マイコー雑記

行き来するもの書き留め場

消費するだけでなく創造できる「ギフテッドネス」をどう開発する?教育学者レンズーリ氏の研究紹介

2017年01月23日 | ギフテッド

『虹色教室通信』で教育学者ジョセフ・レンズーリ(Joseph S. Renzulli)氏の研究が紹介されています。

レンズーリの拡充学習について

 

 

 

レンズーリ氏といえば、

「『ギフテッドネス』についての解釈を広げた」とされる教育学者です。

 

レンズーリ氏の研究が画期的なのは、

「ギフテッドネスとは開発していくもの」という視点を示したこと。

 

レンズーリ氏は、

「どういう人がギフテッドか?」といったことよりも、

「何がギフテッドネスを作るのか?」

「どうしたらギフテッドネスを開発していくことができるのか?」

ということを研究し続けたんです。

 

その方法のひとつが、『虹色教室通信』で紹介された

「レンズーリの全校拡充学習or全校総合学習モデル

(SEM: The schoolwide enrichment model)」です。

 

 

 

「ギフテッドの3輪概念」

 

レンズーリ氏は、

以下の「3つの輪」を用い「ギフテッドネス」について説明します。

 

 


1.平均以上の能力(Above Average Ability)

一般的能力:情報処理力、体験の統合、抽象的思考、言語的数的論理性、空間認識、記憶、言語の流暢性など、IQや学力など伝統的な方法でとらえられる能力。

特別な能力:知識を獲得する容量、技術、もしくは、限られた範囲のアクティビティーで発揮される力。実際の生活で発揮される。例えば、化学、バレー、数学、作曲、彫刻、写真撮影など。化学や数学は、従来のテストではかることができるものの、アート、身体力、リーダシップ、計画性、人間関係スキルなどの多くの「特別な能力」は、テストなどでは簡単にはかることできない。よって「観察」が必要になる。

 

 

2.創造性(Creativity)

流暢さ、柔軟性、思考のオリジナリティー、体験へのオープンさ、刺激への敏感さ、積極的にリスクを犯す、など。

 


3.課題へのコミットメント( Task Commitment)

やりぬく力、忍耐、ハードワーク、自信、特定の物事への魅了など、モーティベーションが行為として表れること。

 

 

これら「3つの輪」が合わさることで、

「ギフテッド的行為」が花開くというわけです。

 

そしてこれら「3つの輪」を育むことが「ギフテッドネスの開発」、

つまり、「レンズーリの全校拡充学習or全校総合学習モデル

(SEM: The schoolwide enrichment model)」が目指すものなんですね。

 

 

 

 

レンズリー氏の「ギフテッドネス」について研究抜粋

 

・「消費するだけ」より「生み出すことのできる創造的」な人材を育むことこそ「ギフテッド教育」。

 

・IQや統一テストのスコアの高さと、社会に出てからの貢献は関連しない。

 

・特に「創造性」は、IQや統一テストスコアとは何の関連もないどころか反比例することもある。

 

・「知性」とは何かを見直すことが大切。

心理学者のハワード・ガードナー(Howard Gardner)氏の提唱した

「多重知能理論(Multiple Intelligence)」などを用い

「知性(intelligence)」についてより幅広くとらえる大切さを説く。

*多重知能:

・言語的知能・論理数学的知能・音楽的知能・身体運動的知能・空間的知能・対人的知能・内省的知能・博物的知能の8つ。 

 


・「学校内ギフテッドネス」と「創造的生産的なギフテッドネス」が存在する。

IQや学力のみでギフテッドネスをはかるならば、

前者だけが「ギフテッド」と認められてしまう。

 

「創造的生産的なギフテッドネス」こそ、

世界に影響を与え物事を変化させる力となり、

「ギフテッド教育」とは、「創造的生産的なギフテッドネス」開発を目指すものなのだから、

従来の「IQ上位○パーセントがギフテッド」などの認識や判定基準を改めることが重要。 

 

 

 

私自身、レンズリー氏の研究にとても感化されます。

 

『虹色教室』では、「レンズリー氏の拡充学習」を目指しているんですね。

 

主催者の奈緒美さん曰く、

レンズーリの提案する拡充学習は、

「家庭でするならちょっとした空き時間に
お金をかけずにやっていけるようなことばかりです。」とのこと!

 

虹色教室でも紹介されているTamakiさんという方のブログ

Follow your bliss』記事

世界にたった1人のこどもの個性や特徴に向き合う子育て」でも、

こんな呼びかけがされています:

 

「これから家庭で拡充学習をするために、いろいろ手立てを工夫してみようとおもいます。一緒にこういうことやってみたいと思う方がいたらぜひコメントなどでご連絡ください。アイディアなど出し合って情報交換できたら楽しいとおもいませんか? 」

 

私自身も、ご近所だったらTamakiさんのところにスグにでも出かけていって、← 迷惑?

具体的に何ができるか、

「あれしてみよーこれしてみよー」と話し合いをしてるんじゃないかな、

と勝手に想像してます。

 

 

国や制度やと待っていても時間がかかることですし、

待ったなしで今この瞬間にも成長し続ける子ども達のためにも、

個々の親ができる範囲で動いていくのって、本当に頼もしいですよね。

 

そして、同じような方向を目指す親が繋がることの大きさ。

1人でできることって限られてますから。

 

親子で楽しみながら、あれこれ試していきたいですね!

みなさん、新しい週、よい日々を!

 

 

 

 

参考資料:

・’The Three-Ring Conception of Giftedness: A Developmental Model For Promoting Creative Productivity’ by 

Joseph S. Renzulli The University of Connecticut

http://gifted.uconn.edu/wp-content/uploads/sites/961/2015/01/The_Three-Ring_Conception_of_Giftedness.pdf

 

・’Renzulli's Three-Ring Conception of Giftedness’ by Matthias Giger

http://www.gigers.com/matthias/gifted/three_rings.html


・現在も、米国コネチカット大学の

「創造性、ギフテッド教育、タレント開発のためのレンズーリセンター

(Renzulli Center for Creativity, Gifted Education, and Talent Development)」では、

レンズリー氏の提唱する論の実践&研究がすすめられています。


ジャンル:
ウェブログ
コメント (3)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 子育て風景:肋骨折れず感謝... | トップ | 『It Mama』連載「なんと世界... »
最近の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます♪ (tamaki)
2017-01-24 05:47:29
記事ありがとうございます。

レンズーリの考えをざっくりまとめてくださって、とても参考になります。

>・「消費するだけ」より「生み出すことのできる創造的」な人材を育むことこそ「ギフテッド教育」。

これはまさに!と共感しました。日本でもいま求められていることなんではないかと。

そして「3つの輪」の理論おもしろいです。ギフテッドというとやはり1の平均以上の能力(Above Average Ability)を思い浮かべますし、生まれつき固定のものって印象を持ちますが、それって2.創造性(Creativity)と、これがしたい!という本人の自発的な動機によって3.課題へのコミットメント( Task Commitment)ができれば後からついてくる、というふうにも読めますね。

そして、多重知能というのは、従来の知能の定義から一歩進めて8つの知能を提唱しているとのことですが、これも興味深いです。

いまなんとなく考えていたのが、学校や幼稚園で評価される才能ってとても限られているけど、人にはもっといろいろな才能があるよな、ということなのです。中には計りにくいものとか評価が難しいものとかあるでしょうけど、とにかく存在はしてると思うのです。球体をイメージしてその360度あらゆる方向に才能の方向があると考えたら、いま評価されているものって数パーセントじゃあ?とか。でもレンズーリの拡充学習モデルを、各家庭で実践することで、あらゆる方向の才能を認めて伸ばしていくことができるんでは?とか。そしたらみんながギフテッドなんでは?とか。そんなこと考えるとおもしろいですよね。

またいろいろ教えてください!
追伸 (tamaki)
2017-01-24 18:03:08
とてもためになる内容でしたので、自分のブログでこちらの記事を紹介させていただきましたがよろしかったですか?わたしのブログの紹介は好きにしていただいて結構ですのでお気遣いなく。
tamakiさん、コメントありがとうございます! (マイコー)
2017-01-25 04:06:33
消費するだけより、創造できる力を培っていく。

これは本当に、これからますます世界中で求められていく力なのでしょうね。

にも関わらず、以前にもあげた創造性についての記事や、今回の記事にあげたレンズーリ氏の論文の記述にもあるように、今の一般的な学校教育というのは、創造性を育む場からはかけ離れているといえるのでしょうね。

学校が「優秀」として子ども達に与える評価と、創造性の高さとが「反比例」しているというデータさえあるわけですから。

確かに、逐一テストスコアではかられ、「失敗するなするな」と言われ続けたら、創造性など隠れてしまいますよね。

このレンズーリ氏のギフテッドについての研究は、発表当時、学会でも全く関心を得ることがなかったといいます(70年代、3つの学会誌から掲載拒否)。まさしく「上位○パーセント」という考えに占められていましたから。

それでも今では、最も注目を集める「ギフテッド研究」のひとつです。


私自身も、「ギフテッドネス」というのは、動態的でダイナミックなものだと思うんです。そして「IQや学力の上位○パーセント」なんていう「ものさし」では、とてもとても掬い取ることなどできないものだと。

この「平均以上の能力」というのは、ガードナーの「8つの知能」など、既存のテストなどではとらえにくく、丁寧に観察することで見えてくるものも含まれているといいます。対人関係スキルでも、内省する力でも、何か「きらっと光るもの」を見出していく。

同時に、「創造性」や、「モーティベーションを行為にする力」を培うことで、ギフテッドネスが開花するということなんですよね。

>>球体をイメージしてその360度あらゆる方向に才能の方向があると考えたら、いま評価されているものって数パーセントじゃあ?

私もまさしく同じように感じています。今の人が用いている「ものさし」など、人の持てる力にとうてい追いついていないと。

それらの「まだまだ評価されない力」を、どんどん見出し伸ばしていけるといいですよね。レンズーリ氏の拡充学習モデルは、「ひとつのメソッド」となりますね。そして、それぞれの家庭にそのエッセンスが生かされていったらいいですよね!

考えていると、楽しくなります! 

こちらこそ、tamakiさんの思いや活動にブログを通して触れられること、楽しみにしていますね!


追記:こちらも記事の紹介は、全く問題ありません!

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL