石油の内外情報を読み解く

内外の石油・天然ガス関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。(元ジェトロリヤド事務所長 前田高行)

全社で業績回復基調:五大国際石油企業2016年7-9月期決算速報(2)  

2016年11月08日 | 海外石油企業(メジャー等)の動向

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0393OilMajor2016-3rdQtr.pdf

 

1. 五社の7-9月期業績比較(続き)

(2)損益

(表:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf 参照)

(図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-52.pdf参照)

(2-1)総合損益

 利益が5社の中で最も多いのはExxonMobilの27億ドルであり前年同期比では38%減である。これに次ぐのがTotalの20億ドルであり前年同期(11億ドル)を大幅に上回っている。前年同期の利益はShellが大幅な欠損(-74億ドル)、BPも0.5億ドルの利益にとどまっており、42億ドルの利益を計上したExxonMobilとの格差が大きかったが、今期はBP16億ドル、Shell14億ドル、Chevron13億ドルなど5社ともに10~20億ドルの利益を計上しており、各社間の格差はさほど大きくない。

 

(2-2)上流・下流部門別損益

(注、上記各社の総合利益には石油化学品部門あるいはその他の損益を含んでいるため上・下流部門の利益の合計額とは一致しない)

 利益を上流部門(石油・天然ガスの開発生産分野)と下流部門(石油精製および製品販売分野)で比較すると、ExxonMobilは上流・下流部門の利益がそれぞれ6億ドル、24億ドルであり下流部門の利益が上流部門の約4倍である。

 

 BPは上流部門の利益が12億ドル、下流部門のそれは10億ドルである。Totalは上流部門と下流部門の利益が共に9億ドルと同じであり、Chevronは上流部門、下流部門の利益がそれぞれ5億ドルと11億ドルである。これら4社がいずれも上下両部門で利益を確保しているのに対して、Shellは上流部門が7期連続で赤字(-4億ドル)であり、下流部門の利益が16億ドルと堅調に推移しているのに比べ対照的である。

 

 BPを除く4社は下流部門の利益が上流部門のそれを上回っており、下流部門が上流部門を支えている状況である。原油価格が高値で推移した数年前まで、国際石油企業は利益の大半を原油・天然ガスの生産(上流部門)で稼ぎ、精製、石油化学など(下流部門)の低収益を補うという構図であったが原油価格の大幅な下落により収益構造が逆転している。即ち上流部門の利益が急減する一方、精製、石油化学部門は原料の原油・天然ガス価格が急落したため利益の出る体質に変化したのである。

 

(3)売上高利益率 (図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-53.pdf参照)

 売上高利益率はTotalが5.2%と最も高く、ExxonMobilが4.5%で続いている。その他3社はそれぞれChevron 4.3%、BP3.4%、Shell2.2%である。前年同期の各社の利益率はExxonMobil 6.3%、Chevron5.9%、Total2.7%、BP0.1%であり、Shellのみがー10.7%と欠損状況であった。5社は好調時には10%台と言う高い利益率を誇っていたこともあるが、近年各社の利益率は低水準にとどまっている。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

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