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東アフリカ・マー系文化のヴァーチャル・ミュージアムのウェブログ

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ヴァーチャルであること

2007-04-18 | ヴァーチャル・ミュージアムについて
*このエッセイは、静岡県立大学の平成19年度授業「現代社会研究 6A」の受講生向けに書かれたものです。

 「ヴァーチャル」と聞くと、多くの人類学者はしかめっ面をするのではないでしょうか。人類学者に対してうかつにも「ヴァーチャル」などと口走ろうものなら、「インターネットやテレビゲームのようなヴァーチャルな世界に溺れるのではなく、現地に出かけてフィールドワークをしなければ本当のことはわからない」、と叱られるのがオチかも知れませんね。
 わたしはここでそうした人類学者のヴァーチャル嫌いを批判するつもりはありません。上記のような意味では、私自身そのようなヴァーチャル嫌いの人類学者のひとりかもしれません。しかし、それでは、人類学者が記す「民族誌」は、ほんとうにリアルなものなのでしょうか。実は、1980年代以降、人類学者が記す民族誌が、決して調査地の現実をそのまま写し取ったものではなく、ある意味で一種の創作、つまりヴァーチャルなものであることは、繰り返し論じられてきました。もし、そうした認識にたつならば、ヴァーチャルが嫌いだと言って、「ヴァーチャルであること」の今日的な意味を考えることまで放棄してしまうのは、少しもったいない気がします。ここで、少し自戒も込めて、「ヴァーチャルであること」をもう少し掘り下げて考えてみましょう。
 ここは、すべて絵空事かもしれない「ヴァーチャル・ミュージアム」です。しかし、あなたがもし、「本物の」博物館に出かけて、そこで何を目にするでしょうか。展示品の説明の下に小さく、「模造品」、「レプリカ」と書かれていた記憶はありませんか。模型やジオラマ、ビデオテークも含めて考えれば、まったく本物以外展示していない博物館がいったいどれだけあるでしょうか。つまり、「本物の」博物館や美術館にでかければ、「本物の」展示品に出会えるわけではありません。ならば、極論すれば、「本物の」博物館だって、ある意味で、「ヴァーチャル・ミュージアム」なのではないでしょうか。
 博物館を出て、町に出てみましょう。そこであなたは何を目にするでしょうか。マスコミの虚偽報道に、耐震偽装建築、粉飾決算、劇場型政治。なにが本当に現実でなにがつくりものなのか。その境目がますます不透明になりつつある世界の中にわたしたちは生きているのではないでしょうか。そういえば、やたら多くないですか。『マトリックス』や『ファイトクラブ』のように、「夢だと思っていたら現実だった」、「現実だと思っていたら夢だった」というストーリーの映画。
 この「ヴァーチャル・ミュージアム」は、決して、ヴァーチャルなものが素晴らしいと主張している博物館なのではありません。何が本当でなにがつくりものなのか、そして、何が本当でなにがつくりものなのかが不透明になってきた時代とは、いったいどういう時代なのか、もう一度立ち止まって考えてみるための博物館でありたいと考えています。
 ちなみに、本ヴァーチャル・ミュージアムのムービーのコーナーは、ほとんど、登場する方に依頼して実演してもらったものです。説明書きにそのように記そうと思いましたが、そう書いてしまうと、今度は映像に対する批判的な目をかえって曇らせてしまうと思い、あえて省きました。「あれっ、これってなにか実演っぽいな」、と思ってみてくれた方は、この授業のテーマである民族誌に対する批判的な眼差しに少し自信を持ってもよいかもしれませんね。
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