文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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ペナンブラ氏の24時間書店

2017-03-22 18:11:45 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
ペナンブラ氏の24時間書店 (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・ロビン・スローン、(訳)島村 浩子

 失業中だった主人公のクレイ・ジャノンが働き始めたのは、<ミスターペナンブラの二十四時間書店>という不思議な書店。コンビニではないが、その名の通り、24時間営業。しかし一向に本が売れないのに、どうやって経営が成り立っているのか。クレイの給料は、どこから出ているのか。

 この書店、実は2軒の店が1軒にまとまっており、手前の方は普通の古本屋なのだが、奥の方には、暗号で記されたような不思議な本ばかり並んでいる。この本は売り物ではなく貸し出しを行っているのだが、借りに来るのは、ちょっと変わった人ばかり。いったいこの書店にはどんな秘密があるのか。

 全体としては、クレイがこの秘密を解き明かしていくものだが、本書の構成は大きく3部に分かれている。まずは、クレイが、<二十四時間書店>の秘密を発見するまでが第一部の「書店」。

 第二部「図書館」では、<二十四時間書店>のスポンサーである秘密結社との対決だ。対決といっても血なまぐさいものではなく、その組織が500年もの間アナログな手段で解き明かそうとしてきたある本の秘密を、グーグルに務めるクレイの彼女の協力を得て、グーグルの全リソースを使ってデジタルな手段で一気に解き明かそうというもの。言うなればアナログv.s.デジタルとでもいうことだろうか。

 第三部「塔」では、グーグルの全リソースを使っても解明できなかった謎が、ひょんなことから解けてしまった。しかし、それは秘密結社が500年もの間追っていた内容とは違っていたのだ。ここでは、秘密はかなりアナログな方法で解き明かされる。結局、デジタル万能ではないということなのだろう。
 しかし、本書に出てくるプログラミング言語がC言語からというのは、ジェネレーションギャップを感じてしまった。フォートランとか、アルゴルとかないのね。せめてパスカルとか・・・(笑)。

 ただ、HP社のコンピュータで「逆ポーランド記法」が出てきたところは少し懐かしかった。私は、学生時代にHPのプログラム電卓を使っていたが、これが逆ポーランド記法を使ってプラグラムを組むというもの。今やれと言われても、できないのだが、昔は結構使いこなしていた。それにしても、著者はまだ若いと思うのだが、よくこんなことを知っていたものだと思う。

☆☆☆☆

※初出は「本が好き!」です。


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