調停準備32~妹~

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妹に途中から電話をした。

「あんな、今から行くわ。」

「そうなん、チビちゃんは一緒?」

「ちゃうよ一人。」

「そう、じゃ焼き鳥行こうや!」

「ほな一時間後!」

「ラジャ!」

キャディラックに乗っていてよかったと思うことはほとんどなかったが、
唯一こんな寒い日に遠出をするためには、
おおらかに良く走ってくれた。
誰の目から見ても私は普通のルックスをしているので、
信号待ちで他の車と並ぶたびに、
「ああきっとダンナが変わってるのね」
と思われたことだろう、
よく運転しているときに、他の車の人から覗き込まれたものだった。

いつもより飛ばして妹の家に向かう。
妹は瀟洒な住宅街の、こじゃれたワンルームに住んでいた。

「着いたよ!」

電話をすると、妹が出てきた。

「美味しい焼き鳥、行こう!」

その近くの焼き鳥屋に二人で入った。
若い頃、モラ母から逃げ出して一人暮らしをしていた私の元に
妹が転がり込んできたことがあった。
それから数年一緒に暮らした。
毎日のように、遊びに行ったり、飲みに行ったり、
旅行に行ったりした。
その頃のことを思い出して、二人はとてもわくわくした。

「あー、ねえちゃん、久しぶりやなぁ!」

妹が目を細めた。
こんなかわいい妹も、夫は嫌悪していた。
家にわざわざ来てくれたりしても、
歓迎するでもなく、
いかに自分が上かを誇示するかのように、
妹を押さえつけるように話し、
妹が帰ってからは、必ず妹の悪口を延々と話した。
電話がかかって来たら、それだけで、
「向こうでしゃべれ!」「切れ!」と怒鳴ったりしたので、
自然、疎遠になってしまっていた。

「ごめんなぁ。ダンナとうまくいってなくてなぁ。
・・・離婚するかもわからん。」

「そうなん。」

妹は黙り込んだ。

「でも、しゃあないんちゃうかな。」

「そうか、なんで?」

「だってあのダンナ、異常やん。」

「・・・・・。」

ずっと前から、いや、出会ったときから、
夫のことを異常だと言っている妹だった。

「そう思うか。異常って?
今までちゃんと話聞かんかったけど、教えてくれる?」

「うーん、まずさぁ、
私と初めて引き合わせしてもらった日あるやん。」

「うんうん。」

「あの日に、思い切り思ったけど、
非常識というかデリカシーないというか、頭おかしいというか。」

「うんうん。」

「あたしにさぁ、ねえちゃんが居ないとき、
俺はねえちゃんに騙された、蛇に睨まれたカエルや、とか、
俺ははっきり言ってサラリーマンで終わるタイプじゃない、とか、
で私変に思ったからさ、
ねえちゃんなら、
ご両親ともうまくやっていけるから安心ですねって言ったら、
「おう、それは俺が偉いからそういう人を選んだんや」
って自分の自慢に変えたから、
なんというか・・・
こんな短い時間で、相手をこんなに嫌な気持ちにさせるなんて、
ある意味天才やなと思った。」

「・・・て、言ってたよなあ。・・・」

「ねえちゃんが、結婚急いでたのわかるけど、
それやったらもっといい人いくらでも居たやん。
あの人とか、あの人とか・・・」

「もう、しゃあないやん。済んだことやし。」

頼んだ焼き鳥がしこたま届けられて、
私達は歓声を上げ、むしゃぶりついた。

「でもな、母子家庭大変やで。」

「そうやろな~」

「ツレが母子家庭多いけど、まあ、今とは全然違うと思うで。生活。」

「ええねん別に。ダンナとはもう我慢できないんだから、仕方ないよ。」

「うん、でも子供達も生活変わるから、
責任重大やでな。・・・夫婦仲悪いんも、経済的にしんどいのも、
なかなかどっちにしろ子供には迷惑な話やな。」

「うんうん。」

「別居して・・・じっくり考えてみたら?」

「別居したら変わると思うか?」

「よけ、酷くなるだけかも?」

「うんうん、そっか~じゃ仕方ないなぁ・・・」

「うん。仕方ないねん。もうさんざん我慢したんだもん。」

妹の手前、随分平気なフリをしていたが、
正直脱出するのは怖かった。
まだこの時点ではどこへ行くとも決まっていなかったし、
生活がどうなるのかも全く見えなかったし。
今だからこそ人に「どうにかなる」と言っているけれど
今までの生活を捨てるのが怖いのは、
特に主婦なら皆感じることだと思う。
けれど、
今の生活を捨てる恐怖より、
夫と居ることによる恐怖のほうが格段に上なのだから、
全くもって仕方が無い。

「まあ、ねえちゃんなら、なんとかなるか。
子供らも、たくましくなって、ええかも。」

「うんうん、そう思っておいてくれ。」

「この近くに、引っ越しておいでよ。」

「え?」

「私だってさ、手伝えるやん。子供ら病気になったりしたらさ。」

「ありがと。」

「ねえちゃんには、世話なったからな。
私できることなら、何でもするで。」

「・・・うん、ありがと。」

私は涙を抑えながら、
焼き鳥にむしゃぶりついた。

それから妹と、結婚以来初めてになる、カラオケに行った。
二人で片寄せあって暮らした頃は、
頻繁にカラオケボックスに行って、
歌いまくったものだった。
当時彼女はアルバイトの身で、
私はガンガン稼いでいたから、
全部経費は私持ちだったが、
その日は焼き鳥もカラオケもすべて、妹が出してくれた。

「これでも、普通のOL並みに稼いでるからな。」

照れながら妹は言った。
歌いまくったあとは二人で、
ケーキ屋さんに行って、

駅前のレンタルCDショップへ行き、
妹の借りたかったCDと私の借りたいCDを借りて、
MDへの録音大会をした。

気付くと、夜中の1時になっていた。

「ダンナには、連絡せんでええん。」

「ええよそんなん、怖くてできんわ。」

「そか、ダンナとこ、帰ってからが怖いな。」

「いや、シェルターに行ったこと思ったらマシ。
助かったよ、ありがとうね。」

「いえいえ全然。チビ連れてでも大丈夫やし。
いつでも来て。」

「・・・ありがと。」

「頑張ってな。」

妹に見送られて、妹の住む町を後にした。
子供達と、夫が眠る家にたどりつく前に、
激しい嘔吐に見舞われた。
脱出決意後の旅行と、正月の連休とで、
私の胃腸のコンディションはズタズタになっていた。

家に到着したのは2時半過ぎだった。

「・・・ただいま・・・」

夫は既に眠っていたようだ。
家は静まり返り、誰も居ないかのようだった。
よかった、先に寝てくれていて・・・

長い一日だった。

私は夫の眠るベッドに端からそっと滑り込んで、
4時間後には起きなければいけないので、
仮眠を取るかのように浅く眠った。

翌朝、もちろん夫は私を無視している。
けれど、無視されている状況の方が圧倒的に多いから、
特に改めて無視されてもどうってことはなかった。
昨日女性センターの人にアドバイスされたように、
今日も辛抱して、ちゃんと脱出先を見つけなきゃ、と思った。
早速夫の家から30分ぐらいに位置する便利そうな下町の、
物件を探しに不動産屋周りをした。
思ったより割安な物件が多くて安心した。

夫は、
その日の夜も真夜中に帰宅し、翌日も無視のまま過ぎた。
このまま、無視がずっと続けばいいのにと思っていた。
けれど、やはり私は甘かった。

妹の家に行った二日後、
早めに帰ってきて、夕飯を終えた夫が、
突然私の背中に向かって言った。

怒りを十分に貯めこんで、
今にも爆発しそうな火山が、
その前兆の燃えたぎる溶岩を垂れ流すかのように、
巨大地震の前触れの小さな余震かのように、
夫の声は低く太く、私の背中を襲った。

「謝罪も、弁解もないんか・・・?」


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コメント
 
 
 
妹さん (norisio)
2006-07-18 19:50:14
しっかりしてて優しいですね。お姉さんであるまっち~さんのことをよく理解されているような気がします。

酷い扱いを義兄にされ、まっち~さんからは話を聞いて貰えず、悔しい思いもあったろうなと察しますが、頼ってきたまっち~さんを当たり前のように受け入れて、本当に心優しい方だと思いました。大切になさってくださいね。そのつもりでしょうが。



夫婦仲とお金と、どっちも子供には不憫な思いをさせるかもしれないですが、夫婦仲が悪いくらいなら不憫で済むものも(と、言っても決してマシと言うわけではないですが)お母さんが心の病になって倒れてしまたら、一番の悲劇になると思うんです。

だから、それはまっち~さんが実感してると思いますが、お母さんが幸せそうなら、子供も幸せなんじゃないかと思います。だから、別れることに揺るがないで良かったと思いながら読みました。



それにしても、モラの沈黙はまっち~さんの外出(プラス妹さんと遭ってた事でしょうか)への怒りだったんですね。

どこまでも殿様感覚のようで・・・。お前だって外出してんじゃねーかよ、それでもまっち~さんだけが許可が必要だってのか?と、訊いてみたいですね。

食わせてやってるとか言うのかな?
 
 
 
分かります (シルク)
2006-07-18 20:43:37
あ~このいやな感じ分かります~・・・

元モラ彼と付き合ってた頃と、

まっち~さんの元モラ夫との結婚生活と

大分かぶります・・・



元モラ彼は『ねぇ、まだ分からないの?』

とかいきなり言い出します。

何のコトか聞いてみると、怒鳴りちらすし。

結局、ものすごい些細なコト。

なぜ、こんなコトにヤツらは全力を注ぐのか

サッパリ分かりまへ~~ん!!



今の彼は、助手席で私が寝てても、全然OKな人。

これがモラ彼だったら、大変です!

なぜか、慰謝料まで請求されたことがあります。

今考えると爆笑ものですがね~w
 
 
 
Unknown (モモ)
2006-07-18 20:54:01
妹さんは随分前から元旦那さんが普通でないと心の中で思っていたんですね。 



私の妹も以前から、私に「離婚しなよ! 一緒にいても全然いいことないよ。」と言っていました。 まっちーさんが涙を流さないように、焼き鳥を喉に押し込んでいった気持ちが手に取るように分かります。 暖かい、理解のある言葉を掛けられた時、どうしようもなく涙が出そうになるんですよね。。。。 



それにしても、よかった。 まっちーさんが離婚を決行してよかった。 だから今、幸せな生活をすることができるんですよね。 自分は真夜中まで帰ってこなくてもよくって(自分にはそれ相当な理由があって!?)、まっちーさんが妹さんのところに出かけていくことが、そんなにも怒りに触れるなんて、おかしいにもほどがあります。 まっちーさんが今幸せであることに、ホッとしています。  
 
 
 
Unknown (カヲル)
2006-07-18 23:28:54
パイレーツオブカリビアン、観に行きたいんですけどね。。。3個目がまだまだ乳飲み子なので、ちょいと難しいです。

DVDは勿論買います。



あんま関係ねいですが、ウンパルンパを数体購入してしまった私です。
 
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