今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

771 銀座(東京都)天井にカボチャ浮かべてとりあえず

2017-05-16 15:27:53 | 東京(区部)
頃はゴールデンウィーク、天気は上々。となれば「出かけようか」となるのは自然の流れで、やって来たのは東京銀座。オープンしたばかりの大型商業施設を見物がてら、久しぶりの銀座をぶらぶらしてみようというわけだ。4丁目角の地下鉄出口から湧き出て来る人の波は、引き寄せられるように6丁目へ向かって行く。そこに外国人観光客の大集団も合流して、一帯は多言語無国籍空間へと膨れ上がる。その渦に、私たちも巻き込まれる。



6丁目の松坂屋跡地に出現した「GINZA SIX」が、銀座の最新ホットスポットだ。5階まで広がる巨大な吹き抜けに白いカボチャが浮かんで、軽やかに演出された空間が心地よい。そのピンクの水玉模様を見れば、草間彌生ワールドだとすぐにわかる。これほどの既視感があっても十分に楽しませてくれるのだから、アートの力とは大したものだ。各フロアは通路が広く、島のように配置された専門店の品揃えも充実し、購買意欲をそそる。



とまあ褒めちぎってみたけれど、おやおやと思うことがないわけではない。まずは各フロアで客の流れを誘導するスタッフが、男女ともリクルートファッションのような黒の上下で走り回っているものだから、店内は学生で溢れる就職説明会のように暑苦しい。ピンクの水玉模様でデザインされたユニフォームで接客すれば、まるで違う雰囲気になるだろうに。そのうえ、一見華やかに見える内外装が、目が慣れると案外「薄い」のだ。



この施設の開発運営に、虎ノ門や六本木で巨大複合施設を手がけるビル会社が関わっていると知って、腑に落ちた。共通のニオイが漂っているのだ。それは「薄さ」だ。歳月しか創ることができない「重厚さ」は無理だとしても、一見、軽やかにも感じられる華やかさの向こうから、隠せない「薄さ」が滲み出る。ビルとして、おそらく効率はいいのだろう。虎ノ門でも六本木でも感じるそれが、とうとう銀座まで進出してきたのである。



街とは、イノベーションを繰り返す生き物だ。ローマだって街の上に街が築かれた。銀座のめまぐるしさはローマの比ではない。松坂屋銀座店の建物が、開店以来同じビルだったのかどうか知らないけれど、閉店まで90年間営業されている。東急プラザに建て替った数寄屋橋の東芝ビルは約80年。取り壊しが始まったソニービルは50年だ。「幕府の銀座」が赤煉瓦時代を経てビル街となり、そのビルもクルクル建て替えられているわけだ。



だから目下のホットスポットも、100年を俟たず姿を消すことを前提に、その間に限りなく利潤を産み出すよう綿密に計算されているはずだ。つまり「薄さ」には理由があるということになるが、そんな街づくりに浸食されて、東京がしだいに薄まって行くのではないかと心配になる。銀座の場合、4丁目角の和光ビルが重しになってその危惧を「薄めて」いるのは心強いけれども、ローマのように1000年後に残っているものはあるか?



脱百貨店がコンセプトだという「GINZA SIX」の、どこが「脱」なのかわからない。だがデパート業界の凋落は止まらず、大型スーパーも飽きられ、今やコンビニがデパートを買収する時代だ。これからの流通業界はどうなって行くのだろう、などと余計なことを考えながら屋上に昇る。「銀座最大の高級モール出現」と囃し立てられる「GINZA SIX」だけれど、案外にチマチマとまとまって、例えれば未熟な「盆栽」のようである。(2017.4.30)

(G SIXで唯一買ったスノーボール。Amsterdamで企画され、Chinaで製造され、銀座で売っている)













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