鈍想愚感

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怒れる若者も最後はハッピーエンドの演劇「怒りをこめてふり返れ」は面白く楽しめた

2017-07-15 | Weblog
 15日は東京・初台の新国立劇場で英劇作家ジョン・オズボーン作の「怒りをこめてふり返れ」を観賞した。英国の怒れる若者たちの生態を描いた1957年初演の演劇で、平和な日本でいかに消化されるのか注目されていた。約3時間にわたる舞台は主演の中村倫也演じるジミーが世の中や周囲の人に怒りっ放しで、観ていて耳をふさぎたくなるような舞台ではあったが、最後にはホロリとさせる意外なハッピーエンドでほっと胸をなでおろした。その意味では楽しめる舞台でもあった。

 「怒りをこめてふり返れ」は英国中部の大きな町のとある屋根裏部屋で貧しい下層階級出身のジミーは同じ下層階級出身の人のいいクリスと妻、アリソンとの3人の共同生活を営んでいる。今日もアイロン掛けに勤しんでいる妻を前にクリスと新聞を読んで「早く読め」とか言って悪態をついている。ジミーは政治、宗教など社会のあらゆることに不満をもらし、いつも裕福で欺瞞に満ちた中産階級出身の妻に悪態をついている。そのたびにクリスはアリソンをやさしく慰める。そんな時にアリソンはジミーの子を身ごもったことをクリスに打ち明け、おりを見てジミーにも話そうとするが、なかなかタイミングを掴めないでいた。

 そんな時、ジミーが嫌いなヘレナがアリソンに「出張で出てきたので、泊めてほしい」と電話してくる。ところが、ヘレナはしばらく滞在し、ジミーとアリソンが抜き差しならない関係に陥っていることを知り、アリソンの父親の電報で知らせ、遂には父親がアリソンを引き取りに来ることとなってしまう。アリソンは子供ができたことをジミーに告げることなく、やってきた父親の勧めに従って実家へ帰ってしまう。

 ところがアリソンがいなくなった屋根裏部屋に残されたヘレナはそのまま居ついてしまい、あれほど罵り合っていたジミーと他ならぬ関係となってしまい、アリソンと入れ替わって奇妙な3人の生活が続いてしまう。怒れる若者たちの生態とはこんなものか、と思わせるが、おかしいと思ったクリスは部屋から出ていくことを宣言し、ジミーとヘレナの2人っきりの生活が始めるのか、と思った途端、突然アリソンが舞い戻ってくる。その姿を見たヘレナは潔く身を引くべきだと悟り、2人に別れを告げる。

 そして残されたジミーとアリソンはお互いを見つめ直し、アリソンはわが子を亡くし、身も心もズタズタになったことを告白し、ジミーもそんなアリソンを受け入れ、2人で新たに生活していくことを誓い、抱き合ったところで幕となる。

 見ていて、最後は赤ん坊を抱えたアリソンが再登場したところで幕となるのかな、と予想していたが、赤ん坊を亡くした方が2人の結びつきがきつくなるし、怒れる若者も最後にはハッピーエンドを迎える方が劇としては訴求力が強いのだな、と思い直した。

 この演劇の演出はいまや怒れる中年となった俳優の千葉哲也で、同氏は坊主頭で、いつも怒鳴りまくっている演技をしていたので、主演の中村倫也にその魂が乗り移ったように劇中、常に怒鳴っていて、さぞかし疲れたことだろう、と思った、。その熱演ぶりで、最後まで退屈することなく面白く観賞できた。
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