースボーカルからボーカルだけに専念したいっていうとき、ぺインが入った感じですね」

「うんうん。新しいメンバー二人と初めて会った瞬間て、ビビビときたって感じだった?こいつはメンバーになるやつだ!みたいな」
「あー、その日の朝の占いで“果報は寝て待て”“去る者は追わず”って言ってたんですよ」
「…ええっ!?」
1番驚いたのは久納だった。てっきり、自分たちに強い将来性を感じて加入させてくれたと思って今日まで一緒にやってきたのに。

地味にショックを受ける久納。それを見て勝ち誇ったようなきんちゃん。
「ユニークだなあ、ペドノンヌ。ははは」

「去る者って、その日ぬけたギターでしょ。抜けたその日に新しい奴が入ってくるなんて、思ってもみないじゃないですか?あれは大当りですよ!」
明はなんの計算もせず思ったままを無邪気に話す。

「ハハハ。遊さんにとっても、そんな感じだった?」
きんちゃんがきくと、
「静は指を見て、弾ける人だってすぐわかりました。ペインはこう見えて、見えないところがすごいんです」
「へぇ、なんか…意味深ですね。遊さんにとってはビビビときたってことなんでしょうね」

久納は
「静がバンドに入るとき、遊さん、背中向けてて指なんて見てなかっただろ! テキトーなことばっかいってる!」
と心の中で文句を言った。
久納の思わぬ方向へ行ってしまうメンバー。ますます強気のきんちゃん。


「えー、新曲『バイオレットレイン』なんですけど。作詞作曲は誰がやるか、いつもはっきり決まってるんですか?」
幸い、今回の曲作りは、久納担当ではなかった。

「詞はいつも僕が書いてます」
「あ、遊さんが」
「はい。実際に見た光景で、ネオンの明かりに照らされた雨が紫色に光っていて、すっごくキレイだったんですけど、なんだかはかなくて切ない感じがしたんですね」
「それをヒントに?ロマンチストですね~」
「いやいや」
「静が作ってくれた曲がもともとあって、そのイメージにピッタリだと思って歌詞をつけました。今回はそんな感じです。曲はみんな作りますけど、詞が後か先かはそのときによりますね」
「そうなんだぁ。静君的には?この曲に対する思いとかあったら…」
「いえ、あの、思った以上にいい詞をつけてくれて、すごく嬉しいです」
「ほぅー。じゃあ、さっそく聴いてもらえうかな。ペドノンヌで『バイオレットレイン』」

曲紹介もバッチリきまったところで、どうだといわんばかりに久納を見るきんちゃん。鼻の穴を広げて口をへの字にする久納。見守る三人。そして流れる新曲バイオレットレインの激しいサウンド。


♪ただ君だけが欲しいのに
 叶わないならバイオレットレイン
 僕の心も中和してくれ
雨とともに溶けてしまえたら
 この熱は冷めるのだろうか ♪



久納ときんちゃんにも、水でもぶっかけて一度冷静になってほしいと願う三人。

曲が流れている間、手持ちぶさたな静がテーブルの上にあったごきげん君に手をのばして膝の上にのせた。

「あ、気に入ってくれた?オレがデザインしたんだよ」
「あ…はい」
静は口下手だが人の心を掴むのがうまいところがある。
気に入ったというよりは、なんとなく手にとっただけなのだが、きんちゃんは静を味方に引き入れたかのように得意げだ。ますます面白くない久納。

曲が終わり、一度CMに入ってスタジオに戻る。
「いやー、激しい系なんだね!カッコイイよ」
「ありがとうございます」
「ちなみに、歌詞にあったような、雨に打たれてでも冷静になりたいなんて場面、日常であったりする?」
きんちゃんこともあろうに今一番きいてほしくない質問をぶつけてきた。

「僕ら音は激しい分、普段は穏やかなんで」
明は言ったが
「そっか。オレも基本、穏やかな人間なんだけどさ、今日あったよ。ここ来るときの電車の中でさ、もー隣の車両にすっごいやかましい子がいてさ」
きんちゃん、ついに仕掛けてきた。
「思わず隣行って注意してきたもん」

すかさず久納が口を開いた。
「そうなんすかー、いまどき感心な大人ですね。でも、きんちゃんガタイがいいから、突然怒鳴られてその子ビビッちゃったんじゃないすかねー」
もう手のつけようのない事態に他の三人はハラハラしながら黙っているしかなかった。

「いやいや、ビビッちゃうようなかわいげのある輩じゃなかったよー」
「子供って、頭ごなしに言われると、つい反抗的になるってとこありますよね。そういうのをまずは寛容に受け止めてくれる大人って、僕はついていきたくなりますけどねー」
何やら空気がおかしいことを、ようやく周りのスタッフやリスナーも、気づきはじめた頃だろう。

「いや実はさ、そのボーズ。前にも会ったことあるんだよこれが」
ずっと大人を装ってきたきんちゃんも、感情的になってきた。

「そいつ、そこでも大騒ぎしててさ。周りに超迷惑かけてんのに謝罪の言葉もなくて、もー常識がないにもほどがあるっていうか…」
「何か周りが見えなくなるほど嬉しいことでもあったんすかねーその子」
一触即発。

「しまいには、人の服に飯ぶちまけて、オレはビッグになるからそのうち弁償してやるってさ」
「なにをー!!」
椅子をはじき飛ばす勢いで久納が立ち上がった瞬間、静が持っていたごきげん君を久納の口に押し込み、明が後ろから押さえ込んだ。

きんちゃんも立ち上がっていた。鼻息荒く、トークどころではなかった。リスナーたちも、久納が椅子を倒すガタタンという音がしてから無音になったので、何が起こったかわからず、耳をすませていることだろう。

アシスタントが慌ててCMにいく準備をしかけたとき、遊がボソッと
「はぁ…これがもしベッドの上だったら全部まぁるくおさまったのにね」
一同「おさまんねーよ」

まるでオチをつけたようにCMに入った。
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