maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

喜愛香港-034 香港仔-01 

2004-02-24 18:51:58 | 虚々実々-喜愛香港

【地図】
1970年頃、初めて行った香港仔(ヒョンコンチャイ=アバディーン)は山際に貼り付いたような町、南側に浮かぶ鴨[月+利]洲(アレッチャウ)との間の広い湾を埋めた、暗闇に蹲っているような無数のジャンク、その中に取って付けたように光り輝く水上レストランが浮かんでいました。
屋台で焼く豚の脂身の煙が立ち込め、その中を裸足で走り回る子供、客引きの甲高い声、澱んだ饐えた海の匂い。
観光客はバスで乗り付けて、ヒツジの群れのように水上レストランに送り込まれ、食事が済むと又小舟で帰って来ます。
バスターミナルなど無いので、観光バスはお客を降ろすと何処かへ行ってしまいます。
陸に帰って来た観光客の群れは、バスが来るまで狭い海端の道路に溢れます。
スリがその観光客を狙って横行し、土産物を両手に抱えた売り子が纏わりついていました。

それが、1980年代に始まった水上居民の陸上への移住政策、埋め立て、水上レストランのアレッチャウ東の香港仔海峡の深湾(シャムワン)への移転などで全く様相が変ってしまいました。

レッチャウの高層住宅
向かいのアレッチャウには高層住宅が立ち並び、香港仔の海端に在った天后廟の前は埋立でバスターミナル、その先には遊歩道と公園が出来たんです。
背後の山肌には高層住宅が建設されて、元の香港仔はまるで取り残されたようになってしまいました。
以前の1/3くらいに狭まった湾内にジャンクが居るには居るんですが、海に出てゆかない居住用の船や、海産物加工工場の船がほとんど。
夕暮れに漁場へ向かうジャンクの群れなどはもう見ることが出来ません。
町のほうは、かえってノンビリしたいい雰囲気になりましたね。
住んでいる人達は、ガチャガチャしていてもお金が儲かる方がいいんでしょうけどね。

最近はアバディーンと言えば、観光客が集まる水上レストランのある、マリーナ側の香港仔海峡の方が通り相場になって、香港人にでも「旧香港仔」とでも言わんといかんようになってしまいました。
バスも銅鑼灣や灣仔で競馬場、トンネル越え、黄竹坑経由のメジャーなのに乗って、うかうかしてると観光用のアバディーンのほうに行ってしまうんです。

水上レストランなんぞに用事は無いので、例によってトラムで西の終点の堅尼地城(ケニディセン=ケネディタウン)まで行って、路線バスに乗り換えて薄扶林郊野公園(ポッフラム)の西側を廻って、鋼綫灣(コンシンワン)、瀑布灣(ポッポワン)、鶏籠灣(カイルンワン)経由の「これ以上マイナーな路線は無い!」という経路で行くことにしました。
何よりも海の景色が期待できますし、長洲へ行った時に横を通った青洲、小青洲の島を今度は陸から見ようという狙いも有ったんです。

バスが来ん・・・。
終点でトラムを降りて、さてバス停はと捜したら有るには有ったものの、あっちこっちへ行くバスが皆んな停まるようなのでややっこしい。
それなら、ひとつ先のバス停へ行けば、兎に角来たのに乗ったら必ず香港仔へ行くで、と歩いてゆくと、何と、ゴミ処理場のまん前にバス停が有りました。
待つこと暫しと思ったら、待てど暮らせどバスが来ないんですねぇ。

平日の通勤時間を外れたマイナーな路線やからしょうが無いんですが、それにしても影も形も見えません。
やって来たか?と思うと遥か向うで左に折れて、中環の方へ行ってしまう循環路線なんですよ。
仕方が無いので、ミニバスでも何でも、来たのを停めて乗ろうと待ち構えていると、天井の赤いのがやって来ました。

ミニバスというのは16人降りのマイクロバスで、手を上げると何処でも停まって乗せてくれるんです。
ただし立ち席無しなので、満席だと停まってくれません。
このミニバスには屋根が緑のと、赤のがあって、緑の方は専線小巴と呼ばれていて、専線の名のとおり走る路線が決まってます。
料金も決まっていて、料金箱が備え付けられていてMTR、KCR、共用のプリペイド・カードも使えます。
難儀なのは、お釣りを一切くれないんです。
これは路線バスでも一緒ですねぇ・・。
そこで、ポケットの中に常に小銭を用意していないと、泣く泣く4$の所でも10$札をだしてお釣り無しというような哀しい目に遭うんです。
其処は良くしたもので、4$の路線で10$札しか持ってない場合、ドアの所で後から来る客の料金を二人分自分が集めて、運転手に「三個(サムゴー=三人前)」と10$札+2$で12$渡すような事が良く行われています。
バスに乗ろうと思ったら、見たことの無いオッサンに手を出されて料金を取られると、最初は何事か?と面食らいまっせ。

片や赤い屋根の方は、大まかな方向は決まっているんですが、結構変幻自在に終点が変更されます。
北角(パッコック)と書いたボール紙をフロントに出していたから、終点で降りれば北角だと思っていたら、後から乗った乗客のリクエストでずーっと東の西灣河(サイワンホー)へ終点が変更になっていて、降りてから泡を食う、何てなことになりかねません。
こちらはそんな訳で料金箱なし、おつりも貰えますが、1ドルやそこいらのお釣りだと知らん顔をされる事も間々有ります。

手を上げると書きましたが、正確には水平より少し下向きに手を伸ばすんです。
まぁ、それはドウでも良いんですが、停まると大きな声で自分の行く先をどなって確認しないといけません。
「往香港仔ア(ゥオン、ヒョンコンチャイ、ア)?」「係(ハイ)!」これでOK。
途中で降りたい場合は、乗った時に「西営盤、有落唔該!(サイインブン ヤゥロッ ンーコィ)」等と降りる場所を怒鳴っておけば、運転手が忘れない限り、そこで停めてくれます。
西営盤は地名、有落は降りる、唔該はplease、excuse meに類した言葉です。
ちなみにバスの「降り口」には「落車」と表示されています。
混んだトラムで人を掻き分けて降りるときなどは「有落(ヤゥロッ)!唔該(ンーコィ)!」と連呼しながら出口へ向かいます。
廣東語を全く知らない頃は「野郎ウ〇コ!」と聞こえて何やろ?と思ってました。

問題は町並みや景色を見ていて、行き当たりバッタリに途中で降りてみたくなった場合です。
空席が多いと、市街地の交差点近くで停まって客待ちをする事が有ります。
面白そうな場所なら、そこで降りれば良いんです。
路線バスが走っている道ならば「巴士站有落(パシーチャムヤゥロッ=バス停で降りるよ)」と言えば大抵次のバス停で降ろしてくれます。
目印が無い場合は「那邉、有落唔該(ナピン、 ヤゥロッ ンーコィ=そのあたりで降りるよ)」とでも言うしかありません。
道が狭かったり、後ろから車が来ていると、中々停車出来ずに行き過ぎるケースも有ります。

ミニバスの講釈はこの位で置いといて、幸い空席が有って停まってくれたので乗り込みました。
交通量が少ないから、クネクネした域多利道(ビクトリァ・ロード)を飛ばす飛ばす。
左の脇道に入ったと思うと、山の裾に建ち並んだ大団地へ入ってゆきました。
買い物袋を下げたおばちゃんが降りて、又もとの道へ。
よほど方向を逸れない限り、脇道でも何でも入っていって送ってくれるのが凄いですねぇ。
後で聞くと、その辺は運転手次第やそうですわ。

狙い通り、上り下りの道から見える景色は絶景。
時々マンション群に遮られるのが惜しいなぁ。
鋼綫灣の手前には病院やら学校が多いですねぇ。
鋼綫灣のあたりは高層住宅が一杯。
瀑布灣の所で石排灣(シェッパイワン)道に入って、道が東へ曲がって行くと、いよいよ香港仔海旁道(アバディーンプラヤ・ロード)。
もう右側の海は香港仔灣(ヒョンコンチャイワン)、左手の山に広大な墓地が見えます。

所で、このバス、香港仔の何処に着くのんかいな?
まさか香港仔の裏山の上の、漁光邨(ユェコンチュン)団地の奥で降ろされて、「行き先を変更しました。ごめんね!」なんてな事は無いやろなぁ?

2004/02/24

喜愛香港-035 香港仔-02 

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