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種子メジャーが起こす再編

2016年05月30日 | 農業
種子メジャーが起こす再編
日本経済新聞 朝刊 総合・政治 2016/5/30 3:30


 遺伝子組み換え技術に強みを持つ米国のモンサントやデュポン、スイスのシンジェンタは種子メジャーとも呼ばれる。その3社が世界的な再編劇を引き起こしている。増え続ける世界の食糧需要を満たすために、高度な技術が求められているからだ。

 ドイツの医薬・農薬大手のバイエルはモンサントに対し、総額620億ドル(約6兆8千億円)の買収計画を提示した。シンジェンタは中国化工集団の傘下に入ることで合意し、デュポンは米ダウ・ケミカルとの経営統合を決めた。

 70億人を超えて急増する世界人口と途上国の経済発展で食糧需要は拡大を続ける。それを賄うには農業技術の進歩が欠かせない。砂漠化などで農地の拡張は難しく、栽培面積あたりの収量を飛躍的に伸ばす必要があるからだ。

 過去50年間、収量の伸びを支えたのは化学肥料の普及や品種改良だった。今後のけん引役と目されるのが遺伝子組み換え技術だ。

 遺伝子組み換え農産物は2015年時点で世界28カ国で栽培され、作付面積に占める組み換え品種の比率は大豆で8割を超す。組み換え農産物がこれだけ普及した理由は、除草剤散布などの手間や害虫被害を軽減できるからだ。栽培面積あたりの収量増加も期待でき、農家の採算は向上する。

 頻発する異常気象への対抗策として、干ばつなどに強い品種の開発も進んでいる。ただ、研究開発にかかる費用は増大しており、それも再編が相次ぐ要因となった。

 組み換え農産物に対しては日本や欧州を中心に安全性への懸念が強いことも事実だ。消費者の選択肢を確保するために通常の農産物と分別して流通する仕組みや、組み換え農産物の使用を表示する制度は維持する必要がある。農薬とともに自然環境への影響は避けなければならない。

 消費者の不安や環境への影響を防ぎながら、いかに食糧需要を賄うか。日本企業も植物工場などの得意分野を生かし、世界の食糧問題克服に協力してほしい。


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