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アニメ及び周辺文化に関する雑感

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涼宮ハルヒの乱入 SOS団VSホスト部

2006年05月23日 | 雑記
「ここが桜蘭高校ね。無意味にでかくてむかつく学校だわ。この涼宮ハルヒ様がやってきたからには、庶民の実力を思い知らせてやるわ!」
 俺たちの目の前には見るだけにわが国でも有数のお金持ち学校と言わんばかりの、巨大なキャンパスにそびえてる豪華な校舎があった。
「目指すは第3音楽室よ。みんな付いてらっしゃい!」
 いつものテンションで俺たちを引っ張っていくハルヒだったが、もちろん初めて来た学校の第3音楽室とやらがどこにあるのか、本人にわかってなかったのは言うまでも無い。無数の教室のドアを次々に開けまくるハルヒがさすがに疲れだしたのを見た古泉が、近くを通り掛った女生徒から場所を確かめて目的の場所にたどり着いたのは、校門に入ってからおよそ1時間も後のことだった。
「あったわ、ここよ!」
 第3音楽室の表示を見たハルヒは勝ち誇ったように言った。
「どんな迷宮の中に隠れてても、このあたしからは逃げられないわよ!」
 いや、別に迷宮でもないし、逃げてもいないだろ。
「目にもの見せてくれるわ、桜蘭高校ホスト部!」

 それは数日前のことだった。部室のパソコンでなにやらネットサーフィンしていたハルヒが、いきなり勝ち誇ったように笑い始めた。
「さすがにあたしね。100パーセントじゃないというのは納得いかないけど、ダントツで1位というのは気持ちが良いわ」
 オレはハルヒが何のことを言ってるのか、パソコンのディスプレイを見て確認しようとした。そこにはアニメ感想率調査とかいう企画の感想率新番組好感度の二つの調査の結果がブラウザで開かれていた。光希桃 Anime Stationとかいうサイトの企画らしいが、その両方で『涼宮ハルヒの憂鬱』が1位になっていたのだ。
「しかし、このコメントにある《Wハルヒ》とかいうのは何よ?」
 ハルヒの顔は俺に向けられていた。いや、俺に振られたってわからんぞ。
「さっさと調べなさいっ! キョン」
 やれやれ。何でハルヒのネットサーフィンのフォローまで俺がせにゃいけないのかわからんが、ここでハルヒの機嫌を損ねたらまた古泉のヤツが余計な気を回した行動に出てくるだろうから、ここはおとなしく従っておこう。
「《Wハルヒ》というのはだな、おまえの他に、この調査で2位になってる『桜蘭高校ホスト部』とかいう作品の主人公も藤岡ハルヒという名前だから、2人合わせて《Wハルヒ》ってことだ」
 俺は調べた結果をありのままにハルヒに報告した。その時点でこうなることは十分に予測できた。むしろ必然だと言った方が正しいだろう。
「あたしと同じ名前なんて生意気よ。アニメ界にハルヒは2人も要らないわ。どちらが本物のハルヒか、行って思い知らせてやろうじゃないの!」
 名前なんて単なる偶然のわけだし、どちらが本物かクソかも無いと思うが、言い出したら聞かないハルヒのことである。SOS団を率いて桜蘭高校ホスト部への殴りこみとなったしだいである。
 ちなみにこれまでのところ出ては来てないけど、朝比奈さんも長門もちゃんと付いて来ている。

 ハルヒが開けた扉の向こうにいたのは、爽やかな営業スマイルの男子生徒たち。なんだか古泉がご団体さんでいるような感じで近寄りたくない空気である。そのうち何人かがハルヒ、朝比奈さん、長門の3人をエスコートしようとやってきたが、明らかに俺と古泉は邪魔者扱いである。いや、頼まれたってこんなところ来たくは無いんだが。
 そんな時間も長くは無く、エスコートしようとするホスト部員の手を振り払ってハルヒが言った。
「ここに藤岡ハルヒって子はいる?」
 ホスト部員たちは一斉にある一点に視線を向けた。そこには童顔のかわいらしい男子生徒がいた。
「オレがそうですが……」
「いきなりハルヒを指名か?」などと騒ぎ出すホスト部員たち。しかし、ハルヒの目は明らかに敵意に燃えていた。
「あなたがニセモノね」
「ニセモノ?」
 相手の少年は怪訝そうな表情をした。そりゃそうだろう。突然やってきたよその学校の生徒にニセモノ呼ばわりされたら、誰だって意味不明である。
「あたしが本物のハルヒ、涼宮ハルヒよっ! これからあたしたちSOS団と勝負して、あたしたちが勝ったらその名前、即刻、変えなさいっ!」
 おいおい、いくら同じ名前の人間がいるのが気に入らないからって、むりやり他人に名前を変えろってか。
「むりやりじゃないわ。あたしたちが勝負に勝ったらって言ってるでしょ!」
 どうせ言っても無駄だろうが、名前の問題なんておもいっきし個人的な話だと思うが、何で俺たちまで巻き込まれなくてはならないんだ? それに、勝負って何だ?
「ここはホスト部でしょ。ホスト勝負よ! 一定時間内にどちらが多くの女の子からの指名を受けるか、それでいいでしょ?」
 それは完全に敵のフィールドというやつでは。だいたいホスト勝負なんて誰が女の子を接待するんだ?

 俺の疑問などハルヒは聞かなかったように、いつものごとく勝手に話を進めてしまった。SOS団のメンバーが5人だからってホスト部も5人の互角で勝負しようと言い出した時点から負けが決まったようなものである。
 女の子を接待するホスト勝負、当然ながらホストとして機能するのは男だけだ。SOS団の男子部員は俺と古泉の2人だけ。対するホスト部は5人全員が男子である。これじゃ1人あたりの勝負が互角でも合計すれば2対5の大差である。
「まったく、何やってるのよ、キョン」
 まるで負け模様の原因は俺のようにハルヒは怒鳴ってくる。まぁ、その怒りは分からなくも無い。規定時間の約半分が過ぎたが、俺の指名数は0。つまり、勝負が始まってから俺はずっと退屈を持て余しているというわけだ。それに比べて古泉は持ち前の爽やかな笑顔ともの珍しさで女の子たちにアピールして、個人の指名数では良い勝負をしている。もっとも、俺に古泉と同じだけの指名数があっても大負けなのには変わりはないが。
「仕方が無いだろ。向こうは専門家、こっちはまったくの素人で、オマケに人数でさえ負けてるんだから。まともな勝負にしたかったら、逆にハンデでももらっとくものだろ」
 俺がそう言うと、ハルヒは不機嫌そうに口を尖らせた。
「人数ぐらい気合でカバーしなさいよ」
 無茶は言わんでくれ。
「向こうは男子だけで5人調達できることを忘れていましたね」
 ニヤニヤしながら古泉が言った。こいつは何が嬉しいのだか、絶対に笑顔を絶やそうとはしない。ある意味、ホスト部の連中と同じ種族では無いかと疑ってしまう。
「4人……」
 長門がポツリとつぶやいた。
「何か言ったか? 長門」
 俺は聞き返した。
「向こうの男子は4人。藤岡ハルヒは生物学的には女子」
 な、何だって? 藤岡ハルヒが女子ってことは、男装してホストやってるのか?
「ふふふ……」
 それを聞いたハルヒが目を輝かせ、笑みを浮かべていた。見てはいけないものを見てしまったようだ。何か悪い予感がするのだが……
「後半はあたしたちも出るわよ、みくるちゃん!」
 そう言ってハルヒは朝比奈さんを引っ張ると、持ち前の行動力と強引さで、即座に男子の制服を調達してきた。
「さあ、これに着替えて!」
 さっそく朝比奈さんに男装させようとしているハルヒ。必死で抵抗しようとする朝比奈さんだが強引に更衣室に引っ張られ、ハルヒの思いのままに着せられてるのはいつものことである。ところが……
「キョンくん、見ないでください……」
 恥ずかしそうにうつむいてる朝比奈さんは確かに男子の制服を着てはいたのだが、その姿は男装というには程遠いものだった。ナイスバディの朝比奈さんを男装させようなんて考えがそもそも間違いだったのだ。隠し切れない胸のふくらみはかえってエロさ満点である。
 ごめんなさい、朝比奈さん。この光景は目に焼け付いて消えません。
「仕方が無いわね……」
 さすがにハルヒも朝比奈さんを男装させることは諦めたみたいだ。
「代わりに有希が着なさい!」
 今度は長門を引き込んで更衣室にこもった。
「さあ、準備はOKよ!」
 更衣室から出てきた長門とハルヒは、それは見事なまでの男装だった。
「おお」
 敵であるホスト部の連中も驚いているようだった。

 後半戦。俺と古泉に加えて男装したハルヒと長門を加え4人になった我がSOS団ホストであるが、ハルヒの作戦は功を奏してみるみる指名数を上げていった。古泉の指名数は前半よりややペースが落ちたものの高水準をキープ。後半参加のハルヒと長門は謎の美少年という触れ込みで、どんどん女の子たちの関心を引いていた。とくに長門の人気は異様と言えるほどだった。
 男装したと言ってもいつもの無口な態度が変わったわけではない。情報思念体の生体端末に営業スマイルがどうこう言ったって無駄だろうが、その愛想のなさがかえってミステリアスさが感じられて良いとは、人間の感覚も様々である。
 ああ、一つ言い忘れていたが、前半に引き続き指名数において俺がまったく貢献してないことは言うまでもない。
 しかし、いくら俺以外のホスト3人が指名数を稼いでいると言っても合計すればホスト部の5人と互角程度。おまけに前半の借金は膨大なものがある。このままでは負けは確実だと思った俺は、ふと長門と目を合わせてしまった。
 意味もなくうなずく長門。いや、俺の意図を察知したとでも言うのか、いきなり呪文を唱え始めた。おいおい、こんなとこで力を使うのかと思った俺だが、このままホスト勝負で負けてしまったらハルヒがどんなことしてしまうか心配なのは確かだ。ここは長門に任せるしかない。
 長門が呪文を唱えた途端、第3音楽室に足を踏み入れた女の子たちはすべてSOS団の方にやってくるようになった。誰一人例外もなく。おかしい、明らかにおかしいとホスト部の連中は疑ってるはずだが、目に見える妨害工作をしているわけでもないのでクレームはつけられない。
 こうして来る女の子来る女の子を3人だけで接待できるわけでもなく、オマケながら俺にも何回か指名が来た。ホストの体験がどうだったかというのはここに書いてるスペースも無いが、とにかく疲れる仕事だったのは確かである。
 こうして、時間いっぱいギリギリでSOS団の指名数は呪文前のホスト部の指名数を上回った。いや、上回ったはずだった。

「引き分け? それどういうことよ!」
 結果を聞いたハルヒは不服そうだった。
「ちょっと、キョン。あんた計算間違いしたわけじゃないでしょうね!」
 ハルヒの怒りは俺の方にも向かってきそうな気配である。しかし、計算に間違いはなかったはずだ。長門が呪文を唱えた時点での双方の指名数は何度も確認してるし、それ以降、入ってきた女の子はみんなSOS団を指名している。ホスト部の指名数が増えてるはずは無い……
「ご、ごめんなさい。私が悪いんです……」
 いきなり謝って来たのは朝比奈さんだった。
「私がホスト部に協力してしまったのが悪いんです……」
 ひたすら申し訳なさそうに頭を下げる朝比奈さん。そのままでは話がよくわからないので、とにかく謝るのをやめさせて事情を聞いた。概ね、次のような話だったらしい。
 ホスト部に指名が来なくなり、もうすぐタイムオーバーってときに、暇そうにしていた朝比奈さんに同じく対決には参加して無いホスト部の副部長がお茶を飲まないかと誘ってきたらしい。対決ももうすぐ終わりだし断るのもどうかと思った朝比奈さんは軽くOKしてしまったが、そのままホスト部のエリアに連れられた朝比奈さんは、誰とお茶を飲みたいか5人のメンバーから選べと聞かれたらしい。それでつい選んでしまったのがホストの指名にカウントされてしまったってことだ。
「そ、それって、インチキよっ!」
 ハルヒは敢然と抗議に行こうと立ち上がったが、俺はそれを押し留めた。
「何よ、キョン。あんたもホスト部の味方をするわけ?」
 納得いかないように睨み付けるハルヒ。
「ちょっと落ち着け」
 それから俺は朝比奈さんに向き直って訊ねた。
「ひとつ聞きますが、ホスト部は先輩の指名通りの人がちゃんと一緒にお茶を飲んでくれたんですか?」
 朝比奈さんはこくりとうなずいた。ホスト部のメンバーに1人、とても高校生とは思えない幼くてかわいい感じの男の子がいたのだが、朝比奈さんが指名すると彼がやってきて世間話をしながら一緒にお茶を飲んでくれたという・
「ホスト部はちゃんと接待してるってことだ。カウントは仕方ないな」
 俺はハルヒがそれを認めるように、そう言い聞かせた。カウントを認めても引き分けだ。負けたわけじゃないんだからハルヒのプライドも傷付かないだろ。それに、下手に勝って、藤岡ハルヒの名前を変えさせるってことになったら、そっちの方が大変だ。
「そうですね。ここは引き分けで良いじゃありませんか。涼宮さんの素晴らしさはホスト部のみなさんも身に沁みてわかったことでしょうし」
 古泉もそう言って俺に同意した。
「有希はどうなのよ? わざわざ男装してまで頑張ったのよ。引き分けなんて悔しくないの?」
 いや、無理やり男装させたのはおまえだろ。
「私は引き分けでいい」
 長門はポツリと答えた。
「そういうことだ。おまえも引き分けで我慢しろ、ハルヒ」
 まだ何か納得いかない様子のハルヒだったが、思い直したように口を開いた。
「仕方ないわね。今日のところは藤岡ハルヒが女だったことに免じて引き分けで我慢するわ。男なら絶対に許さないところだったんだから……」
 何はともあれ、ハルヒの許容範囲が多少は広がったみたいで、それはめでたいことである。もっとも、藤岡ハルヒの正体なんて例の感想率調査の『桜蘭高校ホスト部』のコメントを見ればわかってたはずなんだが、それを指摘したらハルヒの機嫌を損ねることは目に見えていたから、このことはずっと黙っておくことにしよう。

(了)

 あっ、こんなの書いてる暇があったらアニメを見なきゃ……
 これのホスト部から見たバージョンがあればおもしろいかも……

涼宮ハルヒの憂鬱 朝比奈ミクルの冒険 Episode00(限定版) KABA-1501
涼宮ハルヒの憂鬱 朝比奈ミクルの冒険 Episode00(限定版) KABA-1501

桜蘭高校ホスト部(1) VPBY-12614
桜蘭高校ホスト部(1) VPBY-12614

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