うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

知らせが、響く

2016年09月25日 | 真面目な日記

私の住む部屋は、マンションの2階にあり、

毎日、階段を上り下りしなければ、

外出も帰宅も、かなわない。

本来ならば、無精な私にとっては面倒なはずだが、

その、膝に応える動作が、

実際、膝には応えるが、実はまんざらでもなかった。

 

数年前のある日、1階の部屋で暮らすお宅の奥さんが、

娘を嫁がせたら、代わりにネコが来ちゃったのと聞かせてくれた。

それ以来、毎日、 

私が夕方帰宅のために、マンションの階段に着くと、

1階の部屋から会話がもれ聞こえて来るようになった。

会話の内容といっても、

しゃがれた声で、ニャーと鳴くたびに、

どうしたの?と答える、奥さんの穏やかな声がして、

このやり取りを何度も繰り返すだけの事だった。

しかし、それを聞きながら階段を歩いていると、

まるで温かな手で撫でられたような、安らかな気持ちになり、

それは、私にとって、とても心地の良いひと時だった。

 

その奥さんとは、顔を合わせれば、挨拶をする程度の付き合いだったが、

気さくに声を掛けてくれる、その顔は、いつも微笑みが溢れていた。

旦那さんの方は、タバコを吸うのは外でと決めているようで、

毎日のように、階段下の踊り場で出くわして、

その時ちょうど、奥さんとネコとの会話が聞こえてくると、

照れくさそうに笑っていた。

 

今年も、側に流れる小川の蛙が一斉に鳴き出した頃、

ネコと奥さんの声は、ある日を境に、ぱったりと聞こえなくなった。

蛙の鳴き声で、かき消されているのだろうかと思い、

注意深く耳を澄ましてみても、蛙の声だけが響いていた。

 

その数日後、マンションの掲示板に喪中の紙が貼られ、

私は、あの会話が聞こえなくなった訳を悟った。

 

旦那さんは、その後も

相変わらず、外でタバコを吸っていて、

顔を合わすたび、他愛もない言葉を交わした。

本当は、奥さんが可愛がっていたネコは、

今どうしているのかが気になっていたが、

それは聞けないまま、時は過ぎていった。

 

雨上がりの夕方、買い物袋を持ってマンションの前へ着くと、

珍しく、階段下の踊り場には旦那さんの姿はなかった。

やけに静かな踊り場に少し寂しさを感じながら、

階段を上ろうとした時、

微かにネコの鳴き声が聞こえた気がして、私は足を止めた。

買い物袋をそっと地面に置いて、耳を澄まして待っていたら、

今度は、はっきりと聞こえてきた。

 

それは、しゃがれた声で、ニャーっと鳴くたびに、

どうしたの?と答える、旦那さんの穏やかな声だった。

 

そのまましばらく、ぼーっと立っていたら、

吹き込んできた風に髪を撫ぜられ、はっとした私は、

いつしかネコと旦那さんの会話は終わっていて、

鈴虫の音が響いている事に気付いた。

 

おはようございます。

秋ですね。

我が家のネコ達も、それぞれの鳴き声を響かせるが、

何を言っているのだろう・・・

 

よねさんは?

「ビャァァ~」 訳:撫でれ~

ちょっとしゃがれた声で延々鳴き、どこかしら触るとピタッと止むんだよな。

 

あやさんは?

「ミヤオーーー」 訳:おばちゃん、遊んでーーー

 滑舌がいいですね。

そして、よねより更に、声量と根気がある誰か助けて。

 

おきくさん?

「ニャー」 訳:おい、メス豚ー、早く首を持てー

声は、オーソドックスな猫らしい声ですが、

言ってる内容は、辛辣ですね。

 

うんこ、鳴いてみて?

「ピーピッピ」 訳:うんちゃん、かわいい

そうだな、小鳥のさえずりのようで、

確かに信じられん程、可愛い鳴き声だな。

 

「ピピピッキャッ」 訳:うんちゃん、めっちゃかわいい

出ました、キャッ。

最上級に自画自賛!

 

おい、おたま!

「おらは、鳴いたりしないずら」

うん、アレを鳴くとは言い難いもんな。

 

「フェッ」 翻訳不能

フェの意味を考えていて、はっとした私は、

鳴いてるネコを撮影すると、だいたいブレるという事に気付いた。