文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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池田信夫 blog 「平成の徳政令」への反論

2008-08-17 13:22:14 | 経済学
また、池田信夫が彼のブログで吠えている。8月15日付の記事「平成の徳政令」だ。

 この記事中で、彼は、日本の景気減速を政府の規制強化による「官製不況」が後押しをしているという。ここまでは、一般論としてはいいだろう。しかし、ここで、彼がその一例として問題視しているのは「貸金業法の規制強化の影響」である。

 彼は、この1年で貸金業者は30%廃業し、消費者金融の融資残高は20%(1.5兆円)も減ったと主張する。しかし、この数字をあげることにどのような意味があるのだろうか。彼がよく主張する市場の原理から言えば、30%廃業は、元々法外な高金利でしか生き延びれなかった、競争力のない会社が市場から撤退しただけかもしれない。「非効率な企業は退場するという資本主義のルールが崩壊したことにある」ことを嘆くなら、喜んでもよいのではないか。

 融資残高だって、従来はかなりリスキーな借り手にも貸していたのが、きちんと返してくれる相手を選別するようになっただけかもしれない。もともと帰ってこない金の分がなくなっただけなら、はたして彼の言うように、「金融市場を致命的に混乱させ、投資を減退させて経済に大打撃を与える」だろうか。

 更に彼は、シティグループが日本の消費者金融から撤退するとき、「ルールのない国でビジネスはできない」言ったことをあげ、「過払い金利の返還」を最高裁が命じたことを「平成の徳政令」と批判する。

 しかし、これはおかしい。元々、利息制限法により利子は最高20%に決まっていた。(もっとも、これもかなりの暴利だが)罰則がないことを良いことに、ルールを無視して、罰則のある出資法に定める金利の上限近い高金利を享受していたのがかっての消費者金融だった。ルールがないというのを、周りがやっており儲かるのだったら、ルールに反していてもじぶんもやるといった日本人的なわき見の意識をさしているというのなら、それは当たっているのであるが。

 彼の考えの奥底には、なんでも市場に任せておけばうまくいくという意識があるのではないだろうか。しかし、経済学者たちが夢想するモデル市場ならまだしも、現実の市場が効率的であるというのは、誰が証明したのであろうか。

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