チャウシエスク夫妻のお墓が新しくなったと言うニュースの新聞記事を握り締め、マドモワゼルのゲンチャ墓地、訪問記。とかくその墓地は広くたくさんの墓標が立ち並んでいるので、目的の場所を探すのが大変、この記事を持って行って指し示せば、道案内してもらうのも簡単。
もうひとつのお楽しみは、この記事に添えられた写真、お墓の脇に2匹のワンコたち。見つけて切り抜いてくれたマイダーリンも大笑い、「チャウシエスクのお墓の横に、ブカレストの野良犬が2匹もいる!これぞルーマニアだ!」、この子たちに出会うこと。
門をくぐったところで係員さんに訪問の目的を告げます、ここは多くの市民も埋葬されているところ。余り関係のなさそうなアジア人が入り込んでくると、怪しまれるかも。「日本から来ました。」と観光客を装って、お墓の場所を尋ねると、丸々と太った係員さん、軽々と立ち上がり「付いてきて。日本人もたくさん来るよ」と、お墓の場所まで道案内。到着して、墓標を見ると一目で夫妻の墓、「ここがニコラエ・チャウシエスクとエレナ夫人のお墓で・・・、etc、」と判りきったことを繰り返すので、1レウ札を渡してご退散願いました~。
前のお墓も得に大きなものでもなく、立派なものでもありませんでした。同じ場所なので敷地面積はそのまま。新しくなった墓標もシンプルなもの。
その辺りで記念撮影をしていると、おお!さっそく出会いました、チャウシエスクの墓とともに新聞に載ったワンコ。まだ小犬に近いです。
またいた、2匹目!まさにこの2匹。
細い通路を隔てたところで作業をしていた人が、「なぜ、犬の写真を撮っているの?」~「ほら見て、この子達、新聞に載った野良犬たちよ。」「ほんとだ、この子達だ。」
「もう一匹いるんだよ、黒いの。」、噂をするまでもなく、じきに現れました。
「チャウシエスクの墓を見に来たの?お墓の前で写真を撮ってあげようか?」
こんなとき、一瞬身構えなければならないのが、悲しいかな、ルーマニア。またはルーマニアに限らず、ヨーロッパの幾箇所の観光名所。カメラを手渡したとたん、掴んで逃げていく輩どももいます。
でも、この人たちはこの墓地内のチャペルにクリスマスの飾り付けをしている人たちのようです。3人いて、1人だけが脚立の上に上がって屋根の下に電飾を取り付けています。
「どこから来たの?中国人?」、決まりきまった質問。
「君、ルーマニア語を話すけど、ここに住んでいるの?いつから?何してるの?」
手持ち無沙汰の二人と四方山話。二人はタバコを次々ふかしながら。若い方の男の子はダニエル、おじさんはリカ。
そのうち、「きみ、タバコ吸う?どう?」~勧めてもらってもヌ・ムルツメスク(=No thank you)。
「え?吸わないの?一度も吸ったことないの?」~大きなお世話、「タバコは健康に悪いし、死をもたらすとパッケージにも書いてあるし。」
気を悪くされるかと思いきや、「寒いね。こんなとき、ワインがいいね。ワインはどう?」~仕事中のチャペルの前に、赤ワインの入ったペットボトル。半分ほど減っています。
「うん、寒い。こんなとき、ホットワインがいいけど。」
「ホットワインは無いよ、残念ながら。でも、寒いから飲んで温まろう。」
え~、仕事中でしょ~~。
「さっきから見ているけど、あの赤い服の人だけが仕事しているよ。あなたたち二人はずっと私と話している。」
「いいの、一人が仕事して、交代で次に仕事するの。三交代なの。」、そんなものかな~。
「えっと、グラスはあったかな?」~作業車の中から取り出してくれたのは、カップスープでも飲めそうなかなり大き目の発砲スチロール製。
「どこかその辺で見つけたやつだけど、洗ってあるから。これで良いよね。」と差し出してもらうと、ここで受け取ってにっこり笑ってしまうのが、ワタクシ、マドモワゼル。
気持ちが通じたのか、並々と8分目くらいまで注いでもらって、「Noroc(=乾杯)」「La Multi Ani(=おめでとう)」、この時期、挨拶の言葉は早々と「La Multi Ani(=新年おめでとう)」を使うことも多いです。
ワインを注いでもらうときには、手袋を取って素手でグラスを持っていたけれど、すぐに冷えてくるくらいの氷点下。赤ワインも天然で冷えています。一口飲めば、「田舎のワインね!100%ナチュラル!」~「そうだよ、これが美味しいんだ。店でボトルに詰められて売っているのとは、味が違うよ。」~「そうそう!美味しい、美味しい!」、ワインで意気投合だぁ~。
そのうち、脚立に上がっていたマリアンも下りてきて、ワインを一口二口。そして脚立を移動させて、また、電飾の取り付け。私には2杯目のワイン。
「
マリアンだけが、仕事熱心だけど。」~「いいの、いいの。僕達、チームだから。」
マリアンも、自分ひとりだけが働いている状況に何も言わずニコニコしながら仕事しています。
「次の用事があるから、そろそろ行かなくちゃ。」と言うところで、「まあまあ。」と3杯目のワイン。ここで断固お断りできないのが、まあ、なんと言うか、ワイン愛好家のワタクシ、マドモワゼル・・・。最寄の地下鉄駅まで歩くつもりだったけれど、市バスに乗れば時間短縮できるし。
「僕たち、もうすぐ終わるから、車近くまで送ってあげるよ。」と言うのだけは丁重にお断りして、最後のワインを飲み干すまで長居。
いつの間にか墓地のガードマンさんも合流していて、チャペルの中を見せてもらったり、墓地の中央にある大きな礼拝堂の中へも案内してもらいました。小さなチャペルの中には、66歳で亡くなった女性の写真が飾られていました、若く見えます。
大きな礼拝堂の中には、明日の埋葬を待つ人が3人。二人のおばあちゃんはそれぞれ1922年と23年生まれ。もう一人のおじいちゃんは1911年生まれ。長生きだった人たちのお顔はとてもきれいでちっとも怖くなかったです。
日本だと、亡くなった人が最後に葬られるまでひとりになることはないと思うけれど、この人たちは誰にも付き添われずに夜を越すのかしら?~「明日、また、家族が来るんだよ。」、そのような習慣のようです。ご冥福をお祈りして合掌。
結局勧められるままにワインを3杯も飲み干し、1時間以上も立ち話をして過ごした氷点下のゲンチャ墓地。3杯目にはいるころには身体もぬくもっていたし、ルーマニア人のおしゃべり好きにすっかり巻き込まれてしまいました。
電飾を取り付ける仕事も、マリアンがほぼ完成させていたし。記事中の写真、掲載順にご注目。最初声をかけられたとき、チャペルに向かって右側の屋根に取り付けていました。そこから正面をぐるりと回りこみ、最後には左側に脚立を移動。すべてマリアン一人でやっていました。何か足りない用具をとりに降りてきて、車から探し出すのも彼でした。あとの二人はずっとしゃべっていたけど、これで良いらしい~~?
みんなとは「Craciun Fericit!(クリスマス、おめでとう)」「La Multi Ani!(=おめでとう)」と言ってわかれ、昼間からすっかりほろ酔い~♪
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