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調停準備33~離婚届~

2006年07月19日 11時25分06秒 | 離婚調停
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「謝罪も弁解もないんか」

夫の声がリビングに響いた。
私は洗い物をしていたが、胸を打ち抜かれたようにその場に停止した。
しばらくして、もう一度、夫が、

「謝罪も弁解もないんか。」

と同じ低い声で言った。
ゆっくり振り返る。
夫が死人のような形相で、ソファに座っている。
背中からは炎が燃えているかのように、
夫の怒りのオーラがめらめらと伝わってきた。

私は息を吸い込んで、

「何のこと?おとといのこと?」

とようやく言った。

夫は黙っていた。
「そうだ」という、意思表示だった。

私にしてみれば、何を今頃と思った。
その翌日だって、朝も夜もあったのに。

「言うたやん、妹のところに行ってたって。
相談に乗ってたって。」

「おう」

「だから遅くなっただけ。」

謝罪って何?と言いかけて、辞めた。
毎日義父母の家に子供達を連れて行っている。
義姉とだって、友人並みに付き合っている。
義姉の真夜中の電話だって、早朝の電話だって、
突然の奇襲にだって、文句言ったことは一度もない。
海外在住の年下の義姉が帰国中に
「8時30分の電車に乗るから駅まで送って!」
と言ったときも、
まあそういう言い方をすることもあるかと、
ほいほい出かけていったものだった。
どうしてたまに妹に会いに行くぐらいで、
謝罪したり弁解したりしなければならないのか。

「俺が遅くなったら、鬼のように怒るくせにな!」

毎日遅いやん、と言いかけて辞めた。
別に、言ったところで、話し合ったところで、
私は彼とやっていくつもりはない。
離れると決めたのだから、議論しても仕方が無い。
夫にしてみればいじめ甲斐がなくなった妻に
苛立ちを覚えていたのだろうが、
私はゴミになる寸前の犬の噛み噛みするおもちゃではない。
人間だから、意思さえあれば出て行くことができる。

「ああ、謝った方がいいんかな、
妹と久しぶりに会ったぐらいで?」

「そやから、時間が時間やろがって、」

不動の夫だったが、突然に噴火した。
立ち上がり、拳を震わせていた。

「言うてるやろが~~~!!!
俺を舐めやがって、承知せんぞ~!!
どこの世界に2時や3時に帰ってくる嫁がおるんやあ~!!!」

大声だった。
建具のガラスがビリビリ言った。
今この時期に、夫とやりあうつもりはない。
けれど、理不尽極まりない主張に屈するのも癪だった。
どうせ出て行くんだから。

「いや、飲みに行ったりしてたんじゃないし。
相談に乗ってただけだよ。
疑ってるの?妹に電話する?」

私が怯えて謝らないから、
夫はどんどん激昂していった。

「お前、ホンマ話わからんやっちゃな!
頭おかしいんちゃうか、
耳聞こえとるんか、
・・・白痴か?」

お前のかあさんでべそと言い出しそうな勢いだった。
それほど激昂している夫を前に、私はいつになく冷静だった。
づかづかと私の目の前にやってきて、
夫は言った。

「時間が遅すぎる言うて、怒っとるんやないか!」

謝れば済んだのだろう。
ごめんなさい。この一言が欲しかったのだろう。
けれど、
どうして自分が謝らなければいけないのか、
わからない。

「遅かったけど、遠いから仕方ないし、
話が長引いたのだから、
そんなに怒らなくてもいいと思う。
あなたは両親や兄弟や親戚や友人、
いつでも会えるからいいけど、
私は滅多に会うこともできないから、
こんな時ぐらいいいと思ってる。」

頭の中で整理し話しながら、
自分を客観視する。
大丈夫か?ここまで言って大丈夫か?
いいじゃん別に、どうなっても。

「まだ認められへん、言うてるんやな
よっしゃわかった。
普通の奥さんが、2時3時まで外うろついとるわけやな?
お前はそれが普通やといいたいわけか?」

普通じゃないと言って欲しいんだろう。
私は、屈したくなかった。
その日に限って、強かった。
壊れていたのかもしれない。

「・・・だから、毎日でなくて、初めてのことだから。
ああ、話が長引いたんか、大変だったねって。
それでいいと思う。
謝罪言うけど、遅くなって、私、あなたに迷惑かけた?
それを言うなら、あなた、ずっと、
2時や3時は当たり前だったし
今まで何度、無断外泊した?」

「お前!!!」

怒りのあまり、夫はぷるぷる震えていたが、私は対照的に
ぼうっとしていた。
夫が続けた。

「それは責任転嫁って言うんやぞ!
俺は仕事やないか、仕事で遅くなるんと、
お前が妹とうちゃうちゃ長話するんと
同じにするな!
お前が長話するのにどこに生産性があるねん、
そんなん言うんやったら俺と同じ分だけ稼いでこい!
俺はすぐにでも会社やめるわ!」

出た・・・
と思った。

「そういう非現実的な話やめようよ。
わかったよ、私もう妹のところに行かないから。
それでいいでしょ。」

「そやから、悪いと思ってないんか?
お前はどこまで行っても、悪いことはないって言いたいわけか?」

「そんなに怒ると思っていなかったから、
そこまで気分が悪かったなら謝るけど?」

「そやから、俺はずっと気分悪かったから謝れ言うてるやないか!!!」

「御免。」

私は短く言った。

「はあ?」

「御免。」

もう一度言った。渋々言った。だってそう言わなければ終わりそうにもない。

「それが、謝っているつもりか???」

「謝れ、言うから、謝ったんだけど。」

「そんなもん、謝ってない!
ええ加減にせえよ、お前、
バカにしやがって、
バカにすんのもいい加減にせえよ、
ホンマ、
俺のこと何やと思ってるんや、
お前が傷ついた傷ついた言うから
お前と口利かないようにずっと気使って気使って
家でも頑張って、
会社でも頑張って、
旅行連れて行ってやって、
給料全部差し上げて、
なのにお前のその態度は何や?」

「・・・・・。」

「土下座して謝れ。」

「もうええよ。」

「なんやねん。」

「もうええから、離婚して。
私と離婚して。
もうたくさん。
もう、本当にたくさんやねん。」

「よっしゃわかった、
離婚したるわ。
お前、よう覚えとけよ、
お前が悪いんやぞ、
お前が悪いのに、
お前が離婚切り出したんやからな、
有責者側からの離婚やからな、
離婚届け持って来い!」

私は棚からすっと離婚届を持ち出して、
夫の前に置いた。
夫のペンと、朱肉と、実印も用意した。
(本当は、認印でいい。)
私は極めて事務的に、
夫の前に能面面して座っていた。

夫は殴り書きをした。
すらすら書いて、最後にとんっ!と捺印した。
私に差し出したので、
私は封筒に即座にしまい、
もとあった所と違うところに収納した。

夫の前に座る。

「妹の相談、言うたけど、
私、あなたのこと相談に行ったんよ。
相談、というより、
もう、あなたが帰ってくるのが怖くて怖くて、
怖くてたまらなくなって。
家にいてもたっても居られなくなったの。

私ね、
1ヶ月ぐらい前から
あなたがそばに居ると、そばに居る側がしびれるようになった。
帰ってくるのを知ったら、動悸がするようになった。
ドキドキするだけじゃなくて、
呼吸も苦しくなるようになった。
すごい焦燥感に動けなくもなった。

あなたが怖くてたまらない。
今こうして座っていても、
あなたのことがわからないから、怖い。
私を傷つけて、遠ざけて、疎んじて、無視して、
壁の絵のように扱われて、
それでもあなたが、私と一緒に暮らしている
理由がわからない。

私は、愛するためにここに嫁いできたし、
あなたにも愛されたかった。
愛されたかったから、ずっと頑張ってきた。
でも何をしてもダメだったし、
あなたは私を傷つけるばかりで、
優しくしてくれたことがなかった。」

乾いていた心なのに
どういうわけか涙が溢れてきた。

「私はあなたを優しく包んできた。
あなたにも、優しく包んでもらいたかった。
子供達も・・・」

「精神病者の独り言に付き合う気はない。」

夫の冷酷な声が私を遮る。

「子供らのこと考えたら、俺が出て行ってもいいけど、
それやったらお前意味ないやろうから、
どこか部屋探して出て行けや。

お前が仕事見つかるまで、ちゃんと生活費は入れたるから。
親権はどうせ、俺には勝ち目ないからなあ、
養育費はちゃんと払うさかい、
子供らにもちゃんと会わせてくれや。」

「うん。」

「紙切れ一枚言うけど、
あっけないもんやな。
俺が一生懸命守ってきたものって、
何やったんやろう。」

「お互いに求めるものが違ったから、
仕方ないよ。」

「お前が相手やなかったら、
うまくいってたと思うわ。
お前は異常に依存的やし、求めすぎる女や。
結婚して初めて気付いたけど、
後の祭りや。
騙された俺にも責任があるさかい、
しゃーない。」

私は夫の話を聞かなかった。

「妹は悪くないから。
私をかくまってくれただけだから。
昨日はご馳走になったし、
心配ばかりかけてるから。」

夫は私の話を聞かない。

「さんざん迷惑かけて、
最期は自分が悪いことして、
謝るどころか別れてくれやからな。
お前がどんなにむちゃくちゃか、
いつかさんざん後悔すると思うわ。」

「もう、
2年ぐらい前からこうだったじゃない。
離婚の話が出ては消えて、
いつかこうなるって、そういう風になってたんだよ。」

夫は、普段飲まない人だったが、
冷蔵庫からおもむろにもらい物の缶ビールを出してきて、
一気に飲んだ。

「いろいろ清算するものがあるやろうから、
また話し合おうや。もう、疲れたさかい、寝るわ。
そやけどお前、もう一度言うけど、
お前が悪いのに、
お前が切り出したんやからな。
それだけは覚えとけよ!!!」

いつもより、
数倍大きな音を立てて、夫は、
二階の寝室に上がっていった。
私は朝まで、
放心状態になって、
その部屋に座り込んでいた。
悲しくはない。
超えなければならない、試練である。
けれど、切なくて虚しくて、
すっからかんになった自分が居た。
とてつもない空虚感に襲われ、
動けない自分が居た。


のちに、
この日の離婚話は、
夫にとっては「夫婦喧嘩」であり、
離婚届については「おまもり」のつもりで書いたと聞かされる。
離婚について同意があったものとみなすと、
調停委員や弁護士が主張しても、
そんなつもりはありません、
あくまでも勢いだった意思表示で、
取り消しを強く要望します、
と主張し続けたのだった。


ともかく私の荷物と心の整理は
この日を境に急ピッチで進んでいった。
すぐに離婚届を出すかどうか迷ったが、
黙って出したら大事になると思ったから、
市役所に相談に行くことにした。

年が明けたばかりの騒動だったから、
この頃がちょうど成人の日の前後だったように思う。

脱出まであと2ヶ月、
私のカウントダウンは着々と始まっていた。



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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アンチモラ子)
2006-07-19 12:14:08
調停準備31の執筆をお願いいたします!!
びっくりしました (つぶ)
2006-07-19 12:28:42
あまりに自分の状況と似ているので驚いています。



私の夫も長い長い話し合いの末、「もうお終いだ。」「お前以外とだったら上手くやっていけるけど、お前とはやっていける訳がない。おまえはそんなだったら誰とだってやっていける訳ない。さようなら。」と言い、私に教会で書いた宣誓書を破けと言いました。そんなバカバカしいパフォーマンスはしたくありませんでしたが、仕方なく私ははさみで切りました。



翌週、離婚届の事、残りの荷物の事を連絡した時に初めて本気だと気付いたそうです。

宣誓書を破かせた事も、もう御終いだと言ったことも全て本気じゃなかったと言われました。そのうち帰ってくると思っていた、と(家出中だったので)。



もちろん唖然としたのですが、「あぁ、この期に及んで本気にしていなかったんだから、今まで私が精一杯訴え、懇願してきた事なんて、本気で聞いてくれていなかったんだな」と妙に納得してしまいました。悲しかったです。



彼らは言葉の重みを知らないのですね。

今までもひどい言葉を散々言われてきましたが、それらも彼らにしたら「本気じゃない」「たいしたことない」のです。



取り消せない言葉、絶対に言ってはいけない言葉、というものがあるという事を肝に銘じて生きていって欲しいです。





ああ、だからか… (すばるん)
2006-07-19 13:01:01
私の口癖は「ごめんなさい」です。

「ありがとう」も「ごめんなさい」

「すみません」も「ごめんなさい」

何かの許可を取る前に「ごめんなさい」

けんかしたらまず「ごめんなさい」





よく人から言われます。

口癖にするような言葉じゃないよ、って。

でも、どうしても出ちゃうんです。

何でだろうと思っていたけどモラ元夫のせいだ

誰が悪くても、どんな状態でも謝らないと

気がすまなかったあの男のせいなんだ。



今気づいた。
悲しいですね (凛子)
2006-07-19 13:56:17
はじめまして

話しても聞いてもらえない。言葉が通じない

何度行っても聞き入れてもらえない

言葉は、モラ夫の横を素通りしてしまう。

何度も、何度も、何度も

めげずに何度も訴えて・・・・

あきらめる。

哀しいですね。
すごい迫力 (noramogu)
2006-07-19 14:09:06
今現在は幸せにされているとしっていても、モラハラ被害者ではない私が、息苦しくなってくるほどです。とても現在形では読めません(というより書けないか・・・)
思い出しました (にゃりんた)
2006-07-19 14:27:49
「そんなに怒ると思っていなかった」

私もよくそう思っていたし、そういう風に言っていました。

思いもよらないことを取り上げて怒られていたし、機嫌が悪くなっていたので、最初の頃は本当に驚くばかりでした・・・。

いや、しかしまっち~さんが反撃しているのが凄く心地いいですね!不謹慎ながら、「いいぞいいぞ、やれやれ~っ!」って思ってます。
あのう・・・ (hanako【ココロ内離婚】)
2006-07-19 15:41:47
昨日調停だったんです。第二回目で、私は初めて出席したんです。

で、旦那が主張しているには「出て行け!とか、離婚してやらー!!って怒鳴ったのは本心で言ってない」と。

何でモラってこうも言動が同じなんやろ???

すごく悲しくなってきました。

旦那に出て行け!と怒鳴られて、「じゃ、出て行くわ」と言って出て行ける場所もなく(実家が遠かったから)、どんなに私は辛かったか・・・。

なのに調停員さんには、勢いで言ったことであって本心じゃないだって・・・。

私も何度「死ね!!消えてしまえ!!」と思ったことか・・・。

でも、思っても言わないのが普通だと思う。

だったら私が暴言を吐いたとして、それは「本心ではありません」と弁解すれば許されたんだろうか??

全く悲しい限りです。
はじめまして (sousou)
2006-07-19 16:16:43
はじめまして。

私も別居(シェルター)、保護命令、調停、裁判を経て判決離婚しました。

物の言い方、等々、ほんとによく似ています。



今でも、あのとき逃げ出したのは間違ってたかな?

などと、自分の決定に絶対的な自信が持てずに憂鬱になるときも多々ありますが、私も子どもも、あの時は限界をとうに超えてたんですよねぇ・・・



心の傷は見えない。どんなに血を流していても・・・

自分自身にも見えない。

こうして後遺症に悩まされて、ああ、ここもあそこもこんなに深い傷ができてる・・・と、今になって少しずつ気付く日々です。



初めまして (エコペン)
2006-07-19 16:45:16
以前から拝見させて頂いてます。友人夫婦の事が気がかりでモラハラについて調べていてたどり着いたんです。私自身機能不全家族で育ち、性虐待に遭い、「正常な家庭・夫婦」を知らずに大人になりました。こちらでお話しを伺う中で、私自身夫からモラハラを受けていた時期があったこと、また、夫は完全なモラハラじゃないってことなど確信することが出来ました。本当に分かりやすくて参考になりました。感謝します。



今までの私なら「どうして逃げないのか」とても不思議で信じられなかった。友人夫婦もとてもきわどい線にいると思っているので、一度ここを見てみるように薦めるつもりです。彼女が彼を許せる限界が私には分からないし、本人が決める事ですし。それにしても怖い日々を送られてきたんですね。こうやって過去を振り返ることが出来るようになるまで大変だったと思います。
すごい (norisio)
2006-07-19 17:00:40
すごいですね。よく、この旦那の勢いに負けずに、気持ちを冷静に伝えましたね。

自分の権利や出て行くという意識は、こうも言動を変えられるものなんですね。



しかし旦那、自分であんなに念を押した離婚の件をただの勢いって言うわけですね。じゃあ何の為に念を押す必要があったんだろうか。

まあ、勢いだったのだろうと思います。旦那にとっては好き勝手出来て好き勝手言える、最高に住み安い環境ですし、離婚したい理由は彼にはないだろうから。

けど、勢いでなんでも言ったりやったりをして良いわけじゃないことを知るべきですよね。

白痴とか、過剰な罵倒も勢いでしたで許されるものじゃない。言った事は簡単には取り消せないんです。

以後、男に二言はないと言う生き方に変えて欲しいものですね。

ってか、もう少し頭で理性的に考えて喋ることを勧めたい、コイツには。

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