注目の東京都知事選挙が終わりました。結果は、元厚生労働相の舛添要一候補が、前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児候補、元首相の細川護熙候補、元航空幕僚長の田母神俊雄候補を破って初当選しました。主要な4候補者の得票数は以下の通りです。
舛添要一 211万2千票
宇都宮健児 98万2千票
細川護熙 95万6千票
田母神俊雄 61万8千票
ここに見られる特徴と注目点を簡単に言えば、第1に、当初の予想通り、舛添さんが200万票を超えて当選したこと、第2に、それに次ぐ得票を宇都宮さんが獲得して2位になったこと、第3に、反原発候補の得票合計は舛添さんに及ばなかったものの肉薄しており、宇都宮さんに「一本化」していれば結果は微妙だったかもしれないこと、第4に、最も安倍首相の立場と信念に近いと見られていた田母神さんは惨敗していることなどです。
なぜ脱原発候補の二人は「一本化」という事が出来なかったのかと考えると、細川・小泉両元首相の知名度と影響力に対する過大評価があったからではないでしょうか。知名度の低かった宇都宮さんでは勝てないと思ったのかもしれません。結果的に脱原発候補の票は2分されどちらも1位の舛添さんの得票数に及ぶことはなく敗れたのです。
もう一つ注目されることは田母神氏が61万票獲得したという事です。特に20代の強い支持を得ていたようです。「自虐史観の見直し」を提唱し、候補者の中でも最も安倍政権の路線に沿っていた田母神氏が、これほど得票した背景は何だったのでしょう。新聞社の出口調査によると、年齢別の支持率で田母神氏支持が最も高かったのは20代で24%に上ったそうです。これは当選した舛添氏(34,7%)に次ぐ支持率だったのです。
田母神氏は物議を醸す発言で知られています。例えば、自衛隊イラク派遣の違憲訴訟で「航空自衛隊の活動の一部は違憲」について、現地隊員への影響を聞かれると「そんなの関係ねえと」言ったり、「日本は侵略戦争をしていない」と主張し政府見解と異なるとして幕僚長を更迭されました。最近はツイッターで、福島県による県外避難者支援の打ち切りについて「人の支援を得て避難することが当然と言う風潮はおかしい。甘えるな」と発言したことなどです。
「戦後歴史教育は自虐史観」、「集団的自衛権の行使を認めよ」、「原発は再稼働すべきだ」、「特定秘密保護法は当然」と言う持論を展開する田母神氏は、安倍政権の方針に最も忠実に代弁しているように見えます。ジャーナリストの安田さんによると「田母神氏の支持者は、舛添氏を「新の保守ではない」と批判する声が多かった」と話しています。20代と言えば投票しない最も多い層なので、得票数は驚異的とも言える数字です。
この種の考えに共鳴する若者は参院選当時よりも増えており、若者の間には、今の日本は近隣諸国に弱腰で奪われるばかりという恐怖感があり、その裏返しで「強くなりたい」と熱望する気分があり、その代弁者が田母神氏だったのかもしれません。専修大の岡田教授は若者の投票行動について、「第一次世界田戦後のドイツや欧州のネオナチ勢力を見ても明らかのように、格差社会が広がると若年層が過激化し、排外主義に傾く」と分析しています。
例え感情的で荒唐無稽な主張であっても、田母神氏への支持は社会が若者の不満を吸収できていないことの表れとも言えます。生まれた時から不況で、韓国や中国のこけにされていると感じる若者に響くのが田母神氏の言葉だったのでしょう。それを右傾化だ劣化だと非難しても仕方ありません。経済格差に苦しむ若者をどうケアできるのか、それが課題です。
舛添要一 211万2千票
宇都宮健児 98万2千票
細川護熙 95万6千票
田母神俊雄 61万8千票
ここに見られる特徴と注目点を簡単に言えば、第1に、当初の予想通り、舛添さんが200万票を超えて当選したこと、第2に、それに次ぐ得票を宇都宮さんが獲得して2位になったこと、第3に、反原発候補の得票合計は舛添さんに及ばなかったものの肉薄しており、宇都宮さんに「一本化」していれば結果は微妙だったかもしれないこと、第4に、最も安倍首相の立場と信念に近いと見られていた田母神さんは惨敗していることなどです。
なぜ脱原発候補の二人は「一本化」という事が出来なかったのかと考えると、細川・小泉両元首相の知名度と影響力に対する過大評価があったからではないでしょうか。知名度の低かった宇都宮さんでは勝てないと思ったのかもしれません。結果的に脱原発候補の票は2分されどちらも1位の舛添さんの得票数に及ぶことはなく敗れたのです。
もう一つ注目されることは田母神氏が61万票獲得したという事です。特に20代の強い支持を得ていたようです。「自虐史観の見直し」を提唱し、候補者の中でも最も安倍政権の路線に沿っていた田母神氏が、これほど得票した背景は何だったのでしょう。新聞社の出口調査によると、年齢別の支持率で田母神氏支持が最も高かったのは20代で24%に上ったそうです。これは当選した舛添氏(34,7%)に次ぐ支持率だったのです。
田母神氏は物議を醸す発言で知られています。例えば、自衛隊イラク派遣の違憲訴訟で「航空自衛隊の活動の一部は違憲」について、現地隊員への影響を聞かれると「そんなの関係ねえと」言ったり、「日本は侵略戦争をしていない」と主張し政府見解と異なるとして幕僚長を更迭されました。最近はツイッターで、福島県による県外避難者支援の打ち切りについて「人の支援を得て避難することが当然と言う風潮はおかしい。甘えるな」と発言したことなどです。
「戦後歴史教育は自虐史観」、「集団的自衛権の行使を認めよ」、「原発は再稼働すべきだ」、「特定秘密保護法は当然」と言う持論を展開する田母神氏は、安倍政権の方針に最も忠実に代弁しているように見えます。ジャーナリストの安田さんによると「田母神氏の支持者は、舛添氏を「新の保守ではない」と批判する声が多かった」と話しています。20代と言えば投票しない最も多い層なので、得票数は驚異的とも言える数字です。
この種の考えに共鳴する若者は参院選当時よりも増えており、若者の間には、今の日本は近隣諸国に弱腰で奪われるばかりという恐怖感があり、その裏返しで「強くなりたい」と熱望する気分があり、その代弁者が田母神氏だったのかもしれません。専修大の岡田教授は若者の投票行動について、「第一次世界田戦後のドイツや欧州のネオナチ勢力を見ても明らかのように、格差社会が広がると若年層が過激化し、排外主義に傾く」と分析しています。
例え感情的で荒唐無稽な主張であっても、田母神氏への支持は社会が若者の不満を吸収できていないことの表れとも言えます。生まれた時から不況で、韓国や中国のこけにされていると感じる若者に響くのが田母神氏の言葉だったのでしょう。それを右傾化だ劣化だと非難しても仕方ありません。経済格差に苦しむ若者をどうケアできるのか、それが課題です。