山の案内 歩き日記
プレジデント2014/09/15「大前研一の日本のカラクリ」から 昨年6月の閣議で、水素で走る燃料電池自動車(ECV)の普及を世界最速で目指すことと、2030年には、水素発電所の実用化を目指すことが決定された。 日本再興戦略2014でEVC購入者に一台あたり200~300万円の補助支援策も決まった。 ◆水素は、クリーンで安価なエネルギーか 水素を燃やすだけなら、温室効果ガスCO2は、排出しないのでクリーンエネルギーである。しかし、水素は、自然界に存在しないので、人為的に作り出すしかない。その生産過程で大量のCO2が発生する。 原発が稼働していた頃、KW(キロワットアワー)10円以下の夜間電力を使い、水を分解し水素を生成しようとしていた。 水素自動車は、KW10円以下であれば、ガソリン車に対抗できる燃料費である。原発がとまり、安価な夜間電力が使えなくなったら、電気分解した水素など必要なくなる。 KW10円以下の電力で分解し生成した、水素でないと、ガソリン車に対抗できないのである。火力は15円~20円、太陽光など再生可能エネルギーは30円から40円と跳ね上がる。 水素生成は、メタンと水を高温・高圧で反応させる方法など、いろいろあるが、どの方法も大量のCO2が発生する。中東の産油国から、輸入する方法もあるが、いずれも水素を生成するときに、大量のCO2を排出する。 ◆水素は安全なエネルギーか 水素を安定的に貯蔵し、運搬する技術は、未だ未立証の世界である。水素は接触した、金属を脆化させるという、悩ましい問題がある。 また、水素の爆発力は、ガソリンやLNGに勝るとも劣らない。 やっかいなことに水素は、無味無臭なため、水素が漏れ出したことに、気づかず、タバコに火を付けた瞬間、大爆発となる可能性もある。 水素そのもを分散して、車のような移動体に搭載するのは、危険が多すぎる。 やるのであれば、分散型でなく、集中型にして、水素発電で電気を作り、電気の形で電気自動車などに、電気を供給していく。 水素を社会インフラにするためには、狭い範囲での実験を10年、次に地域を広げて10年、さらに実用化に10年くらいのステップを踏む必要があるだろう。 補助金をつけ水素ステーションを全国にばらまく、FCVを世界最速で普及させるなど、フライングもいいところだ。成長戦略の中核に位置づけるアベノミクスの底が知れる。 |