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「欠陥住宅」

2017-04-19 17:58:07 | 日記
建物の基礎部分の鉄筋コンクリートのかぶり厚さの

不足を理由に不法行為責任を認めた判例をご紹介します。(平成23年仙台高裁)

紛争の内容は、Xは平成9年、建設業者Y1に対し戸建住宅の建築を注文し、

代金3,500万円で建築工事請負契約を締結しました。

Y1は、基礎工事については設計・監理を行い、建設業者Y2に下請として施工させました。

Y1は、同年10月に完成した住宅をXに引き渡しました。

その後、この住宅には次のような現象があることが判明しました。

建築基準法施行令第79条は、基礎のかぶり厚さを60㎜以上とするよう定めているが、

この住宅の基礎には、かぶり厚さが21㎜・25㎜となっている箇所がある。

同条を前提とすると、基礎に直径10㎜の縦横筋を配置した場合、

基礎のコンクリートの厚さは、最低140㎜必要となることになる。

しかし、この住宅の基礎には、コンクリートの厚さが100㎜・115㎜・130㎜となっている箇所がある。

基礎立ち上がりに、床下通気口の設置工事の際に切断した鉄筋が剥き出しとなっている箇所があり、

鉄筋に錆が生じている。

XはYらに対し、不法行為責任を主張し、基礎工事のやり直し費用・修理工事期間中に住む住宅の家賃・引越し費用などを

支払うよう求め、平成18年に訴訟を提起しました。

一審判決は、まず、建物にその基本的な安全性を損なう瑕疵があり、

これにより居住者等の生命、身体または財産が侵害されているといえる場合に、

建設業者が不法行為責任を負うという基準を採用しました。

そのうえで、この住宅の基礎の鉄筋部分は錆びておらず、現時点でこの住宅が倒壊するような

危険はないということを理由として、基本的な安全性の欠落があることを否定し、

Xの請求を認めませんでした。

Xはこれを不服として控訴し、控訴審判決では、基礎の鉄筋のかぶり厚さは、鉄筋の防錆、

付着強度の観点から要求されるものであって、かぶり厚さの不足によって直ちに建物強度の不足が

生じることはない。しかし、かぶり厚さが不足すると、長期的にコンクリートが中性化し、

内部の鉄筋に錆が生じ、建物強度が弱まることになる。

この住宅は、かぶり厚さや基礎の厚さの不足の程度が大きいといえる。

このまま放置すると鉄筋が錆びて建物強度が弱まり、居住者の生命や財産などに対する危険が

現実化するおそれがある。よって、この住宅には、基本的な安全性の欠落がある。

鉄筋の露出部分に錆が生じていることについても、同じ理由で、基本的な安全性の欠落にあたる。

この住宅の修理方法としては、建物を持ち上げて、現存する基礎を撤去し、

新たに基礎を再施工するという方法が相当である。

Yらは、この住宅の外周部分及び内側の基礎上部及び側面を補強する方法で足りると主張するが、

証人の証言によると、Yらが主張する方法は、基礎下部のかぶり厚さの不足を修補するものではなく、

現存コンクリートの中にある鉄筋の錆のおそれは残ることになる。

よって、Yらが主張する方法は、この住宅の修理方法として不相当である。

この住宅には基本的な安全性の欠落があり、

Xには基礎工事のやり直し費用等の損害が生じていると認定し、

Xに対して1,942万円余を支払うようYらに命じました。





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