「うちの祖母」伝説

なんかちょっと違う?そんな祖母の介護を含む想い出日記

一口けろ伝説

2018年07月03日 | 祖母伝説

子供の頃、私達がおやつを食べようとすると
祖母は必ず「一口けろ。(@一口ちょうだい。)」と言った。

お菓子などはまだいいが、
飲み物系は口をつけることになるので必然的にみな嫌がった。
祖母の分もコップを持ってくるからというと、だったらいらないと言う。
自分の分のコップがあるのをうっかり誰か(主に母)に見られたら
どんなに一口でもいっぱい飲んだと思われる恐れがあるので
何が何でも自分以外の人物からもらわないといけないのである。

ある時、私と妹がジュースを分けているといつものように祖母の「一口けろ!」が始まった。
私はジュースを持って離れた席に座ったので、
祖母の標的はすぐそばにいた妹のジュースにロックオンされたようである。
妹は絶対あげなかったのだが、ちょっと何かを取りに茶の間を離れたすきに
祖母はすかさずジュースに手を伸ばし一口飲んで元に戻した。

ほどなく戻ってきた妹は何かを察知したのか「飲んだでしょう!」と祖母を問い詰めたが
祖母は「飲みえんちゃ!(@飲んでません!)」と、
あたかも何を言う!という調子で強く否定していた。

その一部始終を私が全部見ていたのだけれども・・・?


そんな調子なのでまったく信用ならないのであった。


あきらめはいい方です伝説

2018年06月26日 | 祖母伝説

父の妹、祖母の末っ子である叔母は小柄で華奢である。
生まれた時もとーっても小さくて、
お産婆さんが片方の手の平に乗せて家族に見せにきたくらい小さかった。

そんな状態だったので祖母はどうせすぐ死ぬだろうからと
取りあえず乳だけ飲ませてほとんどほっぽっておいた。
さすが孫を柱に結わえ付けて茶飲みに行くだけのことはある容赦の無さよ・・・(涙)。
→「孫より茶飲みが大事伝説」参照

奇しくもいうべきか幸いにもというべきか、
叔母は母親譲りの内臓の強さで、はたまたしっかり者の姉達がいたおかげか小さいながらもすくすくと成長し、
三人の子供にも恵まれ孫も出来て今もほとんど病気知らずに元気に暮らしている。


濡れ衣でごめんね伝説

2017年11月30日 | 祖母伝説

ある時、我が家の冷蔵庫から毎夜毎夜食べ物が無くなるという怪奇現象が発生した。

母も知らない、父も知らない、もちろん私達姉妹だって知らない。
となると残るは祖母である。
さすがにこれは放っておくわけにはいかないので父が祖母に切り出した。
「おばあさん、毎晩夜中におやつを食べてるみたいだねぇ。」
祖母は知らないと否定したが祖母以外いないのだから決まりなのである。
「とにかくもうやめらいんよ。」

まったくすっとぼけて・・と、みな呆れていたが、
そのうちその怪奇現象は我が家だけでなく近隣一帯で起こっていることが判明した。

冷蔵庫荒らしの犯人は・・・
近所で飼っている「猫」だったのだ!

都内で暮らしていたご近所さんの娘さんが引っ越すことになり、
引っ越し先で猫が飼えないので実家に連れてきたのだという。
当時の我が家は建て替える前の家で床下には飼い猫が自由に外を行き来できるように穴が開けてあった。
当然よその猫も自由に出入りできるわけで、ご近所のお宅も大体そんな感じだった。

で、その東京からやってきた猫ちゃんはとんでもない大猫で
夜ごとよそ様の家に忍び込んでは冷蔵庫の前にごろりと横になり
その巨体の4本足を駆使してまんまと冷蔵庫の扉を開け、好みの食べ物を失敬していたという訳なのだ。

「・・すみませんね~・・うちの猫が全国荒らしまわってたみたいで・・・」
なんでも娘さんと暮らしていた時から冷蔵庫開けをしていたらしい。
恐縮する飼い主さん。

晴れて疑いが晴れた祖母だが、じくじくたる思いだったに違いない。

しかしね、祖母には人に隠れてこっそり食べるという習性があったからこんな時疑われるのだ。
まあね、糖尿病の祖母が堂々と食べていたら注意されるのはわかりきっているので嫌なのはわかるけどさ。
そういえば近所の糖尿病の爺さんが家族に隠れていつもこっそり食べていた饅頭を喉に詰まらせて
救急車で運ばれたという話を聞いたっけ・・・。

さて、しきりに恐縮していた大猫の飼い主さんだったが、
恐縮はすれどもだからと言って何が変わるということもなく近隣一帯の冷蔵庫は荒らされ続けた。
我が家では一番最後に寝る人は冷蔵庫の前に椅子を置いてから寝る事・・というルールができた。
もちろん、椅子は冷蔵庫の扉を開けられないためのバリケードである。
椅子1脚くらいではたやすく関門突破され、しまいには3脚も4脚もの椅子が冷蔵庫の前を埋める羽目になった。
そんな攻防の毎日だったがいつのにか来なくなって、
飼い主さんから猫は死んだのだと聞いた時、あの攻防の日々がたまらなく懐かしかった。


病院帰りのお楽しみ♪伝説

2017年11月09日 | 祖母伝説

祖母は糖尿病を患っていたので、寝付くまでは長年病院通いをしていた。
月に一度か二度、近くのバス停まで歩いて行きそこからバスに乗って行く。

そして帰りは一つ手前のバス停で下りる。
そのバス停の真ん前にはラーメン屋があって、祖母はそこの味噌ラーメンが大好きだったのだ!
ラーメン通には知る人ぞ知る名店で、場所は変わってしまったけれど今も営業している。

もう一回言うが祖母は糖尿病だった。
・・・のでラーメンなんて高カロリーな食べ物はもちろんご法度。
だから病院帰りの度にわざわざ一つ手前のバス停で下りてラーメンを食べていることは家族にはもちろん内緒だったが、
そこのラーメン屋のお孫さんとうちの妹が同級生で、
「昨日、おばあさんがうちに来てフーフー大汗かきながらラーメン食べてたよ。」
という具合に内通者がいるものだから、はなからバレバレなのであった。

でもだからと言って家族の誰もそれを咎めることはしなかった。
それで具合を悪くすることはなかったし、
それにそれくらいのお楽しみがあってもいいじゃない?


そういう私達も母にくっついて街に買い物に出かけた時など、
お昼ご飯はちゃんと食べてきたのに、帰りに食堂に寄って中華そばを食べるのが何より楽しみだった。
「誰にもいうなよ?」
「うん!」
という秘密なスパイスもより美味しくさせていたのかもしれない。
もっとも、ある時はまだ小さかった妹が自宅に着くなり、
たまたま庭にいた祖父にそそくさと走り寄って聞かれてもいないのに
「中華食べて来ないからね!」と言った時はみんなで青くなったものだけれど・・。

祖母も私達もいわゆる同じ穴のムジナとでも言うべきか・・・?(笑)
人のことは言えないのである。

何年も何十年もの病院通い・・・。
でも帰りはあのラーメンを食べて来よう♪
帰りにお楽しみが待っているだけでどんなに気持ちが違うだろう。

そんな祖母の気持ちが何だかちょっと可愛いのだった。


好きなテレビ番組は国会中継伝説

2017年11月02日 | 祖母伝説

祖母は国会中継を見ているお祖母さんとして(ごく一部で)有名だった。

大のテレビ好きだった祖母。
修理に来た電気屋さんから「お祖母さん、テレビも時々休ませてあげないとね。」
などとやんわり注意されるくらいほぼ一日中テレビを見ていたので、
とくに面白いものが無かった時になんとなく国会中継でも見ているのかな?と思っていた。
しかし特に政治に関心があるようにも見えないし、
そもそもどんなつまらない番組でも国会中継よりは面白い気がする。(失礼)
なんでわざわざ国会中継にチャンネルを合わせるのか不思議だった。

そんなある日、妹は目撃した。
祖母が国会中継中のテレビに向かって「それやれ!それやれっ!!」とはやし立てているのを!

そう、祖母は国会中継が好きなのではなくて『紛糾する国会』が好きだったのだ!
ケンカ腰の国会質問、飛び交うヤジ・・・
乱闘なんてあった日にはそれこそ待ってましたとばかりに胸躍ったに違いない。

思い返せば、確かに祖母がテレビに向き合って食い入るように見ていた時は、
何内閣の時だったか知らないけれども野党が牛歩をして国会内が騒めき立っていたのを覚えているし、
横になって転寝をしている時はたいていちんたらした国会質問が続いていた。
祖母にとって国会とは、内容ではなく『もめているかどうか』が大事だったのである。

ああ、祖母が健在だったら、
モリだのカケだのいろいろ紛糾しててさぞや毎日楽しかったことだろうなぁ~!