maeken1's journal

サッカー好きの青年、maeken1の気まぐれ日記

小説いろいろ

2015年01月12日 17時29分53秒 | よむ・きく・みる

読んだ本の整理、その2。柴崎友香著「春の庭」

いつもながら、この人の物語は難解だけれど、今回の隣人の女と
太郎の冒険は清々しく、面白かった。さすがの芥川賞受賞作品


「破門」黒川博行

ヤクザがVシネマの制作費用(出資金)を騙し取られた。ことを
発端に、二宮と桑原が詐欺師の小清水を追いかける途中で、本家
筋との衝突などで波乱の展開が巻き起こる。嶋田など懐のある
ものもいれば、小さい親分なども居たり、はたまた従姉妹の悠紀や
啓(二宮)ちゃんになつくオカメインコのマキ、桑原の舎弟の
セツオなど登場人物の性格、人間模様もなかなか面白い。

反省をするな、フォームを崩すな。とはギャンブルの格言。
思い惑うことが心理的なマイナスを増幅させて場の流れを読む
冷静さを削ぐ。などなど、僕らとは少し違う世界の様々な模様が
描かれている。その世界のスピード感はすごく早い。

段取り破門。折を見て復帰できるように口添えする、とかとか。
そんな無縁の世界...これも芥川賞受賞作品


同じく黒川博行著「文福茶釜」。欲に目が眩んだら目利きを誤る。

美術関連の偽物に関する小説、偽物をめぐる物語。
水墨画の相剥ぎとか、茶道具の由来伝承とか、ブロンズは複製が
前提とか、初出しという火事場泥棒とか、取材もろもろ詳細まで。

結局は、完全無欠の一点完成品を求める本もの、ということ


「芸人交換日記」鈴木おさむ著。
田中と甲本のイエローハーツの物語。

芸人は始める時もやめる時も自分次第。夢を諦めない。
「やろうと思った」と「やる」の間には大きな川が流れてる..
そして夢を諦めるのも才能。夢を諦めていい時は、その夢を
諦めてでも幸せにしたい人ができた時。とかとか


「バンクーバー朝日」テッド・Y・フルモト著

児島に監督を託された公明正大、正義心のある馬車松。
日本人だけの純血チームで少数精鋭。が故に、複数ポジションを
守らないといけないし、バント・盗塁など機動性が問われる。

移民の日本人は差別を受けて育ったため、日本に行ったことは
ないけれど、日本人らしさを大切にしながら育つ。またそれを
武士道を大切にする鏑木老人が見守る。

本居宣長の「敷島の大和心を人問わば朝日ににおう山桜花」から
朝日となったチーム。また野球の勝つための理論を知るハリーが
やってきて冷静に勝てるチームとなる朝日。

排日暴動で肩を痛めたミッキーは力で勝負することをやめた。
けれど戦うことをやめていない。力でかなわないならば、技で
勝負した。日本人らしく勝つ。それが朝日だった。

武士道。それが日本人の心。卑怯な振る舞いに卑怯な振る舞いで
復讐しない。ラフプレーにはフェアプレーで応じる。

ミッキーのあとに続くエース、テディは熱く、そしてジョーは
静かに胸に秘めた闘争心で投げ、戦う。ケンとジュンはセンスが
有り、テクニカルに戦い、トムは日本人らしいプレー。それは
意味もなくアウトにならないこと。アウトにならなければ永遠に
攻撃は続く。アウトになるのであれば、アウトになる代わりに
点を取るか、塁に出ているランナーを先に進めるためのアウト。
そこから出てくる結論はバントを基本とした攻撃。それが現代の
ブレインベースボール。そこに日本人の魂を持つ男たちが
ミッキーに優勝を、みんながそれぞれに勝利に向かってチームで
勝利を手にする。。。


向田邦子著「あ・うん」。

初太郎曰く2人は狛犬...
阿・呍の呼吸。夫婦は相和し、朋友は相信ず。

3人は猪鹿蝶のラジオ体操。2人の小競り合いをたみが取りなす。
門倉と仙吉は寝台戦友。仙吉とたみ、そして娘のさと子の愛の
あふれる家族。おとなは大事なことはひとこともしゃべらない。
そんなことを感じ育つさと子。偉丈夫の門倉の妻、君子も大切な
キャスト。。。

中川一政先生に題字を書いて欲しい、それが叶う向田邦子すごい!
(画像はアマゾンより)
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