マイコー雑記

行き来するもの書き留め場

プールサイドで出合った様々な気質、「あ、トンネル抜けたかも」と思う日が必ず来ます

2016年08月11日 | ハイリーセンシティブチャイルド

この夏三女&次男がお世話になった水泳教室、

プールサイドで様々なドラマに出合いました。

 

レッスン初日、

ビギナーズクラスには、2歳の幼児から低学年の子が集います。

 

きらきらと光る水面を前に、様々な反応を示す子供たち。

 

大声で泣き喚く子、めそめそと泣きべそをかく子、

おそるおそるながらも試してみる子、水しぶきをあげてひゃっほーと飛び込む子。

 

大多数の子は、教室が始まり10分ほどもすれば、

両腕に浮き輪をつけ、水の中へ。

次第によりリラックスした様子で、インストラクターの言葉に従います。

 

 

ところが中には、

プールサイドの親の手を握ったままどうしても入ろうとしない子、

一旦水に入ったもののインストラクターの手を振りほどき、

プールサイドの親のところへと戻ってしまう子などがいます。

 

 

トーマス&チェス夫妻の以下の研究にあるように、

1.外界に慣れにくい子、養育者にとって扱いにくい子(THE DIFFICULT CHILD):10%

2.外界にゆっくりと慣れる子、養育者にとって時間のかかる子(THE SLOW-TO-WARM-UP):15%

3.外界に慣れやすい子、養育者にとって扱いやすい子(THE EASY CHILD):40% 

子供が集まると、一定数の割合で、

こうしてマジョリティーとはちょっと異なる

「外界に慣れにくい子&ゆっくりと慣れる子」がいます。

 

 

親御さん達も様々な対応をしていました。

優しい声音で話して聞かせる、

厳しい口調で「水に入りなさい!」と繰り返す、

イライラした様子でまとわりつく手をふりほどく。

 

大多数の子が、きゃっきゃと水しぶきをあげクラスが進む傍で、

プールサイドではこうした「少数の親子」のやりとりが繰り広げられます。

 

そこで、

「泣いてもプールサイドに走りよってこないでください。

次第に慣れていきますから」とインストラクターが声をかけて回り、

親から引き離すように子供をひとりひとり抱きかかえ水に入れます。

 

泣き声が響き渡ります。

大音響の泣き声が、やがてしゃくりあげになり、

泣きべそへ、最後は笑顔になった子もいますが、

1時間のクラスの終わりまで声をあげ泣き続ける子もいます。

 

中には、腕に浮き輪をつけるのがどうしても嫌!

と頑なに拒否する2歳児もいました。

それでも、「お水に入りたいのー!」と泣きわめきます。

とはいえ、限られた人数のインストラクターが大勢の子をみるため、

安全のためにどうしても浮き輪なしとはいかないようです。

「浮き輪をつければ入れるよ」と親や周りから諭されながらも、

浮き輪が肌につくたびにギャーと泣き叫び、浮き輪を地面に投げつけます。

結局一時間中「入りたい!でも浮き輪はつけたくない!」が続き、

なだめたり、叱ったり、諭したり、気を紛らせその隙に浮き輪!など、

手の限りを尽くしたママもへっとへとになってました。

 

どんなに説得しても水に入ることを拒否した子や、

(大きな子ほどインストラクターが抱っこして水へ、とはいきません)

インストラクターに抱っこされながらも、

水の中でレッスン終わりまで一時間中ずっと泣き続けていた子や、

浮き輪の感触がどうしてもだめな子は、

翌日のクラスに親に引きずられるように何とか現れたものの、

結局水泳教室を断念していました。

 

 

 

私自身も同じような体験を何度も通りましたから、

親御さんたちの

「周りの子はこんなに楽しそうなのに、

『この世の終わりのような』家の子って一体・・・」、

そんな「しゃれになってない」気持ちが、よく分かります。

 

こうしてなかなか「慣れない子」は、

もう少し大きくなるのを待ってみるか、

少しずつ慣れる機会をより多く持つ必要があるんですよね。

 

風呂場や、浅いプールや海辺の浅瀬で遊ぶような、

水泳教室以外でも水に慣れるような体験を積みねていきます。

浮き輪がどうしても嫌なら、

今回の子の場合は水に入ること自体は大好きなようですから、

浮き輪なしで泳げるようにしてしまい、

浮き輪が必要なビギナーズクラスをスキップするという手もありますね。

また、まだまだ2歳児ですから、もう少し大きくなれば、

「浮き輪をつければ水に入ることができる」ということもより理解できるでしょう。

 

「慣れにくい子」には、それだけ「時間や手がかかる」んです。

 

自らをHSP(ハイリーセンシティブパーソン)とする心理学者エレイン・アーロン氏が、

子供時代水になかなか慣れることができず、

「水の美しさにうっとりしながらも、

水の事故や溺れる危険性などこれまで聞いたことのある話が頭をかけめぐっていた」

というようなことを言っていましたが(ドキュメンタリー映画『Sensitive』より)、

子供の側からしてみれば、ありとあらゆる感覚がめまぐるしく押し寄せ、

なかなか足を踏み出せないんですよね。

 

 

 

 

我が家の事例です:

今夏、まず、水泳レッスンが近づくにつれ、

次男7歳、「いきたくないなあ」と泣きべそをかき始めます。

 

ちなみに、次男は去年アラスカでも水泳教室に2ヶ月ほど入り、

自宅から近かったこともあり毎月2度ほどプールに遊びに行ってました。

ようやく顔をつけられるようになり、少しだけ泳げます。

「もう少し泳げるようにしておいたら水辺でも安心だしね」

「ビーチやプールに行ってもすいすい泳げたらもっと楽しいよー」

などなど声をかけ、水泳大好き三女が隣で大盛り上がりな様子にもつられ、

しぶしぶ当日を迎えます。

 

初めての場の初めてのクラス、

先生が一人一人にどれぐらい泳げるかを聞きます。

「泳げません」と伝える次男。

「ビギナーズクラス」で一回り小さな幼児に囲まれ、

両腕に浮き輪をつけ始まったレッスン。

とても楽しかったようでご機嫌に初日を終えます。

 

翌日のレッスン。

顔を水につけるところから始める幼児ちゃん達の中では明らかに次男は「異質」ですから、

上のクラスに移されます。

浮き輪を外され、足の届かないプールで、

少し離れた先生に向かって泳ぐよう促されます。

何とか泳げるものですから、

先生も、次男が近寄るにつれ、

「お、まだまだいける」と徐々に離れて行きます。

 

次男的には、必死でもがくなか、

頼みの先生が近寄っても近寄っても離れていき、

かなーり恐怖に感じたようです。

ビギナーズクラスで嬉しそうにプールサイドを向いて

手を振っていたときの笑顔がすっかり消え、

自分の泳ぐ番以外では腕に顔をうずめ

「僕、もうだめかも・・・」といった見るからにどんよりな雰囲気。

 

クラスの後は、プールサイドで見ていた姉に

「わー、あんなに遠くまで泳いですごいじゃないーい」ともてはやされ、

強張った表情でうなずくものの、しばらく一言も発することなく、

車窓から静かに外を眺める次男。

 

翌日くらいから、ぽつりぽつりと話します。

「僕、レベル的に、あの赤ちゃんクラスと今のクラスのちょうど中間ぐらいなんだよね。

確かに赤ちゃんクラスは簡単すぎるんだけど、

今のクラスは難しすぎるんだ・・・」と。

それで、「水泳いきたくない・・・」としくしくすること何度か。

 

「そっか、じゃあ、先生に話してみよう」と約束します。

そうして何度も「約束」を確認しながら、

不安な面持ちでレッスンへ。

 

「レベルをあげてください」という親は多いものの、

「レベルを下げてください」と頼む親はあまりいないようで、

「はあ?そうですか」と首を傾げられながらも、

先生、気にかけてくださいます。

「できる」ことよりも、「次男の様子」を見てくださったようです。

 

またこのクラス以外にも、海やプールやらで泳ぐ機会をつくり、

少しずつ「あ、大丈夫かも」という自信をつけていきます。

同時に、「僕には難し過ぎる」と思ったら、

「自分で先生に伝える」ということも励ましていきます。

 


それで、何とか、4週間のレッスンを終えました。

最後のクラスでは、ビギナーズクラス以外の子達皆で、

リレーをしたのですが、

三女の属する「水泳チームプレップクラス」の子達にまざり、

大張り切りでした。

 

また一週間前に引っ越してきた今の住居には、

夏の間だけコミュニティーに屋外プールがあるんですが、

(コミュニティーのメンバーから集められた費用で運営)

毎日うきうきと出かけ、

今では、姉たちとクロールの競争をするほどになりました。

 

ちなみに、

「水泳チームに入れますよ」とこの夏太鼓判を押された今では水泳大好き三女も、

実は5歳の時点で「ビギナーズクラス」を二度断念しています。

三女の場合、水泳教室までうきうきと出かけるものの、

先生においでと手を伸ばされ水に入ろうとする瞬間になると、

顔をゆがめて泣き始め、手をふりほどき、私にひっついて離れないという

「とほほ状態」の繰り返しだったんです。

 

長男が水に初めて顔をつけられたのが6歳・・・。

長女と次女は水については、それほど抵抗がなかったようです

長男と長女は小学校高学年には水泳チームで頑張ってました。

 

 

 

 

「いやだあ~」といった泣きべそに出合いながらも、

「全くやめてしまう」のでもなく、それでも「無理させ過ぎる」のでもなく、

その子に合ったハードルを調整しつつ、安心や自信を少しずつ少しずつ培っていく。

先の記事(『3つの気質』を考慮した接し方具体例、ひとりひとりのニーズが満たされる場を願いつつ)に

「慣れるのに時間がかかる子」が「成功するカギは、その子が自身のペースで環境に順応するのを許すこと」、

また一方、「彼らは新しい物事を試すための励ましと機会を必要としています」

と紹介しましたが、まさしくだなあと感じています。

 

 

周りに比べゆっくりだとしても

(この夏も、幼児に囲まれた次男の隣のコースで、

次男と同じ学年のお友達が三女と同じ「水泳チームプレップクラス」で、

すいすい泳いでました)

「あ、トンネルを抜けたかも」と思う日が必ずやってきます。

 

 



昨日のこと。

嬉しそうにコミュニティープールに出かける準備をする次男。

突然、「溺れたらどうしよう?」と私の方を向きます。

「あのプールは、ライフガードがいつもいるから、助けてくれるよ」と私。

するとにっこり笑い、

「なーんてね、僕はもう泳げるから大丈夫」と誇らしげに。

 

帰宅中、

「あの水泳教室で、僕は随分泳げるようになったよ。

とってもヘルプフルなクラスだったんだなって、今になって思う」

としみじみつぶやいてました。

 

 


その子に合ったハードルを調整し、

少しずつ少しずつでも越えることを励ましていくことで、

いつか、ああ、あんな時期があったなあと、

今の日々を振り返る時が来る、そう実感しています。

 

我が家も日々いろいろなことがありますが、

共に、肩の力を抜いて、できることをしていきましょうね。

 

 

段ボールに向き合いつつ、

一昨日は高校で長男長女が具体的にどのクラスをとるかについてのミーティング

(学校が変わると対応もこれほど違うものかと驚きつつ。

おかげさまで今のところ「よい意味で」です)、

昨日は次女の中学のオープンハウス&クラス調整

(希望クラスのウェイティングリストの初めにこられるよう朝から校舎前に並んでました)、

今日は高校チアリーディングのトライアウト(新しい学校での新しい体験!)

と、日々、新地での調整に走り回っています。

 

日本はお盆ですね。

みなさん、よい日々を!


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2 コメント

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こんにちは (奈緒美)
2016-08-18 10:33:44
夏休みのレッスンで、ハイリーセンシティブな子どもたちについての情報の必要性を実感しています。発達障害の情報が増えるなかで、「発達障害とはちょっとちがうけれども、新しいことになじむまでの難しさや過敏さで困り感を抱えている子」という子たちを育てている方々の戸惑いが、焦りを伴って、よりいっそう強いものになっているようだからです。ユースでは、こちらの情報にとても助けられたという方の声もお聞きしました。
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奈緒美さん、コメントありがとうございます! (マイコー)
2016-08-21 00:49:53
発達障害についての情報が増える中で、ハイリーセンシティブな子供さんに接する方々の戸惑いや焦りを、より感じられるようになっているとのこと。

私自身、そして、子供たちも、幼いころほど、よりHSCの特徴が見られたわけですが、きついところを通りながらも、「たくましく自分らしく生きぬく力」をつけていくこと、それが、日々子供たちに接しながら、私自身願っていることです。

そんな中、少しずつ「こうかな」とつかんだ感覚を、亀の歩みですが、形にしていけたらと思っています。

実際に多くの親御さんに向き合われつつ奈緒美さんが実感されていること、心に留めていきますね。
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