文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:野武士のグルメ

2014-04-12 23:05:06 | 書評:その他
漫画版 野武士のグルメ
クリエーター情報なし
幻冬舎


 停年を迎えたおじさんが覚えた、「ひとり飯」の楽しみ、「野武士のグルメ」(久住昌之/土山しげる:幻冬舎)。タイトルや表紙イラストからつい連想してしまう、野武士が食べるような山賊料理を紹介するといったようなものではない。あくまで主人公は普通のおじさんである。

 それでは、なぜ「野武士」なのか。主人公は、定年を迎えて無職である。しかし、同じ無職でも浪人では、傘はり内職などを連想して、どうも格好が悪い。これならかっこいいだろうと、自分を野武士に見立てて、「ひとり飯」の食べ歩きを満喫するのだ。

 彼は、おしゃれなレストランなどには興味がない。お好みは、ちょっとうらぶれたような感じの「食堂」や「居酒屋」。なにしろ野武士だから。

 だから、通常のグルメ漫画のように、いかにも高そうな贅を尽くしたような料理などはでてこない。紹介されているのは、焼きそばやタンメン、アジのひらきといったような庶民的なものが多い。食べた時の反応もいたってクールだ。けっして、周りに天使が舞って、この世の幸福が全部自分のものになったような極端な幸せ顔なんてしない。静かに美味しさを噛みしめるのある。だって、野武士だから。

 この作品は、私のような、少しくたびれたサラリーマン(昔は美少年だったんですが・・・汗)には共感をよぶだろう。しかし、若い女の子などには合わないかもしれない。なにしろ、彼女たちが好みそうな、おしゃれな感じはまったくないのだ。だが、そんなことは問題ではない。おじさんは、誰にも気兼ねすることなく、自分の思うように堂々と食べたいものを食べていくのだ。野武士だから・・・。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時投稿です。

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