今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

681 水窪(静岡県)山肌がパッと開けて街ありき

2016-03-01 08:17:53 | 静岡・山梨
飯田線に乗ってみたいと思っていた。愛知県豊橋市から静岡県の山中をかすめ、長野県飯田市を経て辰野町までを結ぶ、総延長195.7キロの長いローカル線だ。そのルートが、中央構造線にほぼ沿っていることが関心の元だった。日本列島の西半分を縦断している大断層の、最も山深いあたりはどんな風景が続くのだろうかと、興味を持ってもう久しい。水窪(みさくぼ)はそのルートの中ほどの、長野県境に接する遠州最北の街である。 . . . 本文を読む
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680 浜松(静岡県)ものづくり粗々しくも野面積み

2016-02-29 08:30:11 | 静岡・山梨
この荒々しい石垣は、浜松城の天守台である。無闇と積み上げただけのように見えるものの、「野面積み」という理に適った工法なのだそうだ。400年の風雪に耐えてなお緩みはなく、加工痕のない自然石を積み上げた姿は粗っぽいけれどむしろ美しい。私は訪ねた街に城跡があれば、なるべく見に行くようにしているけれど、城マニアというほどの熱心さはない。ただ20年前に見たこの石垣は、もう一度ゆっくり眺めたいと思っていた。 . . . 本文を読む
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679 二俣(静岡県)山中に鎮まりて好し白い雲

2016-02-28 06:46:20 | 静岡・山梨
日差しがあるとはいえ、風は冷たい。山あいの小さな街の駅前。女性たちが黙々と花壇の手入れを続けている。最も彩の乏しい季節だからこそ、わずかな花も愛おしいと、枯葉をそっと取り除く。山里と街をつなぐ天竜浜名湖線・天竜二俣駅の駅前広場だ。「ようこそ天竜市へ 天竜花の会」の看板が立つが「天竜市」はもうない。合併して浜松市になったのだ。しかし女性たちにそんなことはどうでもいい。わが街を美しくとの想いが勝る。 . . . 本文を読む
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678 掛川(静岡県)茶畑を走り回るは石松か

2016-02-27 12:08:31 | 静岡・山梨
「今日は、掛川にいます」というのは、いくらなんでも横着が過ぎると自分でも思う。何しろ掛川滞在は、東海道線から天竜浜名湖線に乗り継ぐ40分間ほどに過ぎず、ただ駅前通りをうろついただけなのだから。掛川から北西へ45分の二俣が本日の目的地。ここでは掛川から二俣までの沿線の記憶を綴ることにする。冒頭写真に抜擢したのは、そのエリアの中ほどに位置する遠州森駅だ。まだこんな懐かしい風景を残す街があるのだ。 . . . 本文を読む
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677 静岡(静岡県)せっかくの綺麗な街も人口減

2016-02-25 17:15:02 | 静岡・山梨
私が静岡市で2年間の単身赴任生活を始めたのは1994年4月だった。日本経済はバブルがはじけて3年ほど経っていたものの、それから今に至るまで、長期のデフレに苦しむとはまだ誰も思わない、繁栄の余韻が微かに燻っているころだった。それから20年、久しぶりに懐かしい街を歩いた。すぐに感じたことは「きれいになった!」だった。この街に「失われた20年」の影響はなかったのだろうか、再開発が着々と進められたようだ。 . . . 本文を読む
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676 登呂(静岡県)登呂人は富士を眺めて何想う

2016-02-24 11:39:59 | 静岡・山梨
復元された竪穴式住居の前で、古代の火おこし体験会が開かれている。参加者は1家族だけだが、博物館員の指導を受けながら、顔を紅潮させて「はずみ車」を回転させているお母さんは真剣だ。コートを脱いで本気で取り組んでいるのだが、摩擦熱による着火は一向に成功しない。しっかり体得したのは古代人の苦労と器用さのようだ。静岡市南部の登呂遺跡。住宅地の向こうに銀嶺が聳えている。登呂人も富士山を眺めていたわけか。 . . . 本文を読む
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494 甲府(山梨県)信玄とミレーが睨み種を蒔く

2013-03-03 16:31:53 | 静岡・山梨
「ムムッ」と声に出たかは定かでないが、気分はそんなところだった。私は腕を組んで、ミレーの『種をまく人』と向き合っている。傍目には睨み合っているように見えたかもしれないけれど、実際のところ私は「ひれ伏して」いたのである。種を蒔く若い農夫の、力強く踏み出した右脚の逞しさ! そこを浮かび上がらせるブルーの絵の具の輝き! 生きることの切なさと神々しさを描き切っている。甲府までやって来た甲斐があった。 . . . 本文を読む
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492 都留(山梨県)山峡に大学が建ち50余年

2013-01-20 23:09:46 | 静岡・山梨
富士急行・谷村町駅の近くに「行く駒の麦に慰むやどりかな」の句碑があった。1685年、芭蕉が《野ざらし紀行》の旅の帰途に都留に立ち寄った折りの句で、句碑の隣りに「かつて世話になった谷村藩家老に礼を述べるための来峡だった」と解説してある。この数行で、今は都留市の中核となっている地域に、かつて谷村藩という城下があったことと、来峡という表現に、土地の人がこの山あいの里を《峡谷》と認識していると知れる。 . . . 本文を読む
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491 富士吉田(山梨県)一文字に口を結んで甲州富士

2013-01-20 16:56:19 | 静岡・山梨
地図で「富士吉田駅」を探すのだが、いっこうに見つからない。それもそのはずで、2011年に「富士山駅」と改称されていたのだ。どういう狙いからかは知らないけれど、JRであれ私鉄であれ、駅名は街の名刺のようなものだから、安易に変更しない方がいい。ましてや「富士山」では余りに漠然として、街のイメージが結びにくく、「富士吉田」から漂って来る富士講に参じた人々の情念というものが、匂い立って来ないではないか。 . . . 本文を読む
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435 熱海(静岡県)梅園と光琳の梅ともに愛で

2012-03-06 15:47:51 | 静岡・山梨
梅を愛でに熱海に出かけることにした。もちろん熱海梅園にも立ち寄るつもりだけれど、目指す《梅》は尾形光琳の「紅白梅図」である。この国宝屏風を所蔵するMOA美術館が、毎年この時期に限って短期間、公開するのだ。私にとってはほぼ15年ぶりの対面なのだが、かつて鑑賞したとき以上に光琳の技量に感嘆させられ、心ゆくまで梅を愛でることができた。美術から受ける感銘は、どうやら年齢とともに変化するもののようである。 . . . 本文を読む
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410 大月(山梨県)岩山に眺める月の大きさよ

2011-12-12 22:42:18 | 静岡・山梨
大月とは、大槻のことであろう。欅のことを古くは槻といったようで、大きく枝を広げる4本のケヤキがあったのだと大月市中の三島社にその伝承が残っている。近江の湖北にも、観音で名高い高月という土地があり、その地名も高く大きな槻の木から来ていると聞いた。近江と甲斐は「槻」を「月」に換えたわけだが、大阪の高槻の場合、由来は「月」なのだが「槻」の字を当てたのだとか。地名の変転をたどることはまことに難しい。 . . . 本文を読む
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409 猿橋(山梨県)紅葉に猿が支える姿映え

2011-12-10 23:28:56 | 静岡・山梨
サルが身体を支え合って対岸まで連なり、川を渡る姿にヒントを得たといわれる珍しい構造の橋があることは聞いていた。しかし日本三奇橋の一つだというその猿橋が、電車に乗れば1時間ほどで着く山梨県の大月市にあるのだとはトンと気が付かなかった。紅葉見物をかねて出かけてみることにする。ちなみに日本三奇橋とは、「岩国の錦帯橋」を筆頭に「甲斐の猿橋」「木曽の桟(かけはし)」を指すらしい。いずれも私は渡ったことがない。 . . . 本文を読む
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382 城ヶ崎(静岡県)吊り橋の崖の底では渦が巻き

2011-09-27 13:43:35 | 静岡・山梨
海を眺める若者の腰の据わりが悪い。こわごわと覗き込んでいる様子なのである。もう一人は顔を出すのも恐ろしいとばかり、しっかり握った手すりから離れようともしない。伊豆半島東海岸の中ほど、相模灘に張り出したここは伊東市城ヶ崎海岸の門脇崎だ。崖の高さは20㍍ほどらしいから、それほど怖がることはないと思うのだが、半島先端の石廊崎や、西海岸の黄金崎に匹敵する荒々しい海岸線だ。深く澄んだ蒼い海も凄みがある。 . . . 本文を読む
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380 東伊豆(静岡県)朝日受け露天に浸かる贅沢よ

2011-09-20 16:50:44 | 静岡・山梨
伊豆の観光が斜陽だと指摘されて、どのくらいになるだろう。日本経済のバブル崩壊に先行して、客足が急速に落ちて行ったのではなかったか。それは伊豆に留まらず、多くの温泉地共通の現象だったが、伊豆の凋落が目立ったのは、首都圏の奥座敷的立地へのおごりからか、海外に行くより高くつくという業者の際限ない欲が客離れを誘発したからであろう。善かれ悪しかれ伊豆は、日本人の余暇嗜好を映し出す鏡のような行楽地である。 . . . 本文を読む
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379 大瀬崎(静岡県)海の中泳ぐ鯉群れ神の池

2011-09-16 19:07:44 | 静岡・山梨
私は2年間、静岡で暮らしたことがある。豊かな自然と歴史に恵まれた土地だから、ずいぶんとあちらこちらに出かけたものだった。しかしもちろん、くまなく歩けたわけではなく、心残りの場所もたくさんある。伊豆半島の付け根付近の《大瀬崎》もその一つだ。海に細々と延びた瀬であるにも関わらず、その内にある池は淡水なのだという。息子たちが招待してくれた伊豆旅行で「行ってみたい」と言うと、即座に車はその方向を目指した。 . . . 本文を読む
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