吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

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2011年1月22日/〈津屋崎千軒・町歩きスポット〉44「椎ケ元観音堂」

2011-01-21 14:22:19 | 津屋崎まちなみ散策

写真①:ご本尊のご開帳が33年に1回行われる「椎ケ元観音堂」
     =福津市大石で、2011年1月18日撮影


〈津屋崎千軒・町歩きスポット〉 44


:「椎ケ元観音堂」

 福津市大石にある「椎ケ元観音堂」=写真①=は、宗像の三十三か所観音霊場の十四番札所になっています。昭和6年に建て替えられました。観音堂の左側高台に椎の古木=写真②=があり、「椎ケ元観音」とも言われています。春秋の彼岸には、宗像四国の巡礼が訪問。4月16日と8月16日にお籠りがあり、奴山にある「宝蓮寺」(真宗・本願寺派のお寺)の住職がお参りに来られるという。


写真②:「椎ケ元観音堂」の左側高台にある椎の古木
      =福津市大石で、1月18日撮影

 十一面観音像といわれるご本尊は秘仏とされ、「見ると目がつぶれる」ともいわれています。津屋崎町史民俗調査報告書『津屋崎の民俗(第一集)』によると、〈聖徳太子の作といわれる十一面観音像は傷みがひどく、平成五年から六年にかけて修復がなされた〉としています。一方、福津市が境内に建てた「椎ケ元観音」と題した解説石碑によると、〈本尊は桧の一本造りで、平安時代中期の観音立像です。聖(正)観音あるいは十一面観音ともいわれていますが、現在の偉容からはいずれとも判断できません〉と説明。33年ごとに1回のご開帳があり、昭和37年に42回目の、平成6年に43回目のご開帳がありました=写真③=。


写真③:平成6年に行われた43回目のご開帳と御本尊修復の記念石碑
     =「椎ケ元観音堂」境内で、1月17日撮影

 江戸時代後期に福岡藩士・青柳種信が編さんした地誌『筑前国続風土記拾遺』によると、観音像は長さ5尺余り。奈良時代の聖徳太子の作で、近くの水上の溜め池の横にあったという「龍光山恵華寺」から移された、としています。

 椎ケ元観音の由来記によると、恵華寺は、筑紫の国造磐井(いわい)の孫、大石麻呂が建立した大きな寺と伝えられています。須多田の須多麻呂、福間町神興津丸の磐津麻呂とは三兄弟で、須多田・津丸の人とは婚姻しませんでした。すると、ろくなことはないといわれています。

 『津屋崎の民俗(第一集)』の〈(二)伝説〉によると、恵華寺にあった観音さんが焼けて飛んで来て椎の木に宿り、〝ここに住みたい〟と言われるのでお堂を建てたという。観音様の左右には、弥勒、大日如来の像が鎮座。大日如来は「知恵観音様」とも呼ばれ、子供の頭がよくなる観音様とされており、さすって知恵をいただくと、とてもご利益があるという。

 観音様は、安産の仏様とされています。妊婦は、5か月目の戌の日に観音様から短くなったロウソクとともにいただいた「おテの糸」(ご開帳の時に稚児行列が使った後、奉納)1本をサラシの中に入れて巻き、お守りとし、お産の時は寝床の下に入れ、陣痛が始まったら、このロウソクに火を灯します。ロウソクの火が消えるまでに赤ちゃんが生まれるといわれるので、より短いロウソクをいただいていたという。安産の後、ロウソクと白か黒の糸1カセをお礼に返しています。

 お堂は以前、7、17、27の日に昼から開かれていましたが、11年1月17日午後に訪れた際は、入り口の戸が施錠されていました。

 椎ケ元観音の境内角には、庚申尊天(庚申塔)=写真④=が一基あります。


写真④:境内角にひっそりと建つ庚申尊天
     =「椎ケ元観音」で、1月18日撮影

 この庚申尊天近くの境内には、江戸時代後期の寛政9年(1797年)巳仲秋に庄屋五七郎が施主となった供養塔「一字一石塔」=写真⑤=も建てられています。「一字一石塔」は、先祖供養のために、お経の字を一つの石に1字書いて埋め、その上に建てた塔で、福津市では勝浦地区にも建てられました。


写真⑤:先祖供養のために建てられた「一字一石塔」
     =「椎ケ元観音」境内で、1月18日撮影

 観音様入り口の参道石段下にも、江戸時代中期・享保3年(1718年)建立の庚申尊神=写真⑥=が一基あります。


写真⑥:江戸時代中期・享保3年に建てられた庚申尊神
     =「椎ケ元観音」入り口の参道石段下で、1月18日撮影

 近くの大石字沖に医薬の神の少名彦命(すくなひこなのみこと)を祭神とする「風降(かざふり)天神社」(風降神社)があります。隣の須多田にある「天降天(あまふり)神社」(天降神社)と祭神が同じ少名彦命(氏神様が兄弟神)であるため、古来両地区の縁組、結婚はなかったという。


「椎ケ元観音堂」位置図
   (十字の所)
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