雨、20度、86%
主人はコーヒーが好きで結婚する前からコーヒーミルを持っていました。40年前のことです。鋳物でできたそのコーヒーミルは壁に取り付けて使います。ゴリゴリと回すとコーヒーのいい香りが匂い始めます。他の台所道具と共に我が家の行く先々に一緒でした。もちろん香港にも持って行きました。香港の家はどれもがコンクリートの箱です。コーヒーミルを設置できる場所がないまま、何度目かの引っ越しの時捨ててしまいました。
雑誌の「PEN」が「コーヒーと暮らす家」と特集を組んでいます。「PEN」は好きな雑誌の一つです。コーヒーが好きで、自分なりの工夫をしてコーヒーを楽しんでいる男性が数人登場します。そのコーヒーを淹れる場面、コーヒーカップを持つそれぞれの家の風景が見られます。なぜかコーヒーを入れるのは皆男性です。「PEN」は男性向けの雑誌なのかもしれません。コーヒーの入れ方も様々、一人で楽しむ人、家族と共に楽しむ人、これまた様々です。ただ自分が美味しいと思うコーヒーを入れるという一つのことに集中しています。珈琲店ではありません。万人受けのコーヒーでなくとも家庭で淹れるコーヒーは自分のまたは家族の嗜好に合うことを考えます。
私も私が飲みたいコーヒーを求めて試行錯誤しています。これと思うコーヒーがはいった時のその一杯は宝物です。そして素人ゆえに同じコーヒーを2度と淹れることができません。主人が「電気ミルでは熱で香りが飛ぶからダメだよ。」と教えてくれていたにもかかわらず、朝の一杯など手軽に挽けるので電気ミルを使っています。仕事に行く、用事が山積みの時ならいざ知らず時間が許せば手で挽くミルがいいと思います。普通のミルを買いました。私一人分の豆ならば100回も回せば出来上がります。あの騒々しい電気ミルの音は朝の静かな空気を邪魔します。朝最初の一杯、 身体も気持ちも目覚めます。
主人が持っていたコーヒーミルが懐かしい。いつか同じようなミルに出会えそうな気がします。