僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。森の葉っぱ、教育的指導、たまに小説、最近は母の介護…

武装蟲

2017年06月14日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

 

爪が汚れていた。朝、カブの畑でダンゴ虫を潰したせいだ。

 

辰雄は三畳ほどの庭を畑にしている。

この、どちらかというとぼろアパートに転居先を決めたのは

空き室だった一階の部屋が年寄り向きに作られていて、はきだしの引き戸からそのまま地面に降りられると知ったからだった。
辰雄が育った時代は農家でも勤め人でもみんな同じ様な作りの家で、

縁側やたたきの台所があるのが普通だった気がする。

単に田舎育ちだったといえばそうなのだが。

 

まだ幼稚園に通っている頃から辰雄は草むしりが好きだった。
大人が始めると僕もやるーと言って必ず一緒にした。

特に祖父は植物や虫に詳しく、草の陰から這いだしてくる昆虫の名前や、雑草にも花が咲くこと

ぺんぺん草にはナズナというちゃんとした名前があること、

猫じゃらしは、えのころ草、貧乏草はヒメジオンという格好いい名前があることを教えてくれた。

 

平べったく広がったコニシキ草をちぎると中から白い牛乳のような汁が出てくる事を知り、

なめてみると言って口にもっていった時はさすがに止められた。

 

 

大学に進学し、都会に住むようになってからは土の地面とは縁のない生活になり、

会社で働くようになってからも草をむしったりする機会はなかった。

ただ時折気分転換に行く近所の公園で、雑草に混じって咲くネジバナを見つけた時は、

初めてその花の名を知った時を思い出してひとり嬉しくなったりした。

 

転勤が決まり、新しい勤務先まで電車で20分程の場所にこの物件を見つけた。

 

 

 

 

つづく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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