電脳アニメパス

アニメ及び周辺文化に関する雑感

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

【DCSS】初音島桜前線注意報(11) 月城アリスとリボンの綱渡り

2005年09月29日 | アニメ
 新キャラ紹介編の3番目は月城アリス。学年が違うためか、環やななこと比べると登場回数が少なく、また本人自身が寡黙な感じなので、どこか神秘さの漂っているキャラクターです。
 例によってアニメで描かれた材料だけを頼りに月城アリスというキャラクターについて考察してみましょう。

(1)アリスとアイシアの出身地

 作品中ではアイシアと雰囲気が似てるから北欧出身じゃないかという話になっているんですが、アリス本人が肯定も否定もしていないのでよくわかりません。
 一口に北欧と言ってもアジア系のフィンランドからバイキングの末裔であるアイスランドまで様々なので、ひとくくりにするのはどうかと思われますが、フィンランドやバルト3国を除いたデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、アイスランドは北方ゲルマン民族の諸部族を祖先としてるのである程度の共通性はあります。

 「アリス」という名前は語源は古代ゲルマン語ですが、直接的には古代フランス語由来の名前です。イギリスにはノルマン朝の時代に他のフランス語由来の言語と同じように入っていったものと思われ、それが『不思議の国のアリス』に繋がるわけですが、同様に周辺諸国にも広がっていきます。
 ただし、スペインではアリツィア、イタリアではアリーチェ、ドイツではアリーセというように変わって行くので「アリス」という発音の名前はフランスとイギリス周辺ということになります。北欧の言語は一般にフランス語よりはドイツ語に近いから、ドイツ語と同じような発音と考えると「アリーセ」になるかと思いますが、英語の影響とかもあるので一概にはわかりません。
 一方、「アイシア」という名前は語尾から判断して古代ギリシャ語由来の名前で、このタイプは「アイシア」または「アイーシャ」の形で、どの国でもあまり変わって来ないように思います。ただ、人名としては古い形なので使用頻度から考えるとドイツ語圏とその周辺から北欧にかけてが多いんじゃないでしょうか。
 名前から判断するとアリスは英仏またはその周辺、アイシアはドイツ周辺もしくは北欧という感じなので、アイシアはともかく、アリスが北欧系だとは一概に判断できないようです。

 喋ってる言葉で判別できると簡単なのですが、アニメのお約束でアリスもアイシアも日本語しか喋りません。そうなると後は人種的特徴、すなわち髪の毛の色や瞳の色、肌の色、顔立ち、髪の毛の縮れ具合、耳垢の乾燥度、耳たぶの形、etc.…をチェックする必要がありますが、アニメに描かれていないものはチェックできませんし、髪の毛の色なんて緑の水越姉妹とか赤のことりとか見てたら判断材料にならないのは明らかです。
 ま、キャラクターデザインを見る限りではアリスとアイシアの雰囲気が似てるのも確かですが、それが同じ北欧系だから似てるのか、単なるキャラクターデザインの都合で似ているのかは区別が付きません。
 でも、そんなこと言ってたら先に進めません。普通にアニメで欧米系のキャラを出す場合、金髪碧眼にするのが最もポピュラーです。代表的なところでは『ToHeart』の宮内レミィ(厳密にはハーフだけど)あたりです。ま、他にお嬢様キャラを金髪にするというパターンもあるので金髪なら欧米人というわけではありませんが、金髪碧眼の欧米人というのは一種の定型パターンだから単に欧米人というだけならそういうキャラクターデザインになってた可能性は高いです。
 その上であえて金髪ではなくシルバーだか、薄くコバルトがかったグレーの髪のキャラに設定されているのは、そんな典型的な欧米人では無いということです。一般に欧米人としてイメージするのはアメリカ人、イギリス人、フランス人、ドイツ人というところでしょうか。それらを金髪の欧米人とイメージして、それより色素の薄いシルバーやグレー系統の髪の毛を意識的に使っているなら、北欧系がイメージされていると考えても間違いでは無いでしょう。


(2)アリスとサーカス

 アニメではアイシアが客間の暖炉の上に飾ってあった写真を見付けて、アリスがサーカスの団員であったことを指摘しています。それまでにもアイシアの暴走を身軽に宙を飛んで避けてたこともありましたし、この後で綱渡りまでやってますから、それは間違いないでしょう。(いや、ゲームをやってればもっと明確に描かれてる話でしょうか)
 そのことが(1)の内容に絡んでアリスの出身をわかりにくくさせてる要因のひとつに思われます。一口にアリスが北欧出身かどうかと考えた場合、生まれた場所が北欧なのか、人種的に北欧系だけど生まれた場所は別だという場合とか、いろいろあるからです。

 周知の通りサーカス団は巡業を基本とする商売です。国際的なサーカス団なら文字通り世界中を巡業して回ってるわけです。季節的な出稼ぎじゃないんだから1年の半分は故郷に帰ってるなどということは(プロのサーカス団なら)ありません。
 また、団員の構成も多国籍に渡ってることが普通だし、一般に団員の社会的地位は低いので家業でやってる以外は新規にサーカス団員になろうという人も少ないだろうから、昔みたいに人身売買で売られて来た来た子供を育ててメンバーにしてるってことはなくても、孤児を引き取って後継者として育てているという情況は多いでしょう。
 アリスがサーカスの団員だったとしても、サーカスの経営者の娘として生まれたのか、ただの団員の娘なのか、それともどこかの孤児院から引き取られてきたかではかなり違ってきます。また、こういう巡業集団の中で育ったなら、自分の出身はどこのサーカス団なのかというのが一番で、自分の祖国がどこかという意識は希薄だろうし、場合によっては不明なこともあるでしょう。
 アリスが北欧出身かと聞かれて即答できなかったのはそういう事情からかもしれません。

 現在のアリスはサーカスをやっていません。その辺の事情はやはりゲームで描かれているのでしょうが、アニメでは不明です。
 考えられる可能性としてはアリスのいたサーカス団が日本に巡業でやってきて、その間、風見学園に通うようになったのだけど、何かの事情でサーカスが続けられなくなったから、アリスだけ初音島に残ったというところでしょうか。
 ここで注意しなくてはならないことは、1つはアリスは黒塗りの車で送り向かいされるお嬢様だということ。もう1つは北欧系だとか言ってながら「月城」という日本人の姓を持っているということです。

 (a)アリスはサーカス団を経営する月城家のお嬢様

 もっとも無難な解釈ですが、この場合、母親が北欧の人だったのでしょうか? お嬢様暮らしが出来るサーカス団というと木下大サーカス並の大きなサーカス団だろうと思いますが、そんな大きなサーカス団が初音島で巡業できるようには思えないから風見学園との接点が不明です。
 逆に『からくりサーカス』の仲町サーカス団みたいな規模のサーカスなら初音島でも巡業可能でしょうが、娘にお嬢様暮らしをさせるほど商売が儲かるとも思えません。
 ま、サーカスの巡業地とは別に月城家の本宅なり別荘が初音島にあったと考えた方が良いでしょう。

 (b)アリスはサーカス団を辞めてから月城家の養女になった

 子供のいない月城家の夫婦がふと見たサーカスで活躍するアリスを見て気に入り、大金を積んでサーカスから引き取ったとかいうシナリオ。物語的にはありそうですが、現実にはまず無いシチュエーションでしょう。
 そもそも客に気に入られるほど活躍してるんならサーカスとしても手放したくない人材だろうし。ま、その他にアリスがサーカスにいられなくなる原因が絡んでたら話は別ですけど……

 (c)孤児でサーカス団にいたアリスが実は金持ちのお嬢様だった

 孤児でサーカスに引き取られた、あるいはサーカス団の一員だった親と死別して1人残されてサーカス団で扱き使われてたアリスだったけど、巡業で日本にやってきた時に父親の実家の月城家が金持ちだったことが判明し、祖父が若い頃に家出した息子の忘れ形見であるアリスを引き取って幸せに暮らすようになったという、古今東西の児童文学によくあるパターン。
 やっぱり引き取る時にはサーカス団に大金をふんだくられたんでしょうね。(あるいはサーカスを隠れ蓑に麻薬等の密売をしてたとか、児童虐待が発覚してお縄になったとかいうパターン)
 養女説よりも可能性が薄そう。

 (d)アリスの家はサーカス団の保養施設である

 アリスのいたサーカス団の経営者は世界各地で多角経営して設けていて、サーカスの従業員のための保養施設を作ってて、アリスはサーカスを辞めた後も以前の功績によって成人するまでその施設を使わせてもらってるって話。
 そんな親切な経営者なんかいないと言われればそれまでですが。

 (e)アリスはサーカス時代に大金を溜め込んでいた

 元いたサーカスで人気スターだったアリスのギャラは高くて、アリスはそれを全部貯金して溜め込んでいて、サーカスを辞めてからそれを使って贅沢三昧のお嬢様生活を始めたってところですが……
 いくら優秀なサーカス団員でも、巡業商売でそんなに名を上げるのはかなり困難。カレイドステージみたいに常設の施設でやってる一座なら話は別ですけが。アリスだって子供のサーカススターとして少しは話題になることがあっても巡業地を変えればまた一から出直し。ま、一定の巡業地を定期的に回って商売してるんなら固定のステージでやってるのに近いとこがあって、固有のファンが付いてもおかしくはありませんが、巡業周期が何年に1回とかなると子供のスターは変わってしまいますからね。

 単純に(a)と考えるのが妥当な気がしますが……


(3)まどかと初音島のサーカス

 病院でわがままを言って音夢を困らせてるまどかちゃん。両親は仕事で外国に行っていて、病院にひとり置き去りにされてるって、何か朝倉家の両親みたいな話ですが、初音島にはそういう家庭が多いんでしょうか?
 それはさておき、まどかちゃんが大事そうに持ってたサーカスのポスター(というよりはチラシ)から、自分たちがサーカスをしてまどかちゃんたちを喜ばせてあげようとアイシアが考えて実行に移していくのが今回の物語です。

 さて、まどかちゃんにとってサーカスは両親とともに見に行った数少ない大切な思い出だったわけですが、そのサーカスはどこで見たのでしょうか?
 初音島でサーカスの公演があったなら話は早いのですが、初音島の規模から考えたら、とても大きなサーカス団が巡業できるだけの集客力は期待できません。一応、本土と直結してる橋が架かってるようですが、すぐそばに大阪や神戸でもあってそこからの客が見込めるなら別ですが、例え明石海峡大橋で神戸からは近いはずの淡路島でサーカスやったってそんなに客は入らないでしょう。まず、都会の人間は車なんかには乗らないから、多少近くても電車でいけないような場所には客は集まりません。
 ま、地方に行けば車社会なので、車で行ける場所ならどこでも客が集まってくれそうですが、見込める客数の絶対数が不足していたんじゃ話になりません。それに、初音島には大量の車客を受け入れられるような広い道路や駐車場の数が間に合ってるようには思えません。無理に車が入ってきたら島の生活道路が麻痺してしまうのは確実でしょう。

 ま、『からくりサーカス』の仲町サーカスのような規模のサーカスなら初音島でも巡業は可能かと思いますが、あれはマンガの中の話。現実の日本に仲町サーカスのような規模の巡業サーカス団は存在しません。
 現実の社会を見ても、現在の日本で中小規模のサーカスがそこらの小さな町を巡業しながら回ってるという光景は見られません。実際問題、海外巡業できるような大規模なサーカス団でもないと経営が成り立たないのです。

 そうすると、まどかちゃんが見たのは初音島以外の場所ということになります。すると、病院にいた子供たちの多くはサーカスなんて実際に見たことが無いという可能性が高くなります。
 猛獣使いも道化師もいないメンバー2人だけの『初音島サーカス』に子供たちが見入っていたのはそういう事情でしょう。
 しかしながら、本物のサーカスを見た経験のあるまどかちゃんは話が別です。本物を知っているだけに夢中になることも出来ず、少し醒めた目で見たいたところに目の前で親に甘える子供の姿が見えて、自分の親のことを思い出してしまったというところですね。


(4)アリスの綱渡り

 病院を飛び出し、船で流されてるまどかちゃんを発見したアリスは、アイシアの出したリボンを使って綱渡りで船を脱出しています。しかし、実際のところ、サーカスの綱渡りのようにバランスを取りながら進んでいるでもなく、まどかちゃんを背負ったまま一直線に駆け上がっています。そんなことは可能なのでしょうか?

 まず、アイシアの出したリボンが問題です。一見、普通のリボンに見えたのですが、普通のリボンなら綱渡り以前に流される船に引っ張られる力で引きちぎられてる様な気がします。船が引っ張る力はアリスがまどかちゃんを背負ってリボンに乗ったときにかかる力よりもはるかに大きいはずですから。
 しかし、純一が切れたリボンの断片を見て一目でアイシアの魔法だと気付いたあたり、普通のリボンではなかったのでしょう。その正体が何であったのかはわかりませんが、ともあれ、アリスがまどかちゃんをギリギリ助けるだけの強度はあったようです。

 次にリボン渡りです。鉄棒などを渡ったことがある人ならわかると思いますが、鉄棒のような安定したもので、しかも距離が短い場合はサーカスの綱渡りみたいに平衡を取りながら進むよりも一気に駆けて行った方が安定します。こういうものはじっとしている方がはるかに難しいからです。
 ただし、流される船に掛けたリボンなんて安定性も何も無い場合は下手に駆ければ足を踏み外してまっさかさまです。こういうときはヤジロベエのように重りを使ってバランスをとりながらゆっくり進んだ方が懸命です。ただ、この場合、確実にリボンが先に切れてしまって、やはりまっさかさまでしょう。
 また、いずれの場合もリボンの傾斜角を考えたら灯台のところまで登っていくのは至難の業だと思います。
 作品ではアリスの驚異的な運動能力によって渡ることが出来たみたいですが、現実的に見てこの方法は成功確率が極めて低くて危険です。良い子は絶対にマネをしてはいけません。

 まどかちゃんを助けるのに何も危険を冒してリボンを渡る必要は無いのです。船は流されてるとはいえ、浸水してるわけでも、エンジンが暴走してるわけでも、水面が荒れて転覆の危険性があるわけでもありません。
 アリスはそのまま一緒に船にいて、まどかちゃんを守り、アイシアが誰が警察だか港湾関係者だかに通報して助けを呼べばいいだけです。それが一番安全確実な方法です。ま、初音島の沖合いのすぐそばには大きな渦潮があって、それに飲み込まれたら小さな船は木っ端微塵だとかいう話なら別ですが。
 流された船だって誰かの所有物です。故意で流したに無いにしても、そのまま知らん振りして流されたままにしておくのは道徳的にどうかと思います。ちゃんと事態を通報して回収できるような手配をするのは当然だと思いますが……

 リボンの綱渡りにしたってギリギリのところでリボンが切れてしまい、純一が間に合わなかったらまっさかさまだったところです。ま、下が水面なら落ちても大怪我はしないかもしれませんが、危険であることには変わりありません。
 普段はおとなしいアリスですが、実は破壊衝動を持った綱渡り的な性格をしているキャラクターじゃないでしょうか。
コメント   トラックバック (1)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 週刊アニメ定点観察 Vol.460 ... | トップ | 週刊アニメ定点観察 Vol.461 ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
雰囲気 (「雰囲気」ブログリスト)
宝塚ホテルにて -おっちゃん、それは OrganicHTML 見えないときは見られてる 季語に納得 川の字、ならず、 ショップ「トラックショップ 東京マッハ7」 【DCSS】初音島桜前線注意 『チャーリーとチョコレート工場』 起承転結なんてことは考えないほうが ゾウのうんこ