たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

館川両岸尾根で堂平山、笠山、ついでにタカハタに登ってみたが、さすがに9時間半歩きは厳しかった。

2017年03月26日 | 奥武蔵の山
◎2017年3月24日(金)

右岸尾根下駐車地(7:16)……古寺山△280.1m(7:51)……士峰山△289.8m(8:19)……△328.4m(9:20)……金嶽△539.4m(10:15)……車道(10:42)……山道へ(10:46)……再び車道・堂平山登山口(11:20)……堂平山(12:21~12:38)……七重峠(12:54)……笠山(13:23~13:44)……△616.8m(14:05)……車道(14:48)……タカハタ△407.6m(15:34~15:44)……民家の上に出る(16:32)……駐車地(16:55)

 今回の歩きのネタ元はぶなじろうさん記事で、それをつなげただけのことに過ぎず、オリジナリティはまったくない。ぶなじろうさんの記事を拝見してから、いずれ通しで歩いてみたかった。まして堂平山、笠山という奥武蔵のポピュラーな山は、3年前に<外秩父七峰縦走ハイキング大会>に参加し、コースの通過地点として登ったことはあったが、あいにくのガスに巻かれ、どこをどう歩いたかさえしかと覚えていない。改めて行ってみなきゃなとは思っていた。
 今回のブログのタイトルを便宜的に「館川両岸尾根」とはしたが、左岸尾根の方は東秩父村と小川町との町境になっている。下の館川からは距離もあるが、川の流れと同方向の一本調子の尾根はこれしかないので、左岸尾根としても特に問題はないかと思う。
 ぶなじろうさん(記事はコレコレ)以前に、仮面林道ライダーさん(記事はコレコレ)が両尾根を分けて歩かれていた。HIDEJIさん(記事はコレ)もまた今年に入ってから右岸尾根を歩かれている。皆さんの記事を参考にさせていただくことにした。しかし実際は記事コピーを持って歩いていたわけでもなく、場あたり的に歩くことになったし、同じようなところでミスもしている。
 結果的に、HIDEJIさんが目論んだ両岸尾根の通し歩きを先行してしまった形だが、相応に距離は長く、一月の日が短いうちはどうしようもなかったかもなと思ったりもする。

 通しの歩きは最低9時間はかかるだろうと見込んでもいたし、早いところ出発したかったが、駐車目あての<パトリアおがわ>に着くと駐車場が閉まっていて中に入れない。時間は7時を過ぎている。事前にパトリアのHPを見ると、「パトリアおがわを拠点に、ハイキング等で自然を満喫してみてはいかがでしょうか?」なんてコピーがあったから、早起きハイカーに利用しやすい施設とばかりに思っていたが甘かった。やはり公共の施設では制約もある。周辺をグルグル回り、結局は、橋を渡ってすぐの、仮面林道ライダーさんが置いたらしき右岸尾根下の路肩に車を置くことにした。ここに車を置いてとがめられるのも何だしと、急いで準備してさっさと出発する。

(ここから入る)


(石垣っぽいが半端ではある)


(尾根に乗って)


 末端部左に踏み跡らしきものがあって、これを使うとすぐに「地籍調査」標が目についた。これからずっとこの地籍調査標やら「国調多角」、さらに小川町の測量標が加わって続くことになる。色も赤、黄、青、白とそれぞれににぎやかだ。
 放置アンテナを目にして尾根に乗る。石垣の一部らしきものが残っている。ここに何か建造物でもあったのか。取り付きはヤブめいていたが、尾根伝いに道型は続いている。そしてテープも目立つが、このテープは作業用のものらしく、あてにはできない。たまにハイカーの忘れ物らしきテープも見かけるが、作業用テープに埋没して特定はできないし、頼るには無理がある。

(280.1m三角点)


(古寺山という山らしい)


 右手遠方に笠山らしきピークが見える。あそこまで行くのかと初っ端からげんなりした。尾根の傾斜は緩やかで、岩場めいたところを通過してほどなく最初の三角点ピークに到着。樹に「古寺山」と山名が削られている。ここの三角点、前回の城峯山の時にも見かけたが、標石がストーンサークル状に石で囲まれている。この先で見る三角点の標石もまたこの形式が多かった。
 ここからの下りで、ぶなじろうさん、HIDEJIさんらと同じ間違いをしてしまった。コンパスをセットし直したのに、よく見もしないで道型に沿って下ったら、南西ではなく南に向かっていた。右手に尾根型のようなものが見えてミスに気付く。戻るのも面倒で、植林下のヤブをトラバースして復帰したが、復帰した尾根には踏み跡はなく、これでいいのかなと気にもなったが、作業テープはあるし、やがて踏み跡らしきものが出てき、その先の大岩を巻く時には、右手への誘いも明瞭だった。

(たまにこんなアクセントもあるが)


(基調はこんな歩き)


 地図ではこの右岸尾根に南側から破線が何本か入り込んでいる。それぞれ、地図に合った状態で確認できるわけではないが、やはりどこかで合流していたのか、踏み跡はまた道型に戻り、小ピーク下を巻くようなところではこれを利用もする。

(畠山重忠の墓所)


(中を見ると)


 上りにかかると、左寄りに物置のようなものが見えた。近づくと瓦屋根になっている。あれが畠山重忠の墓所と言われているところらしい。そもそもこの右岸尾根を歩きたかったのは、この墓所のお堂を見たかったためだ。
 ここは289.8m三角点。樹に巻かれたテープには「士峰山」と記されている。これどうやって読むのだろう。「しみね」だろうか「しほう」?。最初「土」と「士」を間違えたのかなと思ったりもしたがそうでもないらしい。「武士」の「士」だとすれば、畠山重忠との関連もうなずける。
 お堂の扉を開けてみると、中には三段に白い石が重なっている。外の石碑を読むと、ここには重忠の首塚を祀った五重塔があったというようなことが記されている。なるほどと思いながら、東の京田というところからここに破線が延びているので覗いてみたが、明瞭な道型は確認できない。三角点の脇でまずは一服して、菓子パンを食べる。

(315m標高点付近)


(鉄塔から笠山、笹山、堂平山)


 植林の中の歩きがずっと続く。古寺山を過ぎてからこうなった。ところどころに広葉樹が加わったりするが、杉の植林が主体になっている。改めて気になることでもないが、最初の三角点280.1mから次の289.8m、そしてこの先の328.4mと、距離が長いわりには標高を稼げない状態でいる。それでいて起伏は続いているので、上った分下るという展開になっている。これでいくと、539.4m三角点への上りは結構つらいんじゃないだろうか。
 315m標高点から下ると鉄塔に出会う。ここを通る送電線「西上武幹線」は、帰路のタカハタの先でも頭上を通っていた。周囲は刈られ、笠山がよく見える。手前が笹山で、その奥が堂平山だろう。まだまだ遠いし、837m程度の笠山がえらく高く見える。その笠山よりも高いはずの堂平山875mが低く見えるのは、ここからの距離的なものだろうが、この時点では、HIDEJIさんが堂平山をカットしたことに気づきもしなかったし、外秩父七峰縦走ハイキング大会のコースの印象が強く、笠山は堂平山を経由して行くものだという先入観もあって、この景色を眺めてはため息をついている。

(こんな明瞭な道もある)


(328.4m三角点)


 明瞭な道、上り下りが続いて338m標高点。ここから方向が南に転じる。案の定、そのままの方向の尾根伝いに明瞭な踏み跡が下っている。間違いやすいところかもしれない。腹も空いたし、ここで一服したかったが、風が次第に出てきて、歩いていないと寒い。先の少しばかり日なたになっていた328.4m三角点で休憩する。

(大岩は右から)


(こんな歩きになってほっとする。束の間だが)


(八克山)


 やはり、この辺からジワリと登り気味になってくる。それに合わせるように、尾根の様相にも変化が見られ、大岩が出てくるとちょっとした岩ゴロも現れ、それが消えると、一時的に植林から抜け出し自然林の中の歩きになる。右手に相変わらず笠山方面と周囲は見えるが、すっきりした景色になっていないのが残念だ。
 ちょっと傾斜が急になって小ピーク。ここは460mの標高だ。ここに「八克山」の名称がある。古寺山同様に樹に彫っている。同じ人の手によるようだ。その上に巻かれた黄色のテープのメモ書きを読むと、ここから不明瞭ながらも館川ダムに下りられるとある。
 「八克山」。何やら意味深な山名だ。近くに八克の地名は見あたらない。八つの煩悩を克服するといった精神的、密教的な意味合いでもあるのかと邪推するのは考え過ぎか。

(林道に出る)


(金嶽)


 すぐに林道に出た。ここは地図どおりだ。この続きは尾根通しを正面突破で行けなくもなかったが、先端部の左側に上がる踏み跡があった。この先は本格的な登り作業になりそうなので、やせ我慢はせずにストックを出して頼ることにする。ついでに風が一時的にやんだので、手袋と帽子を脱いだが、すぐにまたセットすることになる。
 また植林に入り込む。今度は整然としている植林帯だ。質素な佇まいの三角点に到着。539.4m三等三角点「金嶽」の山名版。ここはあちこちからルートが入り込んでいるところらしく、5月20日土曜日にランニング大会があるとの張り紙があった。昭文社マップを見ると、この下の南側を「ときがわトレッキングコース」というのが通っているようだ。ランニング大会ということだから、コースを一部手直ししてトレランコースにするのだろうか。ゆっくりハイカーは当日の歩きは避けた方がいいだろう。

 この金嶽まで、歩き出しからちょうど3時間経過しているが(HIDEJIさんは2時間半でその差は歴然だ)、マイナールートから解放されて、ようやく予定コースの核心部に入ったといったところだろう。地図を見る限り、この先、車道と破線、実線が右往左往しているエリアになっている。むしろ、こういうところの歩きが手こずるし、ミスしたらそのまま下るしかない状況になってしまう。地図にマーカーしたところをGPS見ながら行くしかないだろう。

(植林の一本道)


(ちょっとばかりの林道歩き)


 また損した感じで484m標高点を通過して西に下ると、下に車道が見え、軽トラが走って来て車を止めた。こちらは上から覗いているだけだが、軽トラからこちらの姿が見えたのか、すぐに走り去った。荷台に荷物を載せてシートをかぶせている。まさか不法投棄ではあるまいな。
 その車道に出る。ここからは平日とはいえ、ハイカーもそれなりにいるだろうと、チリンチリンの鳴りが小さい鈴にチェンジした。車道は下っていたので方向感覚が早速おかしくなった。次のポイントの堂平山からは離れて行くような気配。地図とGPSを合わすと問題はないようだが。地図とGPSに出る等高線の形が微妙に違うのがもどかしい。

(林道から分かれる)


(崩れかかった斜面を登る)


(ハイキングコースと合流したようだ)


 すぐに左手に未整備の作業道らしきものが分岐したのでそれに入る。そして左から同じような道が合流する。こちらが正解だったかもしれない。どこを歩いているのか不明になるが、取りあえず、この道に合わせて目の前の小ピークに上がって、また下る。崩れた感じの斜面を登って尾根に上がり、下りかけると標識が2つ出てきた。一つはHIDEJIさんの記事写真で見て覚えていたマツダランプの標識。「笠山から慈光寺コース」とあり、その下に「赤木沢」と記されている。ここは赤木沢というスポットか。そしてもう一つの標識には「慈光寺方面 天文台方面」。天文台とは堂平山のことだろうが、合流した道はハイキングコースになっているようで、どうも最初の車道に出てから余計な歩きをしてしまったらしい。反対方向に行っていれば、このコースに出たのだろうか。

(正規の堂平山コースは直進のようだが右手の尾根に入る)


(車道から。笹山だろう)


 休憩舎のある車道に出た。右手に笹山が見えている。「ときがわトレッキングコース」の石標が置かれたりしている。堂平山には、ここから分岐する車両通行止めの林道を行けばいいらしいが、別の標識に「笠山峠」方面が記されている。昭文社マップを見ると、七重峠の先に笠山峠というのがある。車道歩きで1時間50分。堂平山をカットするコースだと思うが、車道歩き主体にそんなに時間をかけるのでは考えものだ。予定どおりに堂平山に向かうとしよう。

 標識に合わせて堂平山に行くとすれば、しばらくは林道歩きということになりそうだが、ここは仮面林道ライダーさんルートに合わせて町境尾根を行くことにする。どこをどう歩いても、堂平山までの標高差は300mもある。ダラダラ登りよりも急登速攻にかけたい。ましてここで休憩していたら11時30分になろうとしている。時間も押してきている。予定9時間ではきつくなる。

(枝のヤブがすごい)


(こんな作業道も入り込む)


(おとなしくなってくれた)


 荒れた植林尾根だった。枝ヤブがひどい。なかなか先に進まない。ふと話し声が聞こえた。こんなところを歩いている人もいるんだなと思ったが、人の姿は見えず、話し声は消えた。不気味な感じがしたが、この理由は後でわかった。
 左手に明瞭な尾根型が見えたのでそちらに移動すると、ヤブはおとなしくなった。そして、左から作業道が出てくる。出どころ方面を窺うと、車道から出ている気配。ここを辿って登って失敗したライダーさんの記事を思い出し、これは無視する。

(直下の登り。突破口が見えてくる)


(見下ろして)


 淡々と登る。たまに開ける右手に見える笠山だか笹山はようやく射程内に入ったといった距離感になってくれたが、このまま進む堂平山は壁のようになっている。やがて急坂になった。ここまで来ると、踏み跡もいつしか明瞭になっている。休み休み登ると、山頂直下らしきところでさらに傾斜が増したが、上にぽっかりと隙間が見えてきた。ほっとしたがきつい。先日の城峯山の時の鐘掛城への登りのようだが、こちらの方が長い。

(ハイキングコースに合流)


(山頂に向かう)


 ぜいぜいしながらポッカリに顔を出す。いきなり明るくなった。左から登り上げる道が合流する。標識を見ると慈光寺方面からの道のようだ。木を渡した階段状を登ると建物群になっていて、その先に天文台が見えた。どうやら堂平山に着いたようだ。
 風は相変わらず冷たい。周囲をうろつきながら山頂のある天文台に向かった。途中で「平成28年10月7日に笠山に熊が出没したため通行禁止」のバリケードを見かけた。熊がいたから通行禁止かいな。笠山に行けないいい理由になるかもしれないが、短絡的過ぎやしないか。山に熊は付き物だろうて。もしかして、来月の外秩父ハイキング大会はこれで中止になったりして。

(堂平山山頂)


(白い浅間山が見えていたが)


(両神山方面)


 山頂に向かったら、三角点標の撮影をしているオッサンが見えた。下の天文台敷地に入って、ベンチに腰かけて時間をつぶす。ここの山頂は360度だ。景色を眺めているだけでも間はもてる。オッサンがいなくなったので改めて行くと、今度は入れ替わりの犬連れのオッサン。何やかやと3人ほどハイカーが前後した。ワンコ連れのオッサンは自分が上がって行くと、三角点の周りの私物を整理してくれた。それだけこの一等三角点標を撮る人は多いのだろう。このあたり、外秩父ハイキング大会の時は真っ白で、天文台もガスの中でシルエットになっていて、三角点標を撮る人すらあまりいなかった。

 360度の展望を楽しむ。すでに12時半を過ぎている。ここまで5時間以上経過し、まだコースの半分残っている。ここで、この先の情報が気になってスマホで改めて見ようとしたが、ザックの中に携帯はない。充電させたままに持って来るのを忘れていた。ちょっと焦った。何かあったらヤバいな。いつもなら、自分の机の上に歩くコースを書き留めて置いて出かけるが、今日は意識もせずに記していない。家族はそれを見たこともないようだが、念のためだ。出がけにどこに行くと言い残しもしなかったから、また足尾の山にでも行っているのだろうと思われているはず。これはまずい。まして、ここは携帯可能エリアでもあるだろう。いきなり弱気になった。笠山からの下りは昭文社マップの赤実線コースを下った方が無難だろうか。まして熊の出るエリアのこと、こちらも根は俗物ハイカーだ。さっきまでの気の強さは失せていた。熊に襲われたり、捻挫でもしたら連絡ができないじゃないか。こんな情けない気分がしばらく続いた。

(下る)


(下りきったここが七重峠だろうか)


(さらに続く)


(下に車道)


 笠山に向けて下る。しばらくは外秩父ハイキング大会の逆ルートになるが、標識が続くし、ハイキングコース歩きで何も迷うこともない。むしろ、さっきまでの植林帯歩きから解放されて、携帯忘れへのこだわり以外はすっきり気分で歩いている。
 どんどん下る。振り返ると堂平山にはもう戻りたくなくなる。ここでまた標高200mほど損をした気分で七重峠に降り立って車道とクロスする。峠の標識があったかは気づかなかった。右手に見える山は笹山か。あそこも360度の展望とあるが、そうでもないらしい。ガードレールの切れ目に笠山方面の手書きを目にし、またさらに下ってハイキングコースになった。右下に車道を見ながら歩くと、また車道に下る。ここが笠山峠かと思ったが、標識の笠山峠はすでに通り過ぎた方向に向いている。

(笠山へ)


(ロープが廻らされていたが、雨の時は泥んこだろう)


 ここから笠山への登りかと多少はうんざりするが、標高差は150mもないから何とか耐えられるだろう。この時点で、ここが最後の登りかと安心しきってもいる。ここにも熊注意の警告文書が置かれている。
 急な斜面を登って行くと、単独のオバちゃんが下りてきた。歩いているハイカーを見たのは、今日はこのオバちゃん一人だけ。ここを下った記憶だけはかすかにある。そういえば、あの大会の時、笠山の山頂には目もくれずに手前下で曲がってここを下る人がほとんどだった。何とも余裕のないハイキング大会だったのだろう。改めて、あの大会は経験一回で十分だと思う。あれでは周りの参加者の流れ次第で、黙々の競歩大会になってしまってもおかしくはない。

(笠山山頂)


(笠山神社)


 笠山の山名板のある山頂に着く。ここは三角点も標高点も何もない。取りあえずそのまま笠山神社に行く。ここは由緒のある神社のようだ。だれもいないので鈴を鳴らしてお参りをする。バス時刻表が置かれている。バス停名は「切通し」となっている。地図を見る。ここからも下れるらしいが、そちらを覗き込むと急斜面になっている。ここは下りたくないなと、手前ピークに戻る。町境ルートを下らないのなら和紙の里に出るコースを下るつもりになってもいる。休憩してドラ焼きを食べる。すでに1時半だ。町境尾根を下るにしても厳しいところかもしれない。ポットにお湯も入れてきたことだし、ここでゆっくりランチタイムにしたいが先行きが不透明ではのんびりもできない。

 帰ってからHIDEJIさんの記事を改めて拝見すると、自分よりも2時間20分遅れ出発のHIDEJIさんにこの笠山で追いつかれる時間になっていた。4時半には暗くなる時期だったら、後の持ち時間は3時間だ。俊足のHIDEJIさんだったら問題なかったろうになと思うが。

(チタンテープを足首に貼ってみる)


 ここでなぜかみー猫さんが登場する。別にご当人にここでお会いしたわけではない。先日の城峯山に行った記事にいただいたコメントにチタンテープのことが書かれていた。足の攣り用にとチタンテープを購入したが、それきりになっていて、持っていることさえ忘れていた。ちょうど、ここの登りで左足首が痛くなっていたので、両足に貼ってみた。貼るほどの痛みでもなかったが、試しにということで。効果のほどはわからない。元々たいした痛みでもなかったことは確かだが、以降の痛みはなく知らずのうちに消えた。それ以上のことを書くのは控えておこう。足が攣った時に改めて。

(下る)


(616.8m三角点)


(この目印が続く)


 標識に合わせて萩平方面に下る。林道に出た。さて、ここからどうしよう。やはり予定どおりに町境尾根ルートにするか。熊の出たところは笠山だったし、もういないだろうという安心感もある。携帯不所持の不安、そんなものは払しょくすることにしよう。慎重に下ればいい。
 萩平バス停方面の標識を分けるとすぐに616.8m三角点。踏み跡は続いている。下ってまた林道をまたぐ。そして植林の中へ。「境界 小川町」の杭が手頃な目印になるし、森林作業の人も入り込んでいるようで、間伐の切り口を見ると比較的に新しいものもある。

(473m標高点付近)


(尾根は下に続いている)


 下り基調で歩いて行く。473m標高点。この左岸尾根もまた標高差を稼ぐのは難しいようだ。また林道に出る。はて、この先はと悩む前にガードレールに赤ペンキで記された矢印を目にする。尾根がガードレール下に続いている。

(前方に407.6m三角点峰。タカハタ)


(伐採地)


(リュウゴッパナ)


 正面右寄りにぼんやりと何だか大きな山が見えてきた。まさかあの山を越えるわけではあるまいなと地図を見ると、407.6mの三角点峰がある。どうも、この先の鞍部から100mの登り返しになっているようだ。笠山でラストかと思っていただけにかなり落胆した。もしかしてあれがタカハタという山だろうか。左岸尾根周辺の地図はよく見てもいなかった。
 伐採地を登り詰めると330m標高点。ここから左の谷越しに存在感のある山が見えている。地図を見ると493.8m三角点峰らしいが、昭文社マップには「リュウゴッパナ(竜ヶ鼻)」とある。険しそうな山だが、あそこもまた山頂直下を林道が通っているようだ。

(ミス。330mに戻るのはきつく、左に逃げてトラバース)


 特に何も気にせずにそのまま下ると、407.6mピークが右手に見えた。ここは正面に見えなくてはまずいだろう。下る尾根を間違った。だが登り返すには見上げる状態になっていて、ここはトラバースで正解尾根に戻る。踏み跡らしきものがあちこちにあって、これを利用してすんなりと事が運んだ。

(タカハタへの登り)


(タカハタ山頂)


(山名板)


 ラストの100m登り。さすがにきつい。一旦平らになり、緩い斜面を登ると「タカハタ」の山名板があった。三角点標石をあちこち探したが、ヤブに埋もれているのか目にすることはできなかった。標石は見つけづらくとも、その脇にある「大切にしましょう三角点」の杭は気づくものだとは思うのだが。
 腰を下ろして休憩。相変わらず風は強く、風でしなった樹が不気味な音を立てている。ここで気づいた。堂平山への登りで聞いた人の声はこれだったようだ。ギシギシという音とともにチャッ、チャッといったささやきにも似た音も伝わってくる。この揺れ具合では、いつ樹がしなって倒れてくるのかと落ち着かない。

(街並みが見える)


 3時半を回っている。あと1時間もかからないだろう。この先の右手にやたらと破線、実線が入り乱れて付いているが、どこに入り込んでも、里には出られかと思う。この時間、城峯山に行った時には、もうバス停脇で腰をおろしていた。今日はいまだに歩いている。
 道がしっかりしたと思ったら巡視路がかぶっている。開けたところに出ると、送電線が上を走り、近くに鉄塔が見えている。街並みもちらりと覗く。

(二俣は左に行った)


(ここで終わりだろう。街歩きスタイルにチェンジ)


 道がちょっと不明瞭になると308m標高点付近。尾根型もわかりづらくなる。ここで東側にある278.2m三角点も見て行くという手もあるが、今日の三角点探しはもういいだろう。植林を下って行くとまた道は明瞭になり、二俣になる。ここは左を選んだ。
 ここまで来たら後は成り行きだ。末端に出るのは無理かもしれない。民家の庭先に出る可能性もある。傾斜がなだらかになったところで鈴を外す。そしてストックも収納する。

(フェンス脇を下る)


(こんなところに出た)


 コンクリートブロックを積み重ねたのが目に入った。その外側をフェンスの囲いが続いている。このフェンス、よく見ると有刺鉄線も巻かれている。ここでフェンスを右に巻くか直進にするかで迷ったが、意識として末端寄りに出たいという思いもあって直進したが、後で考えると、ここは右が正解だったかもしれない。
 フェンスはなかなか終わらない。中に何か施設があるようで、ちらちらと中が見えるが、何の施設なのかよくわからない。石灯籠や石像のようなものも見えるので神社だろうか。中に入ってみたかったが、フェンスは続いているし、何かトラブルにでもなったらまずい。
 タンクのようなものが目に付き、その脇に出ると下に民家と道が見えた。道に下りる。だが、この道は他の民家に続いているし、反対側には畑仕事をしている女性がいる。もう仕方がない。正面突破でそーっと前の民家の玄関先を失礼して車道に出た。

(里に出て)


(県道)


(矢岸橋)


(笠山から堂平山)


(駐車地)


 下るとバスの通る県道。車の往来は多い。「切通し」のバス停を通り、腰中公衆トイレの隣の東屋のような休憩舎で休む。もう陽が落ちかけている。
 矢岸橋を渡ってちょっと行くと駐車地に着く。その間、今日歩いた山並みを眺めながら歩いた。堂平山と笠山シルエット状になっているがやはり遠い。よく歩いたものだと感心する。

 長い歩きだった。それでいて、帰ってからカシミールで見てみると、城峯山の時よりは1km少ない19kmちょっとの歩き。累積標高差は210m多い1,962mとなっていた。この累積標高差、参考程度のものだろう。外秩父七峰縦走ハイキング大会の時は2,540mもあった。そんなにあるとは思えない。いずれにしても、えらくくたびれ、予定コースを歩いた満足感は残ったものの、充実感というものがない。おそらく、植林の中の歩きが続いたからだろう。しかし、堂平山とタカハタへの登りはきつかった。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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館川両岸尾根 (HIDEJI)
2017-03-27 22:29:41
たそがれさん、こんばんは。
城峯山に続くロングコースお疲れ様です。
早速、館川両岸尾根を片付けられたのですね。笠山までですが懐かしく拝見しました。しかし、あのルートで堂平山まで寄られるとは恐れ入ります^_^
私には、堂平山に寄るなんて発想は最初からなかったのですが、そちらへ行ったら笠山は間違いなくパスしてたと思います。
前回、駐車場探しでもたつかずに、たそがれさんと同じような場所に停めておれば、両岸尾根周回をチャレンジしてたかなぁとも思いますが、中途半端な形で終わってしまい、少し悔いが残ります。皆さんの記事を拝見する度に、タカハタが気になって仕方がありません(笑)
館川両岸尾根周回も未練がありますが、何らかの形でタカハタは歩かなければとの思いが強くなりました。

それと堂平山への登りの途中で聞かれた話し声の件ですが、風に揺れる音がそのように聞こえるものなのでしょうか。私も人の居るはずのない場所で、一瞬ですが、ささやき?のような音を耳にしたことが何度かありました。気のせいだと思うのですが。。。(汗)
HIDEJIさん (たそがれオヤジ)
2017-03-28 08:58:22
HIDEJIさん、こんにちは。
当初はぶなじろうさんのようにそれぞれに歩くつもりでいたのですが、HIDEJIさんの記事を拝見し、どうせなら一遍にと思った次第です。
しかし、通しで歩くと、まったく殺風景な尾根ですね。道中に石祠の一つもない。ということは、町境とはいっても古道のかけらもないところなのでしょう。やはり、帰路は古の香り漂うところを下った方が風情もありますね。
堂平山は特別意識して登ったわけではなく、笠山への通過点と思っていたので、難しく登ってみただけのことですが、笠山下までストレートに行けば、コースタイムよりも意外に早く行けそうだったようですね。いずれにしても、難しく歩いたばかりに、あの堂平山への登りは苦労しました。
タカハタも、カタカナの名称からして、つい気になってしまいますが、周囲が植林の、ただの山といった感じで、特別に何かを感じるようなところではなかったですね。もしHIDEJIさんが行かれるようでしたら、三角点を見つけてきてください。つぶさに見まわしたつもりだったのですが、とうとう見つけられなくて。

木々のささやきの件ですが、今回に限らず、よくありますね。風に乗って、里の話し声が聞こえてくるような現象もあるし。ただ、タカハタでじっとしていたら、風にあおられ、揺れている木がいろんな音を出していましたので、風とのささやきかと思ったのですけどね。
Unknown (ぶなじろう)
2017-03-28 22:10:07
今晩は。
館川源流尾根、お疲れ様でした。
館川と聞いてピンとくる人は稀でしょう。普段このあたりを歩いている人でも、館川を意識する人はほとんどいないのではないでしょうか。
確かに両尾根とも殺風景で、特段特徴もありませんね。そうした意味からは、大変ですけど開けた堂平山に立ち寄るのはいい手かもしれませんね(自分には無理だけど)。畠山重忠のお墓が数少ない注目ポイントかと思いますが、それも前半に現れてしまいますからねぇ~。言い伝えによると、あのお墓には毛髪が埋葬されているそうです。
ず~と誰とも会わずに歩いていると、人の声や鈴の音が聞こえたような気がする時があります。誰も居ない事が判ると、安心する半面、少しばかり寂しさを感じる事がありますねぇ~。
Unknown (瀑泉)
2017-03-28 23:42:57
館川両岸尾根歩き,お疲れ様でした。
たそがれオヤジさんは,きりんこさんならぬ,HIDEJIさんとのタイム比較でしたか(笑)。
まぁ,さすがにHIDEJIさんのタイムは参考にならなかったみたいですが,カシミールで19km以上なら,沿面距離はそれ以上だし,一部,ハイキングコースも利用したとはいえ9時間半では,まぁ,自分なら間違いなく10時間超えといったところですヨ。
それにしても,堂平山で300mの登りで,タカハタで100mの登りですか。
自分なんて,この前の仙波尾根で250mを登り返すダケでもウンザリだったしなぁ~。まぁ,唯一救いがあるとすれば,ダラダラ登りでは無い事くらいかも知れません。
ところで,笠山に熊が出没したくらいで通行禁止ですか。いくら何でも,過剰に反応し過ぎだと思いますヨ。
ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2017-03-29 12:05:08
ぶなじろうさん、こんにちは。
ぶなじろうさんのネタで歩いてきました。おっしゃる通り、畠山重忠の墓以外は何もありませんでしたね。場所柄、石祠の何基かはあたり前のようにあるかと思っていましたけど。峠越えとか、隣町に向かう時に使われていたようなルートではないようですね。
あの墓にご当人の毛髪が埋葬ですか。そうなると真実味も出てきますね。元々首塚だったようだし、毛髪はさもありなんといった感じがいたします。ただ、それは見たいとは思いませんが。
今回の歩き、あのまま黙々と堂平山に立ち寄らずに笠山に向かったら、確かに全体を通してやるせないムードで終わった気がしないでもありません。それがなかったのは、やはり堂平山に立ち寄ったからでしょう。あの堂平山も、山頂下に軽トラが置かれていましたが、舗装道と車の気配がなかったら、何時間でも寝転んでいたい山ですよ。
山の中の幻聴、幻覚、よくありますね。風のささやきで片付けてしまいましたが、果たしてそんなものなのかなと思ったりもしています。確かに、何だ聞き違えかと思うと、がっかりもしますね。まして、今回は堂平山、笠山でしか他のハイカーと出会いませんでしたから。人とあまりすれ違いたくないと思いながらも、人恋しさの反面が出てくるのはしょうがないものですね。
瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2017-03-29 12:05:47
瀑泉さん、こんにちは。
タイム比較はある意味で自分の歩きの尺度にもなるし、避けられないでしょう。超然とした気分で歩くほどに出来上がってもいませんし(笑)。
しかし、早い方は早いものですね。自分のスピードからして、この人、途中で走ってんじゃないのかと思うような歩きをされる方もいますし。
今回の自分の9時間半が瀑泉さんには10時間超とは、ご謙遜でしょう。少なくとも瀑泉さんのお歩きを拝見する限り、遅くとも8時間台かと思いますよ。
急で標高差のあるところの登り、いつもつい思い浮かべて比較してしまうのが、国境平から皇海山への登りなのです。あそこ、500m差を1時間半かけて登り、さらにその手前でもモミジ尾根というのがありましたけど、これを基準に、300mなら1時間弱かなぁなんて思いながら登っています。しかし、散々歩いたあとでの登りは、それが100mであってもうんざりものですね。
笠山の、熊目撃に付き通行止めには目を疑いましたよ。これまでにないことだったから、そんな対応にしたものなのやら…。下の集落では、それなりに目撃情報もあったのではないかと思うのですがね。熊出没周囲の看板だけで十分だと思いますよ。案外、都会の初心者ハイカーが入り込むところですから、これでひるんで帰る人もいるかもしれません。
Unknown (ふみふみぃ)
2017-03-29 21:03:27
土地勘のない場所ですが以前HIDEJIさんの記事を読んでいたので場所は分かりました。右岸尾根と左岸尾根、どちらから歩いたら楽なのかと地形図をみて考えましたがどちらにしろアップダウンに苦しめられそうですね。展望的にたそがれさんと同じく左岸尾根を下りで使った方が良いのかなと思いましたが。
堂平山の展望は素晴らしいようで、これがあるなら道中地味でもいいかなと行った感じがしますが尾根を繋ぐ意識がないと林道歩きとかで飽きそうですね。タカハタへの登りみたいな雰囲気が続けばいいんですが。
時々足尾の藪の中とかで人が居ないはずなのに声が聞こえたような気がして立ち止り少し怖くなることもあります。藪のなかでチリンチリンと鈴の音がするのにちっとも追いついてこない、気のせいかと思えばまた聞こえてきたりした時の方が怖かったですが。

Unknown (ハイトス)
2017-03-30 00:19:10
こんばんは。
風邪が治ったところで9時間歩きですね。
お世辞謙遜抜きで自分なら日没になってしまいますよ。
チタンは本格的に攣ったときに再度検証でしょうか。
新しもの好きなので今度買ってこようかな。
巷ではつったときの対処法がいろいろ喧伝されていますが、即効性のあるものが良いですね。
ふみふみぃさん (たそがれオヤジ)
2017-03-30 10:13:28
ふみふみぃさん、こんにちは。
どういう周回が楽かと考えると、結局は堂平山に行くかどうかにかかってきますね。堂平山に寄らなければ、いずれから歩いても同じようなものでしょうし、寄るとすれば、左岸尾根から登った方が気分的には楽かと思います。何せ、今回のルートでネックになったのが堂平山への登りと、後半のタカハタへの登りでしたから。
タカハタへの登りは、逆方向から歩いても標高差100mは避けられませんが、まだ歩き始めの頃ですから、さして苦痛にはならないでしょう。笠山と堂平山の前後を含めた区間は熊の危険性はありますが(笑)、道は整備されていますから、さほどの高低差の苦痛は感じないかと思います。
タカハタと金嶽は超地味なピークですね。じっとしていると切なくなってきます。何せまったく景色がありませんから。地味尾根を登って地味ピークに至るという手法もどんなものかと思います。でしたら、堂平山に地味尾根ルートで行くのを優先させるべきでしょう。
途中で見かけたリュウゴッパナ、あれいい山だな。次はあいつにしようかなと思ったのですが、真下を林道が通っているようで、HIDEJIさんの記録を見ると、どうしても長い林道歩きは避けられそうにもない。何とかしたいなとは思っているのですが。
ふみふみぃさんの恐怖体験、それは風のいたずらではないようですね。まさか、シカがハイカーの鈴をひっかけて歩いているわけではないでしょう。現実離れした何かが徘徊しているのではないですか。足尾の山には薄暗い時には行かない方がいいですね。
ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2017-03-30 10:13:57
ハイトスさん、こんにちは。
実は、今回の風邪は長引いておりまして、歩いた時は、ようやく治りかけといったところでした。風邪よりも、首から肘にかけての痛みが一か月続いていて、絶えず意識下にあり、むしろ、こちらの方が困ったものです。老化に伴うあちこちの痛みよりも、神経が鈍くなって、痛みも感じない方がいいのではと思ったりしているのですが(笑)。
チタンテープ、早速、ハイトスさん、目に付きましたか。ただ、痙攣やら、足の攣りは、一回起きれば、簡単に回復するようなものでもないし、飲み薬にしても一種のおまじないのようなものかと思います。
ただ、チタンテープに関しては速効性があるようで、効き目を楽しみにしているのですが、ここのところ攣りがなかなか現れなくて。それだけ長時間歩きながらも楽な歩きをしているのではと思ったりしているのですが。
ついでながら、バンテリンのサポーターもいいですよ。いつもザックに入れています。あれは保温の効果で攣りを防ぐといったところでしょう。しかし、中をドラッグストアみたいにしてザックを担いで歩いているのもどんなものでしょう。

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