スシの暗黒狂

挫折した理系人の狂的科学空間

前回の記事の続き

2006-06-26 21:38:44 | 科学・技術・教育
前回の記事で『科学技術立国』はすでに崩れ始めていると書いたわけだが、引用した新聞記事の続きを見つけたので報告する。

以下、西日本新聞から引用~

2002年度と06年度に実施された入試(前期日程)を比較すると、計約2万人の募集に対する志願者は約6万4000人から約5万3000人に約17%減少。平均倍率は3.3倍から2.7倍になった。この間の18歳人口は約9%の減少で、少子化を上回る勢いで人気低下が進んでいる。

 同期間の倍率を比べても「1.9倍以下」の大学(学部)数は2から7、「2.2倍以下」は8から20に増えている。

 黒木学長は「初歩的な物理数学が分からない学生でも入学できるようになれば、授業レベルも低下する。2倍を切るような状況は危機的」と指摘。大学が能力で学生を選べるよう、入試改革の必要性を強調している。

 調査結果は今月の国立大学協会の総会で明らかにされ、各大学の学長からは「これでは優秀な学生が選べない」「理数教科を重点指導する『スーパーサイエンスハイスクール』を3倍にすべきだ」などの意見が出た。

=2006/06/24付 西日本新聞夕刊

黒木学長は学長だけあって現場をご存じないのかも知れないが、既に「初歩的な物理数学が分からない学生」も入学できるようになっている。
工学部に入学しているのに球の体積も求められない学生だっているのだ。
国立大ですらこうなのだがら、中堅以下の私立大学ではさらに悲惨な事になっているのは、推して知るべしである。
学長たちの意見も正直がっかりなものばかりだ。
『SSH』を3倍にしたところでたいした効果は望めない。やはり根本的な部分はここに書いてあるとおり、理・工系人材の「金融業などに比べて見劣りのしない処遇」、「処遇の大幅な改善」が必要であろう。

技術立国の足下は既に危うくなっています

2006-06-24 11:48:13 | 科学・技術・教育
やはりというかなんというか、直観的には感じていたことをきちんと調査しはっきりしたデータとして出されると何というかこう・・・
言葉にしにくいわけだが・・・

「技術立国」は大丈夫? 国立大で工学部離れ深刻

元ネタである信濃毎日新聞の記事はすぐに削除されると思うので、以下引用

begin{信毎の記事}
(06月24日10:53)
 全国の国立大入試で、工学部系の志願者数が2002年度から06年度にかけて大幅に減少、志願倍率が2倍を切る大学が増えるなど深刻な「工学部離れ」が進んでいることが、岐阜大の調査で24日分かった。
 調査した同大の黒木登志夫学長は「社会が物作りの担い手を多くは必要としなくなってきたことや、中高生の理数離れなどが背景」と分析。大学関係者は「将来の研究開発力低下につながりかねず、『技術立国』も難しくなる」と危機感を強めている。
 岐阜大は、各大学の工学部、システム工学部などを「工学系学部」と分類。全国87の国立大のうち58大学の志願状況を調査した。
end{信毎の記事}

もっと詳しいデータはまだWeb上で公開されていないようだが、以前から感じてきたことが、完全に具体的なデータになって現れたようだ。
学生やOBから「今の時代、理・工学部に進学した時点で『負け組』ですよ」と言う声が聞かれる有様である。
私や、素直さんが以前から主張している通り、理・工系人材の待遇を早く改善しなければ、ただでさえ18歳人口が減少していく一方であるのにますます理・工系志望の人間は減少して行くであろう。

いや、理・工系だけではない。
医師ですら、不足する時代が来るかもしれない。
すでにその兆候は(待遇の悪い)産科医や小児科医の不足という形で現れ始めている。
人間である以上、労多くして益少なしでは人が集まらなくなるのは当然の帰結である。
その辺りのことを、企業や官僚や政治の上の連中は解っているのだろうか?

村上ファンドって・・・

2006-06-21 20:36:01 | 政治・経済
すでにあちこちで言われているのであるが、私も言いたいので書く。

村上ファンド・・・
私は君を買いかぶっていたようだ。by ジャミトフ・ハイマン

既に報道されているとおり、日銀の福井総裁の1000万は2005年末時点で元利合計2473万円になっていたそうである。
私は最初にこのニュースを見たとき,
「6年間で2473万ねえ。平均年率いくらなんだろ?」
と計算してみた。
すると、たったの16%ちょい。
#非常に基礎的な等比数列の問題ですな。関数電卓があれば一発です。
た、たいしたことねーーー!!
村上ファンドといえば、これほど話題になり、最近じゃ悪の親玉みたいな言われ方をされたファンドである。
それがたったの16%!

普通これほど有名になった私募型ファンドなら、平均20%を超えているのが世界の常識である。
#「常識」とまでいうのは大げさではあるが・・・
平均16%なら普通の個人でもこのくらいのパフォーマンスをあげている人は何人もいるだろう。

それなのにまあ、与野党もマスコミも・・・

つくづく日本はまだまだ社会主義国家だと思う次第。

日銀の福井総裁について

2006-06-19 14:10:38 | 政治・経済
マスコミや野党が、日銀の福井総裁が「村上ファンド」に出資していた件についていろいろ批判しているようだ。ただ、私はそれらの批判に妙に違和感があって気持ち悪かった。が、ようやくその違和感の正体が見えてきたような気がする。

確かに福井総裁自身にも脇が甘かった点は否めない。総裁就任前は民間人だったのだから、どんなファンドに投資しようが、何処の株を買おうが自由である。しかし、中央銀行のトップに収まる時点で、中立性確保のため、少なくとも株やファンドは信託(ファンドが信託出来るかはちょっと解らないが・・・)しなければならなかったであろう。FRBや英国中央銀行でやっていることを福井氏が知らなかったはずがない。

その辺は批判されてもやむを得ない。

だが、マスコミ(全てではないが・・・)や野党ががよく使う「庶民が1000万円を銀行に預けても利子が年に数万円の時代に・・・」という批判は全く持って筋が違うと言わざるを得ない。
そもそも「庶民」と呼ばれる階層の人間が1000万円もの余裕資金を持っているか?
という問題があるが、まあこれは譲ろう。
だが、1000万円の余裕資金があるのならそもそも銀行の定期預金に預ける以外の資産運用がいくらでもあるはずだ。
例えば福井氏が村上ファンドに資金を拠出したとされる99年当時、松井証券は既にインターネット+格安手数料による株取引を開始していた。
仮にその当時、トヨタ自動車の株を1000万円分購入していれば現在(99年のどの時期かにもよるが1500万円前後にはなっていたはずである。
当時既に松井証券の名は知れ渡っていたし、松井でなくとも大手の証券会社ではインターネットによる株取引を始めていた。つまり、例え「庶民」であったとしても、それなりに知識さえあれば、公開されている情報のみで、手堅い運用は出来ていたはずだ。
ちょっとでも情報収集すれば誰でも気軽に、銀行の定期預金などよりもはるかに期待リターンの高い投資が出来たはずなのである。

要するに、勉強しなかっただけじゃん。
と言いたいのである。

それを棚に上げて、「庶民が1000万円を銀行に預けても利子が年に数万円の時代に・・・」という批判は明らかに筋が違うと思うのである。