僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

久しぶりのSF小説ハートマン…公園のベンチで

2017年12月04日 | SF小説ハートマン

 

 

 

 

 

老婆は湖面をじっと見つめていた

 

その姿は散歩中暖かい日だまりで一休みするお年寄りの姿と

何も変わらないように見える

 

どの位そうしていたか

気がつくと、はらはらと散り落ちていた紅葉が一枚も降っていない

餌をもらおうと集まっていた鴨たちが一斉に飛び立った

 

湖面が音を立てて波打ち始めた

湖を囲むメタセコイヤの枝が小刻みに振動を始める

それはまるで大地震の前触れのようだ

人々は皆不安げな顔でお互いに見つめ合い

何かにすがろうと走り出したり、座り込んだりした

 

突然湖面が盛り上がる

とてつもなく大きな物が水の中からせり上がってくる

 

大声を上げて逃げ出す者

スマホを取りだして録画を始める者

泣きだした子どもを抱きかかえて動けずにいる者

それぞれが今目の前で起こっている出来事を理解できずにいた

 

しかし、老婆は身じろぎもしない

 

つづく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
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