鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

最初のきっかけは知らない人同士であることを改めて教えてくれた映画「われらが背きし者」

2016-10-26 | Weblog
 26日は東京・有楽町の東宝シネマズでスパイ物で有名なジョン・ル・カレ作の「われらが背きし者」を観賞した。ロンドン大の教授がモロッコに休暇旅行に出かけた際にふとしたきっかけで知り合ったロシア人と付き合い、別れ際になにかの情報の入ったメモリーを手渡されたことから事件に巻き込まれ、ロシアマフィアに狙われることとなるが、次から次へと新しい人物が登場し、それが主人公とどうかかわりあっていくのかが呑み込めないまま展開していくので、ストーリーを追うのに精一杯だった。それでも冷戦終了後のスパイ映画をつくるのがいかに難しいものかを改めて証明してくれたような感じを受けた。

 「われらが背きし者」はいきなりロシア・モスクワのボリショイ劇場で男性ダンサーが舞台を飛び跳ねるシーンから始まる。観客席で母娘がそれに見入る姿が映し出され、母娘の夫が公演終了後のパーティでロシアのマフィアのボスたちはじめ有識者たちに挨拶をし、打ち上げ後に車で帰宅する途中、高速のどこかで大型車が止まっていて、停車すると、男がやってきて、いきなり窓越しに運転席と助手席の夫婦を射殺する。驚いた後部座席の娘は車から降りて、雪のなかを逃げていくが、追いかけてきた男にあっけなく射殺されてしまう

 場面が変わってモロッコのマラケシュのホテルで抱き合うユアン・マクレガー演じる大学教授ペリーとナオミ・ハリス演じる弁護士ゲイルの男女が映し出されるが、ゲイルがその気になれずベッドを離れる。その後、2人は街中のクラブでグラスを傾ける。とその先に1本100万円するワインを派手に開けているロシア人がいて、妻にすげなくされたペリーに同情してか一杯ついでくれる。で、話し合ううちにお店を変えて飲むことになり、そこでも2人は大いに打ち解ける。翌日には娘の誕生日パーティに、そしてテニスを一緒にやることになり、ロシア人の家族とも知り合いになる。

 実はそのロシア人ディマはマフィアの幹部で重大な秘密を握っていて、モロッコの空港での別れ際にペリーにメモリーをロンドンのMI6に預けるよう頼み込む。ディマはマフィアから抜けたがっていて、特に家族を英国に亡命させることを望んでいた。で、ロンドンに着いたペリーはそのメモリーを空港の職員に差し出し、早速飛んできたMI6の局長はメモリーの中身を点検したうえでペリーから詳しく事情を聞くこととなる。

 ところが、ディマはMI6との接触でペリー教授の同席を希望してきたことから、ペリー夫婦の身辺にも危機が押し寄せることとなる。パリのルーブル美術館やテニスコート場での接触などを通じてディマ家族の救出を図るが、最後にはディマはあえなく死んでしまう。しかし、ディマの家族は無事に脱出に成功し、ペリーはディマからひそかに託されたメモをMI6の手に渡し、ディマの願いは聞き届けられることとなる。

 最初はだれが主人公なのか、出てくる登場人物がどう絡んでくるのかがわかりにくかったし、ロシア・マフィアのしようとしていることの全容が掴めないなどでいまひとつ画面に入っていくことができなかったが、中盤になってようやく筋が終えるようになってきた。最初に登場した夫婦の残された子供が実はディマの養子になっていたことが最後の方になってやっとわかるなど二重三重に仕組まれたストーリー展開でもあった。

 主人公がディマ家族の救出に乗り出すことを妻に相談する場面で、妻が「そんな知らない人のためになぜ」と言うと、ペリーは「弁護士だって最初は知らない人のためにあれこれやっているじゃないか」と切り返すところはなるほどと思わせた。ビジネスにしろ、奉仕にしろ、最初のきっかけは知らない人であることは案外見過ごされているなとも思った。
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